「ねえねえ、忘れてないよね、初めての時のこと」
「今俺は、部屋からおまえを追い出したくなっている」
「いいよ、なら家族の皆さんに話しちゃおうかな」
しかし言ってもたいして驚かない雰囲気の家族だったような…。
「待て。俺の妹は書くぞ」
うん、確かに写真週刊誌より怖そう。コミケで大騒ぎになったらどうしよう。
「…僕さ、この顔だから女の子にはモテまくってたんだ。初めては13の時に年上のお姉さんで…女の子って柔らかくていい匂いがして…って何故僕に初体験の話させるの、やだなあ礼央ったら」
「いや勝手におまえが語り出したんだ」
「嫉妬した?でもね、男同士は礼央が初めてだよ。礼央もだよね?」
「そうだ。おまえに襲われた」
そう、あれは昨年の話。
莉音はシャワーを浴びたあとのガウン姿、ほんのり赤くなった肌。
上目遣いで礼央みつめたら顔を逸らされ、
手を握ったらシッシとはたかれる事数回。
この鈍感め。
もう強引にいくしかないと礼央に足をひっかけベッドに押し倒した。
「…何がしたいんだ」
「SEX」
「男同士で?おまえ、マネージャーに女の子禁止令出されだからって、そこまで見境なく、さかるとは」
「違う。礼央が好きだからそうしたい」
「ふーん」
ふーん、って…。
信じられないかも、いや、
信じてないだろうけど、
一目惚れしたんだよ
「できるのか?俺は経験ないぞ。無理だろ?」
腹が立つほど落ち着いた調子で礼央は言った。
「僕、男相手の経験はない。だけど妹の同人誌で知識は…ってあーっ!わーっ!わーっ!今のナシ、忘れて」
「うるさい!大声出すな、な、何だよ」
良かった、ごまかせた。
痛くなる前に、痛い奴になるところだった。
「とにかく、なんとかできるの。あ、受けは僕が引き受けるから」
受けって?
よくわからないけど、相手が引き下がりそうにないのが礼央にはわかった。
「…できるものなら勝手にしろよ」
莉音は礼央の言葉にニヤリと笑った。
やるぞ。
「気持ち良くしてあげる」
と、礼央のパジャマのズボンの中に手を差し入れ、指を絡めた。
「ん…」
少し反応した。
そのまま肌着を引きおろし、顔を近づけて口に含む。
「こら、汚い」
「シャワー浴びてるから大丈夫」
ん?
わりと大きい。
…想像以上に大きい。
…これ僕に入るかな、と少し不安になる。
「い、痛ったーい!」
案の定、初めて受け入れた莉音は声を上げてしまった。
初めてだから正常位の体位で、本に書いてあった通り用意したワセリンもたっぷり使ったが、本来受け入れる場所ではないそこに引き裂かれるような痛みを覚えた。
「ほら、やはり無理」
「痛いけど無理じゃないっ」
ここまできて、やめてたまるか。
深呼吸をし、身体の力を抜く。
「…動いてみて。もう少し奥まで入れて」
「壊れるぞ?」
「大丈夫だから…あーっ!痛っ!ゆっくり!ゆっくり」
「んっ」
…礼央を完全に受け入れ1つになるまで、
かなり時間がかかったが、…できた。
好きだって言ってくれないけど、
身体を繋ぐことができた。
汗と涙でかなりブサイクな顔になったけど、
嬉しかった。
順番は逆かもしれないけど
ここから好きになってもらえばいい。
きっとそうできる。
心も全部
堕としてみせると決めた。
それがちょうど1年前になる。
続く
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