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佐久間はハンドルを握りながら、小さくため息をついた。
(……車、出すって言うんじゃなかった。)
そんなことを、少しだけ思ってしまう。
もちろん二人を送ること自体は嫌ではない。
ただ、今日は予想以上に長い一日になっていた。
「佐久間。」
「ん?」
「翔太が来る前に部屋を片付けたい。」
「だから先に家まで送ってくれる?」
「もちろん。」
そうして最初に宮舘を自宅まで送り届けた。
「じゃあ翔太、次どこ行く?」
渡辺は少し考えて答える。
「家。」
「荷物取りに行きたい。」
「了解。」
車は渡辺の家へ向かった。
___________
ところが。
「佐久間。」
「この段ボール持って。」
「え?」
「こっちも。」
「え?」
「あと、このケースも。」
「えぇ!?」
気が付けば佐久間は両手いっぱいに荷物を抱えていた。
「翔太!」
「荷物多くない!?」
「必要最低限だよ。」
「どこが!?」
渡辺は真顔だった。
「これでもかなり減らした。」
佐久間は苦笑しながら重たい荷物を車に運ぶ。
「筋トレだと思おう……。」
車へ乗り込み、シートにもたれる。
(よし、これで涼太の家に……。)
そう思った、その時だった。
「佐久間。」
「ん?」
「服。」
「……服?」
「自分で選んだ服が着たい。」
「……。」
嫌な予感しかしない。
「ショッピングモール寄って。」
「ちょっとだけ。」
「ちょっと?」
「うん。」
佐久間は天井を見上げた。
(……ラウ、康二、助けて。)
誰にも届かない小さな願いだった。
___________
ショッピングモール。
渡辺は楽しそうに店から店へ歩いていく。
「これ可愛い。」
「こっちもいい。」
「試着してくる。」
その間。
佐久間は大量の紙袋を抱えてベンチに座っていた。
「……。」
「完全に荷物持ち。」
「本当に。」
「ラウと康二連れてくればよかった……。」
ようやく買い物を終える頃には、紙袋がさらに増えていた。
「ありがとう。」
渡辺は満足そうに笑う。
「……その笑顔で許す。」
佐久間も笑い返した。
___________
ようやく宮舘のマンションへ到着する。
インターホンを押すとドアが開いた。
「おかえり。」
宮舘が穏やかに迎えてくれる。
玄関にはすでにスリッパが二足並べられていた。
「荷物、一緒に運ぶよ。」
そう言って宮舘は大きな段ボールを軽々と持ち上げる。
「助かる!」
佐久間は思わず声を上げた。
二人で手際よく荷物を運び終えると、ようやく肩の荷が下りる。
「じゃあ俺、帰るね!」
「今日はありがとう。」
宮舘が頭を下げる。
渡辺も笑って手を振った。
佐久間は笑顔で手を振り返す。
「でも次の買い物はラウと康二も呼んで!」
その言葉に翔太は大笑いした。
静かになった玄関で、渡辺は室内を見渡した。
リビングの奥にある一室は、きれいに片付けられている。
ベッドには新しいシーツが掛けられ、収納も空けられていた。
「空いていた部屋を、翔太用に片付けておいた。」
「少し狭いかもしれないけど。」
「自由に使って。」
渡辺は部屋をゆっくり見回した。
自分のために整えられた空間。
その優しさが胸に染みる。
渡辺は宮舘の方を向き、静かに頭を下げた。
「……ありがとう。」
「しばらく。」
「よろしく。」
宮舘は穏やかに微笑んだ。
「こちらこそ。」
「おかえり、翔太。」
その一言に、渡辺は少し照れながら笑顔を浮かべた。
#BL
kaede🍁
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篝火

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コメント
1件
みらちゃん、第44話読み終えたよ〜!!🌸 もうね、佐久間さんの苦笑いが可愛くて仕方ない😂💕「筋トレだと思おう」って自分に言い聞かせるところとか、完全に荷物持ちにされちゃってるのに最後は「その笑顔で許す」ってなる流れ、尊すぎん??😭💖 でも一番グッときたのはラストの宮舘くんの「おかえり、翔太」…!自分で整えた部屋を「少し狭いかもしれないけど」って渡す優しさと、それに静かに頭を下げる翔太の距離感、エモすぎて胸がじんわりしたよ🥺✨ やっぱり日常の小さなやり取りが沁みる話だね…!次の展開も楽しみにしてる〜⋆♡