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Mist-404
52
めめは椅子に腰掛け、頬杖をつくと、少し考える様子を見せる。
「…私がウパパロン様に味方をした理由、でしたよね。」
対面に座る不器用なメイドは頷くと
「…そうですね、めめ様に反逆するだとか、そんな事ではないんです。」
「単純に…疑問でして。」
「ふふ、分かってますよ。」
めめは少し緊張していそうなメイドに落ち着くよう促すと、笑いかけた。
「…確かに私とウパパロン様の思想は…同じではないと思います。」
「ですが_私もただの人間なんでしょうね…ふふ。」
めめは少し困ったように笑った。
「 出来もしないことを民間人が責め立てるのを、なんとなく…見ていられなかったんです。」
めめは静かな部屋の中で、ひとつため息をつく。
「…見ていられなかった、ですか…。」
「えぇ、なんで…でしょうね。」
めめは苦笑いをする。
「…失礼にあたるかもしれないんですけど_」
「やはりめめ様は、よく分からない人だなぁ、って思う時があるんですよね。」
「…よく分からない…きっと皆が思っていると思いますよ。」
「…でも、私は分かります。」
メイドもまた、ふぅとため息をつく。
「めめ様は誰にでも優しいです。」
「…自分に危害を加える人には容赦しませんが…」
「…異なる思想も受け入れることができる人、というのは…なかなかいないと私は思います。」
「…優しい、ですか…」
「ふふ、ありがとうございます。」
めめは少しばかり照れたように笑う。
「…もしかして、あまり言われたことないんですか?」
「えぇ、一般人は、私をリィン・システムを持つ死神としか認識していませんからね。」
「これまでも……」
めめは少し考えると、メイドに視線を合わせ、笑う。
「いや、なんでもないです!」
めめはそう言って姿勢を正すと、ゆっくり立ち上がる。
「…私は書斎に行きますね、夕食時になったら、どうぞお呼びください。」
「はーい、分かりました。」
メイドは思う。
(…めめ様、何か隠してる?)
___
「…ウパパロン様、来客です。」
執事が、自室で本を読むウパパロンにそう声を掛ける
「…あぁ〜……対応を代わりにお願いしても?」
「分かりました。」
執事が部屋を出たあと、ウパパロンは考える。
リィン・システムが一刻も早く普及される方法を。
(…先人の遺物、それを今私達に再現するのは…不可能に近い。)
(…私達が使っていた技術とはまるで違う)
(……どうやって作られたかは分からない…けれど、パーツさえ集まれば…)
「…でも、それでもダメだ…」
「…誰かを救いたいだけなのに…」
「あ、ウパパロン様…。」
執事が申し訳なさそうな笑顔で、声を掛けてくる。
数秒の沈黙ののち
「…あ、ごめんなさい。」
「…癖でして。」
そう言って、ウパパロンは頭を掻く
「いえいえ、私の事は気にしなくていいんです。」
「…来客ですが、ただウパパロン様に謁見したいといった様子の一般の子供でしたので、通すことは出来ない、と一蹴しました。」
(…子供、か。)
(…いや、きっと大丈夫だよね。)
(いたずらに来たんだろう_)
「…分かりました。」
ウパパロンはそう返事をする。
そして、申し訳なさそうに話した。
「…あの、少し聞いてほしい事があるんです。」
少し、いつもより声は小さい。
執事はすぐに、弱い所を見せるウパパロンを察知する。
「…ウパパロン様が、弱みを見せるなんて…」
執事は少し驚いたような表情をする
ウパパロンが、大きくため息をつく
「…忘れがちかもしれませんけど、私も人間で、ずっとタヒを見てきたんですよ。」
「ははは、そうですね。」
執事はそう言うと、部屋を出たウパパロンに着いていく。
二人は書斎の中にある木製の小さな椅子に腰掛けた__
___
「…はぁ、はぁ…」
ボロボロの服を着た少女が、街中を走っていた。
「だ、だめだ、逃げないと、だめ」
汗をダラダラ流しながら、嗚咽を漏らす。
「おとうさんも、おかあさんもおかしいよ」
「りぃん、しすてむ?を貰うためなら、私を売る、とか」
「ひぐっ、ひぐぅっ…!」
「わ、わかんないよ…」
「うわぁっ!?ビビったぁ!!?」
「え、何…?」
そんな大人の言葉は今の少女の耳に届くはずもなく、 小さい体で、ひたすらに彷徨うように、街を歩く人々をかき分けて走る。
少女は、体力が尽きてしまったのか、バタリと倒れ、はぁ、はぁ、と息を切らす。
「…だれか、たすけ__」
後方から、男の怒号が聞こえる
「…!おとうさんっ!?」
「だめ、にげなきゃ…」
だが、少女は振り返ることも、立ち上がることも出来ず、父の声がどんどんと近づいてくる。
父は明らかに、少女に対し対し愛なぞ向けていない様子であった。
「…あ、あ、こわい、たすけ_」
「何をしている。」
その時_少女の前に、知らない男が立ち塞がる。
少女の父はその姿を見て_心底怯えたような表情で後退りをする。
こっそりと少女が振り返り、父の様子を伺おうと顔を出すと、父は足の力が抜け、命乞いをしているかのような様子になっていた。
「…この少女を捕らえるつもりなら…」
そう言って、男は剣を取り出して、父親の額に突きつける
“皇”である俺が_許さねぇ。
民衆がそれを を聞いた瞬間、心底驚いた様子で硬直すると、彼と少女の父を交互に見る。
ヒソヒソと民衆の声が聞こえる。
(…さて、この父親から子供を引き剥がそう。)
民衆の声を気にする事はない。
父の息が荒く、過呼吸気味になる。
「…ヒィッ!!!」
「に、二度とこいつに手は出しません!!!だからどうかお許しください!!おねが__」
「_”ヒナ”、こいつを捕らえろ。」
「はーいっ、ルカお兄様!」
妹であるヒナが楽しそうにルカの元へ駆け寄ると、少女の父に向け、魔法で鎖を出した。
「!?」
父親は心底驚いた顔をするが、しばらく3人を強く睨んだうちに_俯いてしまった。
コメント
3件
まーーーさかの柊鳴兄妹キタコレ!?神回確定〜☆
いやあ、めめの「見ていられなかった」が沁みたわ…。リィン・システム持つ死神って呼ばれてても、ただの人間なんだなって。対照的に、ウパパロンの「誰かを救いたいだけなのに」の苦しみも重かった。ラストのルカ父ちゃん颯爽登場で一気に引き込まれたし、この格差ある世界でどう動くのか続きガチで気になる🔥