TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
回転木馬

一覧ページ

「回転木馬」のメインビジュアル

回転木馬

12 - 第12話アイリス・カートン

♥

13

2022年10月22日

シェアするシェアする
報告する

の名前はアイリス・カートン。貴族の中でも裕福なカートンの一人娘にして、次期当主候補筆頭の一人でもあるわ。そして、今まさにその次期当主たる資格があるかどうかの試験を受けようとしているところね。

そう。私こそが次期当主に相応しい人間だということを証明するために、今日という日を迎えたわけ。

「お嬢様。そろそろ準備のお時間でございます」

執事の声によって、私は意識を取り戻した。いけない。試験会場に向かう前に、少しだけ気持ちを落ち着かせようと思ったのだけれども……緊張しすぎて逆に変になってしまったみたい。

「ありがとう。すぐ行くわ」

鏡の前で身だしなみを確認してから部屋を出る。廊下では既に両親や兄弟たちが待っていてくれた。

皆、私と同じ白を基調とした服を着ていた。ただ、私の服は他の家族と比べて装飾が多く豪華に見える。きっとこれが貴族の正装なのだと思う。

そして私たちは一列になって歩き出した。向かう先は屋敷の裏庭。そこには既に何人かの使用人が待ち構えていてくれており、私たちの姿を見ると一斉に頭を下げた。

使用人たちは白い布で覆われたものを持っている。あれが今日の主役となる品物らしい。使用人たちが布を取ると、中からは綺麗に装飾された小さな棺が出てきた。

蓋を開けると中には美しい少女の死体が入っている。その顔を見て俺は絶句した。俺の顔を見た使用人が話しかけてきた。

「お坊ちゃま、これが最後の品物となりました。この子は私の娘でしてね、まだ幼いときに亡くなってしまったんですが……とても可愛かったんですよ」

娘という言葉を聞いて俺は胸の奥底から湧き上がってくるものを感じた。それは強烈な吐き気だった。耐え切れなくなりその場で嘔吐してしまう。使用人達が慌てて駆け寄ってきた。しかし俺はそれを無視して走り出した。向かう先は屋敷の外。

「待ってくれ!」

後ろから父の声が聞こえる。だが構わず走る。途中誰かにぶつかるが謝ることも無く走り続ける。屋敷から出て森の中へ逃げ込む。そこでようやく立ち止まり呼吸を整える。

あの子の笑顔を思い出す度に激しい頭痛に襲われる。頭を掻きむしりながら叫ぶ。

「くそっ! どうしてこんなことになったんだ!?」

しばらく叫び続けた後、落ち着いてきたところで考える。なぜあんなものが送られてきたのか。

少し前まで普通に暮らしていたはずだ。なのに今ではもうあの屋敷に近付くことすら出来ない。

一体どこで間違えた? 何をすればよかった? 考えれば考えるほど分からなくなっていく。

そうしているうちに辺りが暗くなってきた。これ以上ここにいたらまたモンスターに襲われそうだし今日はこのくらいにしておこう。明日はもっと奥に行ってみようかな。

「さっきまであんなに晴れていた空が急に曇ってきたね……雨でも降るのだろうか?」

雲ひとつなかった青空だったはずなのに今はどんよりとした灰色になっている。まるで僕の心を映してるみたいだ。

「そろそろ帰ろうかな……」

僕はそう呟くと帰路についた。

****

「あー疲れた!」

宿に帰るなりベッドの上にダイブする僕。その瞬間全身に疲労が駆け巡ったような感覚に襲われる。

「もうちょっとレベル上げてから行くべきだったかも」

後悔先に立たずとはまさにこの事だと思う。あの時は早く強くなりたい一心でつい突っ走ってしまったのだ。

「今更言ってもしょうがないけど」

こんな時こそステータス確認をして気分転換しよう。まずは職業からだ。

【名前】ユウキ=ルロワ

Lv.13 職業:勇者

HP:2400/2420

MP:680/685

STR:220

VIT:120

DEX:350 A

この作品はいかがでしたか?

13

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚