コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「参ったか?」
「お、マウントとってきましたね。すでにお腹見せて、服従のポーズをとってるじゃないですか」
「犬か!」
尊さんはクシャッと笑うと、両手で私のお腹をワシャワシャと撫でてくる。
「ひひひひひ!」
一通りふざけたあと、私は両脚を上げて反動をつけると、「よっ」と起き上がった。
そのあと洗顔、歯磨きをしたあと、顔と腕に日焼け止めを塗ったくり、さらに体にはUVボディパウダーを叩き込んでから、メイクをした。
服は黒いノースリーブのマキシ丈ワンピースをスポッと着て、厚底の白いスニーカーを履く。
昨日、尊さんに立派なジュエリーをもらったけれど、カジュアルな装いにはそれに応じたアクセサリーが合うので、大きめのフープピアスと、手首に太めのバングルをつけた。
尊さんいわく、今日の昼間は割とカジュアルでもOKとの事なので、一応信じておく事にする。
尊さんも結構カジュアルで、白Tの上にグレーの半袖シャツ、黒いテーパードパンツに白黒のスニーカーを履いている。
「準備できたか?」
「はいっ」
返事をした私は、元気に返事をして貴重品を小さなバッグに入れ、ルンルンしてラウンジに向かった。
窓際の席に着いていると、三分後くらいに恵と涼さんが来た。
恵はクシュッとしたフェミニンな白いギャザーブラウスを着て、上半身は甘めにしつつ、ボトムは黒いカーゴパンツ、靴は存在感のある白いスニーカーだ。
「おはよー、恵。かわいー。白いスニーカーおそろー」
私は座ったまま、足を伸ばして靴を見せる。
「あ、ホントだ。……っていうか、このボリュームあるトップス、大丈夫? 変じゃない? なんか貴族が着てそうで不安なんだけど」
恵はヒソヒソと聞いてくる。
「え? なんも? 恵は小顔だし、そういうの凄く似合う。涼さんナイス・スタイリング!」
私がビッとサムズアップすると、グレーのTシャツに黒い半袖シャツ、黒いワイドパンツに白いスニーカーを履いた涼さんも同じようにした。
「いえーい」
朝食はおしぼりやお水がテーブルに置かれたあと、メロン、葡萄、パイナップル三種盛りのフルーツ、コーンスープ、カラフルなサラダから始まった。
パンはアフタヌーンティーみたいに二段になっていて、下段に焼きたてのクロワッサンと、小さな山食パンがあり、上段にはガラスの器に入ったバター、ブルーベリージャムがある。
メインになる物は、オムレツ、パンケーキ、フレンチトーストの中から選べるようで、私は迷わず好物のフレンチトーストにし、残る三人はオムレツになった……。なぜ。
「美味しいね」
ラウンジからの眺めは良く、すぐ近くに雲が見える。晴天の時は富士山も見えるとか。
本当はこの洋食は昨晩のレストランでの提供らしいけど、特別にラウンジまで運んでくれた。
……多分、涼さんがスペシャルなお客さんだからかもしれない。
「今日の予定は?」
食後、尊さんに尋ねると、代わりに涼さんが答えた。
「先に百貨店行っていい? 恵ちゃんとペアリング買うって決めたんだ」
「わあ! おめでとうございます!」
私が猛烈な勢いで拍手をすると、恵が「結婚するんじゃないんだから……」とボソッと呟き、涼さんにジィ……と見つめられている。
……あ、冷や汗掻いてそっぽ向いた。
「尊も朱里ちゃんとペアリング買ったら?」
涼さんに言われ、彼は私を見てくる。
そして無言でトントンと指の背を打ち、首を傾げてきた。
「……ほ、ほしいかも……。め、目立たないのね! 恵とお揃いだと涼さんに悪いから、同じブランドの別のデザインのやつがいいな」
「それいい!」
私が提案すると、恵がパッと顔を上げて同意する。
「うん、じゃあ決まり。……恵ちゃんが相変わらず朱里ちゃんファーストなのは分かったけど、そのうち涼ファーストにさせてみせるからね……」
「あー、はい」
涼さんは燃えているけれど、恵はサラッと受け流して食後のコーヒーの残りを飲み干した。