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中に入ると、一斉に視線が私達に集まった。
みんなが「お疲れ様です!」と、悠人に挨拶して、片付けや作業の手を止めて急いで近づいてきた。
「お疲れ様。みんな、これから一緒に働く仲間を紹介する。俺の……いとこの結城 穂乃果さん。スタイリスト3年目だ。いろいろな雑務は、輝、1から全部教えてやってほしい。あと、カットの技術は梨花ちゃんに頼む」
「はい、わかりました。長谷川 輝(ひかる)です。アシスタント2年目です。よろしくお願いします」
元気に挨拶してくれた彼は、可愛い系のイケメン男子だった。見た目から明らかに年下だけど、アシスタント2年目だから、きっと22歳だよね。
マッシュヘアで、ゆるふわパーマ。オシャレなアッシュの無造作ヘアが、若々しくて良く似合っている。
「結城 穂乃果です。よろしくお願いします」
「私は、浅野 梨花。スタイリスト6年目です。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「じゃあ、よろしく。みんな下の名前で呼んでるから、穂乃果も覚えてくれ」
「あ、はい。わかりました」
紹介が終わり、私は浅野 梨花さんに呼ばれた。
「穂乃果ちゃんね。私は梨花でいいわ」
「梨花さん……よろしくお願いします」
小顔でとても綺麗な人だ。
ワンレングスベースでレイヤーを軽く入れた、大人っぽい雰囲気。黒髪が……美しい。
「早速だけど、カットの練習しましょうか」
「はい! よろしくお願いします」
普通、美容師としての資格を取り、店に入ると3年ほどアシスタントとして働く。
悠人みたいにアシスタント歴1年の人もまれにいるけど、よほどの腕がなければそうはいかない。
私は、もちろん、3年間アシスタントとして修行した。
シャンプーやマッサージから始まって、ブロー、スタイリングを実践。少しずつ、カラーやパーマにも関わり、2年目の後半くらいから、やっとカットをさせてもらえるようになる。
3年目でいろいろなカットにも挑戦するようになるけど、その技術は店が終わってから先輩のスタイリストさんから学ぶ。私は、ずっとお世話になったオーナーに教えてもらってた。今考えると、本当にたくさんのことをオーナーから学んだ気がする。
誰に付くかも、重要かも知れない。
3年のアシスタント経験が終われば、ようやく、スタイリストになれる。私は、スタイリスト3年目。技術も未熟でまだまだ勉強することがたくさんある。
「違う、もう少しハサミをこう入れてカット」
梨花さんの指導。
さすが6年目だ……気合いが違う。それに、悠人のお店で働いてるってことは、ものすごい腕があるんだろう。悠人は、必ず面接と技術をしっかり見て、自分で判断するって言ってたから……
「はい。わかりました」
いろいろ教えてもらって、もっと上手くなりたい――そう思った。
今、悠人は奥で打ち合わせをしているようだ。
私も1時間くらいして、今日の練習を終えた。