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ゆゆゆゆ
#Paycheck
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閉店後。
ピザ屋。
店内は静か。
オーブンの熱も落ちている。
エリオットはカウンターの中。
最後の片付けをしている。
チャンスはいつもの席。
コインを指で転がす。
カラン
しばらく無言。
エリオットが手を止める。
「……ふぅ」
小さく息を吐く。
チャンスがちらっと見る。
「疲れたか」
エリオット。
「うん」
少しだけ笑う。
「好きだけどね」
チャンス。
「変なやつ」
エリオットはそのままカウンターにもたれる。
目線は下。
いつものにこにこじゃない。
少しだけ静か。
チャンスは何も言わない。
ただ待つ。
エリオットがぽつり。
「ミアさ」
チャンス。
「ん」
エリオット。
「強いこと言うようになった」
少し笑う。
でも。
その笑いは軽くない。
「守るって」
チャンスはコインを止める。
「似てるな」
エリオット。
「……でしょ」
少し間。
エリオット。
「でもさ」
手をぎゅっと握る。
「守らせたくない」
チャンスは黙って聞く。
エリオット。
「俺がやるから」
「危ないことも」
「全部」
声は小さい。
でもはっきりしてる。
「だから」
少しだけ息を吐く。
「考えるって言った」
チャンス。
「後継ぎのことか」
エリオット。
「うん」
沈黙。
エリオット。
「やればさ」
「全部守れる」
チャンス。
「……」
エリオット。
「でも」
少しだけ笑う。
「ここ無くなる」
店の中を見る。
オーブン。
カウンター。
いつもの場所。
チャンスとの距離。
ネクタイ。
エリオット。
「疲れるまで働いて」
「帰って」
「ケーキ食べて」
少しだけ目を細める。
「これ好き」
チャンスはゆっくり立ち上がる。
カウンターの方へ歩く。
エリオットの前に立つ。
ネクタイの先をエリオットの前に差し出す。
チャンス。
「両方取れ」
エリオット。
「……は?」
チャンス。
「守るのも」
少し間。
「ここも」
エリオットは少しだけ笑う。
「無茶」
チャンス。
「知ってる」
エリオット。
「できると思う?」
チャンスは少しだけ近づく。
距離。
近い。
「できるかじゃない」
エリオット。
「?」
チャンス。
「やるかだ」
沈黙。
エリオットの目が少し揺れる。
それから。
ゆっくり。
にこっと笑う。
ネクタイ。
ぐい
チャンスがさらに近づく。
「チャンス」
「ん」
エリオット。
「やっぱ好き」
チャンス。
「知ってる」