テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
エリオットはまだネクタイを握っている。
指に巻いたまま。
離す気はない。
チャンスはそのまま上から覗き込んでいる。
サングラスの奥で、少し笑っている気配。
「……言ったな」
低い声。
エリオットは挑発するように笑う。
「うん」
くい。
またネクタイを引く。
距離がさらに近づく。
「やれるもんならって言った」
チャンスは少しだけ息を吐く。
そして。
ゆっくり顔を近づける。
エリオットの頬のすぐ横。
ちゅ。
軽いキス。
エリオットが肩を揺らす。
「……」
もう一度。
反対側の頬。
ちゅ。
エリオットが小さく笑う。
「またそれ?」
チャンスは答えない。
そのまま距離をさらに詰める。
エリオットの耳の近く。
呼吸が触れる。
エリオットの指がネクタイを少しだけ強く握る。
チャンスが低く言う。
「まだ余裕か?」
エリオットは笑う。
「全然」
その瞬間。
チャンスの唇が耳の近くに触れる。
ちゅ。
エリオットの肩が跳ねる。
「……っ」
思わず声が漏れる。
ネクタイを握る指が一瞬だけ緩む。
チャンスは逃さない。
耳のすぐ横で低く言う。
「今」
エリオットの耳が赤くなる。
でも。
ネクタイは離さない。
くい。
また引く。
エリオットが言う。
「まだ」
少し息を整える。
それから笑う。
「効いてない」
チャンスが小さく笑う。
「そうか」
そしてまた耳元に近づく。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!