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最初に出会ったのは桜舞い散る中学の入学式のときだった。
私は世間で言うフレンドリー?ってやつ。友達関係はあまり困らなかったし、嫌いな人なんて全然いなかった。
だけど、初めて嫌いな人ができた。それがアイツ。
アイツと席は隣だった。
「よろしくね!」
私はそう言った。
「うん、よろしく あのね、ここだけの話なんだけど、僕実は女の子なんだよね……」
私はその嘘にまんまと騙された。後でネタバレされたけど不快だった。
だって、当たり前でしょ?初対面で嘘つくなんて最低
アイツは嘘つきだからみんなに嫌われている。
あるとき、クラスのリーダー的存在の子がいじめをしようと提案した。
みんな断れる訳もなく賛成した。もちろん、私もその1人。
断っていれば自分がターゲットになるから。
最初は小さなことだったけれど、
どんどんエスカレートしていった。
このとき、無理にでも反対するべきだったのかもしれない
それが続いて、2年の夏休み前の蒸し暑い日。
アイツに屋上に呼ばれた。本当は行きたくなかったけど
いじめを止めなかったせめてもの償いとして屋上に行った。
「あ!来てくれたんだ」
来ないとでも思っていたのだろうか……
「それで、なんの用?」
早く帰りたかったから、めんどうくさそうに私は言った。
「あのね、」
「このラムネを飲むと僕のことを忘れるよ!」
太陽のように眩しい笑顔で、
ラムネを無理やり渡された
「……また、嘘でしょ?」
「信用度ゼロだなあ」
苦笑しながら言った。だけど、その顔は少し寂しそうだった。
「最初で最後の本当のこと言うよ」
どういうことだろう。ラムネを見つめながら考えた。
すると、アイツがドアとは反対方向に走っていった。
「そっちドアじゃないけど……」
私が見たときには、アイツは柵の外側にいた。
「危ないッ!」
アイツが飛び降りた。
次の日、先生に呼ばれた。
「クラス内ではイジメが起きていたの……?」
私はうつむきながら小さく頷いた。
帰り道、私は昨日渡されたラムネをカバンから取り出した。
「このラムネを飲むと僕のことを忘れるよ!」
最後の嘘ぐらい本当でいてよ……
ゴクッ
アイツのことは忘れれず、
シュワシュワと甘ったるいラムネが口の中に広がるだけだった。
「やっぱりウソツキだ……」