テラーノベル
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白ワインのグラスを軽く合わせる。
「退院、お疲れ。」
宮舘が穏やかに微笑む。
「お疲れ。」
渡辺もグラスを合わせ、小さく一口飲んだ。
テーブルには、タコのマリネとカツオのカルパッチョが並んでいる。
「相変わらず。」
渡辺が一口食べて笑う。
「涼太の料理、美味しい。」
宮舘も少しだけ笑った。
「ありがとう。」
静かな時間が流れる。
渡辺はグラスを見つめながら、小さく息を吐く。
「涼太。」
「うん。」
「昔さ。」
「ジュニアの頃。」
宮舘は静かに頷く。
「あの頃。」
「涼太、よく誤解されてたよね。」
「怖そうとか。」
「話しかけづらいとか。」
「笑わないとか。」
渡辺は苦笑した。
「本当は全然違うのに。」
「俺、悔しかった。」
宮舘は何も言わず聞いている。
「だから。」
「少しでも涼太が笑えるように。」
「俺がずっと隣にいようって決めてた。」
「二人なら大丈夫だって。」
「ずっと思ってた。」
渡辺は少し俯く。
「なのに。」
「俺、女になっちゃった。」
声が震える。
「ごめん。」
「メンバーも涼太も支えるって決めてたのに。」
「結局。」
「何もできなくなっちゃった。」
宮舘は静かに首を横へ振った。
「翔太。」
渡辺が顔を上げる。
宮舘は優しく微笑んだ。
「気付いてたよ。」
「俺が笑えなくなっていた時も。」
「佐久間や阿部と関係が拗れた時も。」
「仕事で落ち込んでいた時も。」
「翔太は何も言わず側にいてくれた。」
「楽屋でも。」
「移動中でも。」
「ステージの袖でも。」
「お前が側にいるだけで。」
「俺は安心できた。」
渡辺は目を丸くしたまま聞いている。
宮舘はワインを一口飲み、静かに続けた。
「ありがとう。」
「ずっと伝えたかった。」
「今まで、本当にありがとう。」
渡辺の目が少し潤む。
「でも。」
「俺たち。」
「二人でずっとグループを守ってきたのに。」
宮舘はゆっくりと微笑んだ。
「少し違うかな。」
「え?」
「俺は。」
「グループを守ることももちろん大事だった。」
「でも。」
一度言葉を区切る。
「一番守りたかったのは。」
「翔太だった。」
渡辺は思わず息を止める。
「……俺?」
「そう。」
宮舘は真っすぐ渡辺を見る。
「お前は昔から。」
「自分のことを後回しにして。」
「いつも誰かを守ろうとする。」
「メンバーも。」
「ファンも。」
「俺も。」
「全部。」
「でも。」
「そんな翔太を。」
「俺は守りたいって。」
「ずっと思ってた。」
部屋が静まり返る。
渡辺は宮舘を見つめたまま、小さく首を傾げる。
「……どうして?」
「翔太。」
「俺にとって。」
「翔太は誰にも代えられない存在だから。」
「だから守りたかった。」
その真っ直ぐな言葉に、渡辺は何も返せなかった。
グラスを持つ手が、小さく震えていた。
#BL
kaede🍁
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篝火

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コメント
1件
第45話、読み終わりました…。 この静かな空気、すごく好きです。宮舘くんの「一番守りたかったのは翔太だった」って台詞、胸に来ました。ずっと誤解されてた過去を翔太が覚えていて、それでも隣にいるって決めてたこと、その気持ちを今度は涼太が受け止めて返す瞬間が、本当に尊いです。 支え合うってこういうことなんだな、って思いました。お互いがお互いを守ろうとしてるのが伝わってきて、胸がぎゅっとなりました。素敵なエピソードをありがとうございます🤍