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…誰でもよかった。
誰でも良いから、こんな自分に気付いてくれて。
誰でも良いから、こんな自分を嫌わずにいてくれる人を探してた。
そしてわたしは外の世界にそんな人がいるという期待を胸にして探しに行った。
1度目の外の世界は楽しかった。
でも、心が汚い人ばかりだった。
わたしの目を見たら気持ち悪いって。
なにあれって。どうしてこんなところにいるのって。
いろんなことを言われてた。
人の心が汚いのはこの世界だったからって信じてた。他の世界の人は大丈夫だって。わたしの事を受け入れてくれるって思ってた。
だけど。
2度目の世界もそう。見掛け倒しだった。3度目の世界も。4度目も5度目も。何度も何度もわたしは探した。 わたしのありのままを受け入れてくれる人を探した。
でもいなかった。沢山探した。
だけどいない。もう居ないのかもしれない。そもそも居なかったのかもしれない。わたしが勝手に期待して、希望を持ってただけなんだって。
途中から気付いてしまった。
もう探す意味も無いと知って。
絶望して。
私は無理矢理目を閉じた。
少し痛かった。縫い付けたから。
お姉ちゃんにも、お燐とお空にも、ペット達にも、友だちにもとても心配された。
でも、傷つくくらいならその痛みの方がいくらもマシだった。
お姉ちゃん達にも心配と苦労をさせたくなかったから。
もう心の声は聞こえない。生まれつき聞こえない方が良かったのかもしれない。
わたしは心を読めなくなる代わりに無意識を操る程度の能力を手に入れた。確かにあんな心を読まなくて済むなんて有難い。
だけど孤独になってしまう。
孤独は嫌だった。
だからまた探しに行く。
嫌がられてもいい。嫌われてもいい。心の中で悪口を言われたっていいから。
誰でもいいから、少しでいいから。わたしと一緒にいて欲しい。
「…今のわたしの願いは、それだけだよ。」