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stpl 水赤 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
赤視点
春の風が、校舎の前の桜を揺らしていた。
今日は、卒業式。
三年間通ったこの高校とも、今日でお別れだ。
それ以上に――
「……ほんま、泣くなや」
隣に立つ幼馴染が、呆れた声で言った。
「な、泣いてないし……!」
そう言いながらも、目の奥がじんわり熱い。
だって仕方ないじゃん。
こいつ――れるとは、卒業したら離れ離れになる。
れるは関西の大学。
俺は東京の大学。
小さい頃からずっと一緒だったのに。
「……なあ」
れるが少しだけ声を低くした。
「そんな顔されたら、れるが悪いことしたみたいやん」
「してるよ」
「は?」
「勝手に遠い大学行くし」
「いや、お前も東京行くやんけ」
「それは……!」
言い返そうとして、言葉が詰まる。
するとれるが、ふっと笑った。
「相変わらずボケ方雑やな」
「うるさい!」
昔からこうだ。
俺がボケて、れるがツッコむ。
それが普通だった。
でも今日で、その普通が終わる。
胸がぎゅっと苦しくなった。
「……れる」
「ん?」
「俺さ」
言おうとして、喉が震えた。
好き。
その一言が、どうしても言えない。
幼馴染のまま終わるのが怖くて。
でも、関係が壊れるのも怖くて。
すると突然、れるが俺の手を掴んだ。
「……え?」
「もうええわ」
「な、なにが?」
「お前、絶対言わへんやろ」
「え?」
れるは少しだけ赤い顔で言った。
「れるは、こえのことが好きやねん」
頭が真っ白になった。
「……は?」
「三年前から」
「……え?」
「いやもっと前かもしれん」
心臓が、ドクンと跳ねる。
「お前が泣き虫で、アホで、すぐ照れて」
れるは少し笑った。
「……めっちゃ可愛いねん」
「か、可愛いとか言うな!」
「ほらツンデレ」
「違う!」
「違わん」
その瞬間。
俺の目から涙がぽろっと落ちた。
「うわ、やっぱ泣いた」
「だって……」
「なんや」
「俺も……好きだから……」
れるの目が大きくなった。
「……ほんま?」
「うん」
「マジで?」
「うん……!」
するとれるが急に俺を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと!」
「やっと言えたわ……」
耳元で小さく呟く声が、やけに優しい。
「離れても、付き合ってくれる?」
俺は頷いた。
「うん」
その日、俺たちは恋人になった。
それから一年後。
春休み。
俺は久しぶりに地元へ帰ってきた。
駅の改札を出た瞬間。
「……遅い」
聞き慣れた声がした。
振り向くと、れるが立っていた。
「れる……!」
高校の時より少し大人っぽくなっている。
「なんやその顔」
「だって久しぶりだし」
「毎日電話してるやろ」
「それとこれとは違う!」
れるが少し笑った。
「ほんま、可愛い」
「可愛い言うな!」
「はいはい」
そう言いながら、れるが俺の頭を撫でた。
その仕草だけで、胸がきゅっとなる。
夜。
久しぶりにれるの家に遊びに来た。
「……なんか緊張する」
「なんでや」
「だって」
恋人になってから、初めて二人きりだから。
れるは少し黙ったあと、俺の頬に触れた。
「れるもや」
「え?」
「めっちゃ好きやから」
そのまま、そっとキスされた。
優しくて、少しぎこちないキス。
唇が離れると、俺の顔は真っ赤だった。
「顔赤すぎ」
「うるさい!」
「かわええ」
「言うな!」
するとれるが急に真面目な顔になった。
「……このまま、ええ?」
心臓が跳ねた。
「……うん」
れるはゆっくり俺を抱き寄せた。
触れる手は驚くほど優しい。
まるで壊れ物みたいに。
「痛かったら言えよ」
「……うん」
「泣くなよ?」
「泣かない!」
「絶対泣くやろ」
「泣かないし!」
でも本当は、少しだけ怖くて。
それ以上に、嬉しかった。
好きな人に触れられていることが。
れるは何度も「大丈夫か」と聞きながら、優しく抱きしめてくる。
「……好きや」
耳元で囁かれて、胸がいっぱいになる。
「俺も……好き」
ぎこちなくて、初めてで。
でも、とても幸せだった。
全部終わったあと。
れるの腕の中で、俺は少し泣いてしまった。
「ほら泣いた」
「だって……」
「なんや」
「嬉しいから」
れるは少し笑って、俺の額にキスした。
「ほんま可愛い」
「だから言うな!」
「無理」
「なんで!」
「好きやから」
春の夜は、少しだけ暖かかった。
そして俺は思った。
離れ離れでも。
きっと、この恋はずっと続く。
れるが隣にいてくれる限り。