「あいつ、あんな風に目が紫だったり髪が薄茶だったりと、何かと目立つ成りしてるだろ? それで周りから目ぇつけられるようなことも多くて、あんま周囲とは関わらないようにしてたんだよ。
そんなあいつを、今みたいにいい意味でも悪い意味でも変えたのが、美憂だ……」
銀河の好きだった彼女……聞かない方がいいのかもしれないと思いながら、聞かずにはいられない自分がいて、私はそんな戸惑いを押し流すようにごくっとまたグラスからお酒を飲み込んだ。
「……美憂は、どちらかというと目立たないおとなしい子で、あいつに興味本位で寄って来るような、派手に遊んでる感じな女たちとは、ちょっと違うタイプだったんだよ。
自分を特別な目で見ることもなく、他と変わりなく接してくれる美憂に、あいつはだんだんと惹かれていった。
たぶんさ、あいつにとっては初めての恋とかだったんじゃねぇの? 付き合ったような女は多くても、あいつにとっての本気の恋は、たぶん美憂が初めてだと思うぜ…」
流星はそこまで話して、吸っていたタバコの煙をふーっと吐き出した。
「美憂と付き合うようになってからだ。あいつが、周りにも心をひらくようになったのは……」
流星の言葉に、ふと以前に聞いた銀河のセリフが思い出された──。
『俺が、考え方を変えられたのも、影響を与えた奴がいたからだったしな』
銀河が言ってた『影響を与えた奴』っていうのは、きっとその彼女のことだったんだ……。
「銀河は、美憂をすげぇ大切にしてて、このまま結婚してもおかしくないようにも思われてたんだが、
けどな、そんなにうまくもことは進まなかったんだよ……」
「何が、あったの……?」
胸がドクンとあわ立つのを感じた。流星の言い方からしても、銀河と彼女との間に何かが起こったのだろうことは明らかだった……。
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