テラーノベル
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『遊びはここまでにしよう……じゃが……それが邪魔じゃな』
ニックが指差した方向。ニティアが浮かせ、アルテアが守っている倒れた皇子達。
咄嗟にニティアが飛んで彼らの前に身構えた。
『違う。ソレを守るのに気が散って全力を出せなかった……なって言い訳を聞きたく無いからのぉ。少し時間をやる。あの土モグラでも出せば外へ連れて行ってくれるじゃろ』
ニックが真顔でそういうと、腕を組みながら上空をバサバサと飛んで目を瞑り出した。
「ホムラの身体を奪っておいてよくそんな事を……!」
カエデが怒りを抑えるよう、小さな声でつぶやいた。
『それとこれとは話が別じゃ。気が変わらぬうちに早くしろ』
唇を噛み締めるカエデ。その後ろでエラリスが両掌にモラティを呼び出していた。
『どうやらあまりいい状況ではなさそうだな』
「あそこに浮いてる人達を外へ送り出せる?」
エラリスの視線の先にいるぷかぷかと浮いている人達を見るモラティ。
『あぁ。問題ない』
「あとできればここに足場も作って欲しいかも」
『……了解した。魔力を借りるぞ』
手の上のモラティが光だし、ゴゴゴゴという音と共に火口の壁面から岩を隆起させ、足場を生成するモラティ。
全員がその足場に着地すると同時に、倒れている皇子達を岩石で包み込み、そのままモラティ共々壁の中へと消えていってしまった。
余計な人間がいなくなった事を確認したニックは、一度大きく背伸びをしたあと、恍惚の表情で全員を見下ろしていた。
『やっと準備ができたようじゃの♪』
ぼこぼこ……
『相変わらずだな……ニック』
地面からひょっこりと出てくるモラティ。
『あいつらは無事に外に出しておいた。それにしても……やはりこうなったか……』
ペンを使い空中に文字を書き始めるニック。
『お主も分かっておろう?これは仕方ないのじゃ♪』
書き記した文字の一文字一文字がバラけていき、上空に満遍なく広がっていく。
『ちょっとヤバいんじゃない?!』
『うむ……』
『面倒くさいなぁ……』
精霊達がニックの行動に、皆嫌そうな顔をしながら慌て始める。ニックが書いて散らばった一文字一文字からは、異常なほど高密度の魔力を発している。
それを感じたニティアも、慌てながら浮遊魔法を利用し全員を一気に引き寄せた。
「うおっ!」
「……」
「うっ……」
強制的に引き寄せられた全員が驚きながらも、その理由を察知したアルテアがすぐさま全方位に防御結界の魔法を展開する。
ニティアも急いで術式を構築しはじめ、エラリスも精霊達の力を借りようと弓を構え、魔力を貯め始める。
各々が動き始めて間も無く……
『それでは、再開といこうかの♪』
宙を舞う文字のひとつひとつが小さな光の球へと姿を変え、そのうちのひとつがニティア達目掛けて落ちていった。
「ふっ!」
ヒュン!
その光の球を、ゼフィリアの風の力を利用し加速させた弓で撃ち抜くと……
ドーン!!
大規模の爆発が起こった。
『いつまで捌けるか……すぐに終わるでないぞ♪』
ニックがペンをニティア達に向けると、宙を舞う小さな光の球が次々とニティア達へ降り注いでいく。
「モラティの作った足場の下はマグマ……上からは大量の爆発する光弾……したが崩れても、上の防御が疎かになってもおしまい……ほんと笑えないわね!」
『ニックは一度スイッチがはいると見境がなくなるからな……いくらボクでもちょっとしんどいぞ』
ニティアが術式を構築し、小さな魔法陣を大量に発生させる。
それに呼応するかのように、エラリスがリヴァレーの力を利用し、大量の水を足場を中心に生成し始めた。
小さな魔法陣から、幾つもの魔力の塊を上空の光弾目掛けて打ち上げるニティア。
命中した光弾はその場で爆発。その爆発に巻き込まれた光弾も爆発し、上空では爆発の嵐となっていた。
ドドドド!
足元の水が全員を囲うように広がっていき、アルテアの防護結界と合わせて、上空の爆発による熱風と衝撃を緩和していた。
「このままでは埒があきませんね……」
爆発の煙に覆われている中、額から汗を流しながら、杖に魔力を込めているアルテア。
全員が上空を向き、意識が上にいっている。そんな中ただ1人、真横の砂煙の動きの変化に気づいた男がいた。
ヒュン!
ガキーン!
「なっ!?」
#魔王
チタコロ
48
#探偵
橘靖竜
6,432
自転車和尚
1,223
#魔道具職人
こはる
1,904
後ろから突如聞こえた金属音に驚き振り向くニティア。
『回復経路を断ち切るのが戦の定石……だと思っておったのだが……いやはや、これも防がれるとは思わなかったぞ』
そこにはアルテアのすぐ後ろに、炎で作られた剣を振りかぶり、フィニスと鍔迫り合いをしているニックの姿がいた。
「ありがとうございます…!」
2人から距離を取るアルテア。
「お前……近接戦闘もできるのかよ……」
『逆に何故できないと思っておったのじゃ♪』
ギギギギ……
二つの剣で受け止めているのにも関わらず、一本の剣を持つニックに徐々に押し込まれていくフィニス。顔と顔が今にもくっつきそうなほど接近していた。
『ん?お主……先ほど切られた時にもしやと思ったが……魔力がないのか?』
ギギギギ……
「だったらなんだよ……」
『顔も悪くない……面白い男じゃ。んふ♪気に入った。お主、妾の伽の相手にならぬか?』
「は?!」
鍔迫り合いをしているフィニスではなく、ニティアがその言葉に反応していた。
「悪いけど……そういう我儘な女はもう間に合ってるんでな!」
後ろからアルテアの補助魔法で一瞬だけ力が漲るフィニス。力一杯踏ん張り、ニックの身体を剣ごと吹き飛ばすも、ニックはくるりと回転し、その場で羽ばたきながら笑っていた。
「っつ!!」
後ろへ吹き飛ばされる隙に炎の羽を飛ばしていたのだろう。何本かの羽がフィニスへ突き刺さっており、突き刺した場所を焼きながらふっと消えていった。
「フィニスさん!」
アルテアが急いで補助魔法から回復魔法へと切り替えてフィニスの治療をする。
「ふっざけんじゃないわよ!!」
色々なことが重なり、怒りの頂点に達したニティア。ニック目掛けて、魔力を圧縮に圧縮を重ね、超圧縮された水を発射した。
『おっと』
ピュン!
軽々とかわすニック。
『あは♪なんじゃ、もう唾がついておったのか♪』
「ムキー!!ムカつく!!」
『フィニスは私のよ!アンタみたいな超性格悪い奴になんか渡さないんだから!!』
「ん?」
『え?』
目と目が合うニティアとゼフィリア。
「モテる男は辛いな……」
「知らねーけどそんな場合じゃないんだよ……」
フィニスの隣で苦笑いをするルシオに、深いため息をつきながら、傷の癒えを確認するフィニス。
そんな中、全員の顔を見回し、改めてホムラの身体をしたニックを見つめるカエデ。
「……」
手に持った羽根のペンを力強く握り始め、空中に文字を書き始めていった。
コメント
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うわ、第101話、めちゃくちゃ熱かったですね…!「焔色の激戦」というタイトル通りのド派手な戦闘描写、特に上空の光弾と水魔法で相♡♡♡るニティアの連携がすごく印象的でした。でも何よりグッときたのは、フィニスに対するニックの「伽の相手にならぬか?」発言からのニティアの「フィニスは私のよ!」ですよ。ここでようやく感情が爆発した感じがして、構成的にニヤリとしました。あと、カエデが羽根ペンを握り直したラスト、これは次に何か仕掛ける伏線ですよね。月白さん、本当にキャラの心情と戦闘の緊張感のバランスが絶妙です。続きが待ち遠しいです!