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ゆゆゆゆ
#Paycheck
閉店後のピザ屋。
灯りは落ちかけている。
静かな店内。
エリオットはカウンターにもたれたまま。
さっきの言葉の余韻が残っている。
チャンスは目の前に立っている。
少しだけ低い空気。
チャンスが口を開く。
「エリオット」
「ん」
チャンス。
少しだけ間を置いてから。
「一人で全部背負うな」
エリオットの目が少し動く。
チャンスは続ける。
「お前の事も」
「妹も」
少しだけ眉をひそめる。
「あのクソみたいな世界も」
店の空気が少し重くなる。
でも。
チャンスの声は真っ直ぐ。
「一緒に背負う」
エリオット。
「……」
少しだけ息を止める。
チャンスは視線を逸らさない。
「俺も同じだ」
エリオット。
「何が」
チャンス。
「追われてる」
小さく言う。
「別のマフィアに」
エリオットの目がわずかに細くなる。
チャンスは肩をすくめる。
「だから」
少しだけ笑う。
軽く。
でもどこか本気。
「もし俺の身に何かあったら」
エリオット。
「……」
チャンス。
「ピザ焼いて」
少し間。
「届けてくれ」
エリオット。
一瞬だけ止まる。
それから――
ふっと笑う。
いつもの。
にこにこ。
でも。
さっきより少しだけ深い。
ネクタイ。
ぐい
チャンスが引き寄せられる。
エリオット。
「分かった」
チャンス。
「……」
エリオット。
「どこにいても」
少しだけ顔を近づける。
「届ける」
チャンスの目がわずかに揺れる。
エリオットは笑う。
「絶対」
チャンスは数秒黙る。
それから。
小さく言う。
「……約束だ」
エリオット。
「約束」
ネクタイを掴む手が少し強くなる。
チャンスも離れない。
静かな店内で。
背負うものは重いまま。
でも。
二人は一人きりじゃなくなっていた。
終