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──あれから、3ヶ月。
Project Reinは国際的批判を浴び、一部の研究施設は解体。
だが、完全には潰れていない。
SSクラスDomとそのつがいは、今も監視対象のままだ。
「……ヌナ、今日も少し熱ある?」
ジョングクがそっとミンジュの額に触れた。
「ううん、大丈夫。共鳴の発作も落ち着いてきたよ」
彼女の身体は、少しずつSSクラスとの完全つがい化に適応してきていた。
その過程で──奇跡のような変化が、起きていた。
⸻
ある日、医師との通信診察のあと。
ミンジュは静かに、ジョングクに封筒を差し出した。
「これ、見て」
中にあったのは、検査結果の一枚の紙。
『妊娠 初期反応 陽性』
「……え……」
ジョングクは、言葉を失った。
「ヌナ……」
「わたしたち……新しい命を、もらったよ」
ジョングクの目に涙が浮かぶ。
「俺……ヌナの命を守れなかったら、ってずっと怖かった。
でも、これでようやく信じられる。
俺たちは、壊れるためにつがいになったんじゃない。
“生きるために”つがいになったんだって」
彼は、そっとミンジュのお腹に口を当てた。
「おいで、小さな命──
君のお母さんは、世界でいちばん強くて、優しい人だよ」
──つがいの真実、Project Reinの暴走、嫉妬や差別を越えて。
ミンジュとジョングクの物語は一つの終わりを迎えたけれど、BTSの物語は、まだ終わらない。
ジンが言った。
「“個人の闘い”を超えて、“7人の名前”で世の中に叫べることがある」
ナムジュンが書き記した。
「愛が、規制されるべきでないなら──
つがいもまた、自由であるべきだ」
ホソクが笑った。
「俺たちが選んだ道が、次の世代の“希望”になるって、信じようぜ」
ユンギは淡々とメモを取る。
「次のアルバム……タイトル、決まったな」
「なんにすんの?」
「Bond(絆)」
テヒョンが静かにギターを爪弾く横で、
ジミンは窓の外を見ながら、呟いた。
「……ミンジュが、“また聴きたい”って言ってくれる曲、作ろうかな」
そして、ジョングクがカメラに向かって笑う。
「この歌が届く頃、きっと“あの子”が産まれてる。
未来のために歌うんだ、今は。BTSで」
──7人は、バラバラになんてならなかった。
むしろ、“世界と闘った分だけ”、深く繋がっていた。
解散しない。変わる。でも、終わらない。
それが、**「未来を選んだBTS」**の形だった。
海辺の家、夜。
小さな命を抱いたミンジュの腕の中で、赤ん坊が小さく呼吸をしている。
「グガ、見て……この子、笑ったよ」
「……ヌナの笑顔に似てる。きっと、優しい子になる」
家の外には、BTSの7人が集まって、焚き火を囲んでいた。
笑ってる。歌ってる。未来を祝福してる。
──これは、“つがいの物語”であり、“家族”と“仲間”の物語でもあった。
そして、BTSはその中心で、変わらずに、ずっとそこに在り続けていた。