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「んン……っ、――――ふっ、ぅう……、う……っ」
私は赤ん坊がむずかるような声を漏らし、足に力を込めてグッと涼さんに体を押しつける。
けれど彼は嫌がる素振りを見せず、ひたすらに私を愛撫し続けた。
やがて――。
「ん……っ、んぅうううぅう……っ」
私はギューッと体を丸めると、ビクビクッと身を震わせて絶頂してしまった。
「気持ち良かったね。幸せ?」
涼さんに耳元で囁かれ、私はフワフワした気持ちのままコクンと頷く。
「なら良かった。俺も幸せ」
彼はチュッと私の頬にキスをし、背後から抱き締めたまま夜景を眺めた。
全身を包む心地よさ、気だるさがゆっくり鎮静していくなか、私は涼さんに支えられてぼんやりと窓の外を見る。
「……現実じゃないみたい」
落ち着いた頃に呟くと、彼はクスッと笑って私のこめかみにキスをする。
「全部現実だよ。恵ちゃんが気持ち良くなったのも、俺が君を愛してるのも、今日が最高の誕生日だったのも、全部」
そう言われ、私は力なく笑う。
「……なんか涼さん、願いを叶えてくれる人みたい」
「今気づいた? ランプの魔神だよ」
「あ、そっちですか。魔法使いかと思ってたんですが」
「え……。俺、三十歳になる前に童貞捨てたから、魔法使いは回避できたと思ってたけど……」
涼さんが変なネタを突っ込んでくるけれど、よく分からないので無視しておく。
「はぁ……、逆上せちゃいそう。そろそろ出ます」
「うん」
そう言うと涼さんは私を支えて立ちあがり、二人で一緒にバスルームを出た。
お風呂を出たあとは、明日の予定もあるので早めに寝る事にした。
さっき私が言った「ちょっとだけなら」はお風呂で解消したと思っているし、何も言わずとも涼さんも了解してくれているみたいだ。
お風呂上がりのケアをしたあとに水を飲んだ私たちは、広いスイートルームの電気を消し、キングサイズのベッドに入る。
私はしばし夜景を眺めていたけれど、リモコンに手を伸ばしてカーテンを閉めた。
カーテンを開けっぱなしにして寝るのもいいだろうけど、夏はまだ日が昇るのが早い。
ホテルステイでゆっくり遊ぶ週末なら、少しぐらいのんびり寝ても構わないだろう。
「おやすみなさい」
「おやすみ、恵ちゃん」
私たちは寝る前の挨拶をしたあと、それぞれ寝やすい体勢をとって目を閉じた。
**
「……朱里」
「…………んん?」
尊さんの声がし、私は目ぼけ眼を擦る。
「そろそろ起きたほうがいいと思うんだが……、手」
「んん?」
言われて大きな欠伸をした私は、自分がしっかりと尊さんに抱きついているのに気づいた。コアラもびっくりだ。
「おふぁようございまひゅ」
欠伸混じりに挨拶をすると、よしよしと頭を撫でられる。
「二日酔いは?」
尋ねられ、私は「んー……」と寝ぼけながら自分の体調を把握しようとする。
「多分ないです。お高いワインだったから、悪酔いしなかったのかも」
それは自分でも一理あると思っていて、尊さんと会うまでは安いお酒をカパカパ飲んで記憶を失ったりしていたけれど、彼と暮らすようになってから、そうはならなくなった。
好きな人と一緒に暮らしているから、自暴自棄になった飲み方をしなくなったというのもあると思うけど。
でもいいお酒を飲んでいると、酔っ払って赤くなっても嫌な頭痛は訪れず、スッと醒めていくのは事実だ。
「ラウンジで朝食とるんだろ? メイクするなら時間がかかるだろうし、少し早めに起こしたけど」
「あぁ……、はい。支度します」
私はベッドの上で「んーっ」と伸び、ゴロゴロと体を左右に揺らす。
「なんなら、足も引っ張ってやるか?」
「いつの江戸時代のミコ裂きの刑ですか」
「お? そういう事を言うのか? そんな罪人はこうだ」
尊さんはそう言って、私の脚をパカッと開くと内腿を両手でグッと押してくる。
「いひひひひひひ! 痛い! やめて!」