テラーノベル
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「あっつ……!」
強烈な熱風が6人を襲う。すかさずアルテアが防御結界の魔法を張り、ニティアが空気中から水を発生させて周囲を覆った。
「サンキュ!」
ルシオがその先にニックの正面に立ちはだかり、フィニスが剣を構える。
「この足場はうちらにとってはきちぃな……」
「お互い落ちないようにしないとな!」
エラリスが弓を手に取り、2人に耳打ちをする。
「精霊は自分たちだけの力じゃ強い力を具現化は出来ないはずだよ」
そう言いながら、精霊を呼ぼうと魔力を込めようとしたところで、ニックは急に羽ばたきを止めた。
「?!」
『ハハッ♪それは妾も知っておる。せっかくの機会じゃ。妾も全力で相手しようぞ!』
エラリスの言葉が聞こえていたのだろう。不敵に笑ったニックの身体が強く輝きはじめ、徐々に身体が縮んでゆく。
『その器。使わせてもらおうかのぉ』
その声が響いた次の瞬間、強い光を伴ったニックが祭壇手前にある空間へ向かって一直線に飛んでいった。
「ホムラ!」
ニックが飛び交う方向を見て、血相を変えて追いかけるカエデ。
「!!」
その声で1人広場に残していたホムラの事を思い出し、全員が一斉に祭壇から手前の部屋まで戻っていく。
「……」
倒れている人だかりの前に、1人俯いて立ち尽くしている少年。
「ホムラ……?」
少年の髪が黒色から赤色へ。
「おいまじかよ……」
背中からは炎の翼。
「……最悪」
その小さな身体がふわりと宙を舞う。
『やはりこっちの人間も火の妖術士の血筋であったか♪ちと魔力の総量が少ないが……まぁ問題なかろう♪』
手に持っていたペンを使いながら、くるりと踊るように宙を舞うニック。
空中に書いた瞬間、それが大小様々な炎の球となり、カエデ達目掛けて飛んでいった。
ジュー!
立ちこめる水蒸気。
全員を囲うように水柱が地面から湧き上がり、ニックの攻撃を防いでいた。
『いきなり呼ばれたと思ったら……やっぱりニックか……』
エラリスがリヴァレーを呼び寄せていた。
『リヴァレーか……相変わらずいけ好かんやつじゃの』
互いに見つめ合う2人。
『その身体は人間のものだろ?』
『それがどうしたというのじゃ?』
『いくら最後だとはいえ、やりすぎだと思うぞ』
ふっと笑うニック。
『そんなの、お主には関係なかろう!』
羽ばたかせた翼から、炎の羽がリヴァレー達を襲う。
ジュジュ!!
先ほどと同様に新たに水を発生させ、身体目掛けて飛んできた炎を消し去るリヴァレー。
『そんなの効かないことくらい分かってるだろ?』
大きく翼を広げ、立ちこめる水蒸気を散らせるニック。
『ウフッ♪』
不敵な笑みに違和感を感じたリヴァレーが周りを見渡す。リヴァレーたちを囲うかのように、炎の羽が数本……規則正しい位置の地面に突き刺さっていた。
『!?』
『同じ火力では主に勝てぬが……これならばどうじゃ?』
『お前ら!逃げろ!!』
リヴァレーが叫ぶや否や、地面に突き刺さっていた羽から羽へと光が一瞬で結ばれていき、完成してゆく魔法陣。ピカっと一度強く光った瞬間……
ドゴーン!!
地面からは大規模な噴火が発生。辺り一面にマグマが飛び散り、熱せられた岩石が四散した。
『あの程度にも気づかなかったのか?手応えのない奴らじゃの……』
わざとらしく悲しそうに。それでいて得意げに笑っているニック。
『……ん?』
しかし、目の前から感じる魔力はひとつたりとも減っていない。目を細めてじっと見つめていると……
「あらやだ。これくらいの魔法すら防げないとでも思っているのかしら?」
リヴァレーや倒れている皇子達含めた全員を浮遊魔法で浮かせているニティア。
#魔王
チタコロ
48
#探偵
橘靖竜
6,432
自転車和尚
1,223
#魔道具職人
こはる
1,904
「あまり挑発はしないでください……」
浮いている全員を結界魔法で守っているアルテア。
「そもそも直接防いだのはお前じゃなくてアルテアちゃんだろ!」
そう言いながら、槍から貫通魔法をニックへと放つルシオ。
『ちっ!!』
いきなりの攻防に、ニックは慌てて回避した。
「避けられてるじゃん」
『あっつーい!!なんでこんな所に呼ぶのよ!!』
『うるさいのが来た……』
いつの間にかゼフィリアを召喚していたエラリス。相変わらずの大音量にリヴァレーは耳を塞いでいる。
「あまり弟子を怪我させたくないんですけどね……」
術式を描き終えていたカエデが、ニック目掛けて小さな火の鳥を放つ。
ボン!
『バカにするなよ』
素手でその魔法を弾くニック。しかし、弾いた火は消えることなく、ニックの周りを小さな羽となり、キラキラと舞い始めた。
「そんじゃ美味しい所頂きますかね!」
『!?』
後ろから聞こえた声に慌てて振り向くニック。そこには剣をまさに振りかぶろうとしているフィニスがいた。
『魔力で気づかれないように、どさくさに紛れて私の風で吹き飛ばしてあげたんだから。ちゃんと仕留めなさいよ!』
「フィニス!身体はダメよ!」
「分かってるよ!」
ザシュッ!
ニックの片翼を切り裂いたフィニス。そのままマグマへと落ちる寸前、ニティアの魔法でふわりと浮かび上がった。
「お前もっと早く浮かせろよ!落ちる所だっただろ!」
「こっちも今色々と大変なのよ!」
片翼を失い、バランスを崩したニックは、再び魔力を込めて翼を再生させる。
「あらら……治っちゃった」
「これで終わってくれたら良かったんですけどね」
体勢を立て直し、再び飛び上がるニック。
『面白くなってきおった……♪』
コメント
1件
うわっ、100話まで来てこの展開! ニックがホムラの身体を乗っ取っちゃうシーン、ぞわっとしましたね……「最悪」ってつぶやくホムラの心情が痛いくらい伝わってきて。リヴァレーとゼフィリアが同時召喚されたのも熱かったです。精霊同士の因縁や、属性バランスを考えた連携がすごく巧いなと。カエデの術式も気になるし、次が待ち遠しいです!