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sideディオクレイヤ
その日、1人で買い物に行くという妻のマリアーヌを俺は何ともなしに送り出した。
このスターシャの国で俺に、また、俺の妻に手を出す者は居ない。
そう考えていた。
何故なら、俺がその気になれば、この国を滅ぼす事も出来るからだ。
しかし、夕刻になっても、マリアーヌは帰って来なかった。
俺は心配になり、マリアーヌが行きつけのパン屋に向かった。
マリアーヌは来ていないと店主に言われ、俺は動悸がし始めた。
馬鹿な…
俺の妻と知って誘拐するようなアホはこの国には居ないはずだ…!
その時、背後に魔導士の気配がした。
Aランク程度の魔導士のようだ。
「お前か…?
俺の妻を拐ったのは…?」
俺は威圧的にそう言った。
「ご相談がございます。
ディオクレイヤ様、ぜひスターシャの王宮へお越し下さい。」
その男は言った。
黒のローブに黒のフードを被っている。
俺は炎を右手に纏わせると、その男の首を締め上げた。
「ぐっ…
私を殺せば、奥さまも死にます…よ…?」
その男は言った。
俺は炎を消し男を離した。
「さっさと王宮に案内しろ…」
♦︎
王宮にて、その男はフードをとった。
グリーンの瞳が冷たい印象の男だった。
「ディオクレイヤ様。
私の名前はアルガスです。
殺された同志ライランの仇をうつ為どうしてもあなたの力が必要でした。」
アルガスという野郎は言う。
「スターシャ王も承知しているのか…?」
「えぇ、もちろんです。
ゼルゼディスを抹殺すれば、サルベアント国も容易く侵略出来るでしょうから。
利害はあっても、損害はありません。」
アルガスは言った。
「俺にゼルゼディスを殺せ、というのか?」
俺は一応の確認をした。
「もちろん、その通りです。
その為に危険を犯して奥様を人質にとったのですから…」
アルガスは言った。
「汚い手を…!
妻はどこだ…!?
声だけでも聞かせてくれ!」
俺は言う。
「それはできませんが、生きている事は保証します。
もしも、死んでいたら、その時はこの国を滅ぼすなり、なんなりとすれば良い。」
アルガスが言った。
どうやら…
俺には拒否権は無いようだ…
ゼルゼディス…
悪いな…
「ゼルゼディスと戦うならば、せめてサシで勝負させてくれ。」
俺は全てを諦めてそう言った。
「いいでしょう。
一対一でケリをつけて下さい。」
アルガスは冷徹な笑みを浮かべてそう言った。
「俺が勝ったら、妻を解放するとして…
俺がもしも、負けたら妻は…」
「ご安心ください。
奥様を殺したところで、何にもなりません。
死闘の末負けたなら、奥様は解放するとお約束します。」
俺は…
決意した…
いや、しなければならなかった…