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## 第23話:ゼストの守護者
突如としてゼストの艦内に鳴り響いた第一種戦闘配置のサイレンは、束の間の安らぎを無慈悲に切り裂いた。
通路を走る乗組員たちの足音と、隔壁が閉まる重厚な音が重なり合う。
「チッ、いい夢見てたってのに、どこのどいつだ!」
ゼロ・ドラートは、自室のベッドから跳ね起きると、椅子に放り出していた愛用の**赤いジャケット**をひったくるように羽織った。袖を通し、フロントのジッパーを上げる。その所作一つひとつが、少年を「ヴァルチャー」から「ガンダムのパイロット」へと変えていく。
格納庫へと急ぐ通路で、ゼロは避難誘導に従ってブリッジ付近へ向かうミラとセレスの姿を見つけた。
「ミラ!」
呼びかけると、ミラは立ち止まり、不安げな蒼い瞳でゼロを見つめた。その細い指先は、セレスの腕をぎゅっと握りしめている。
「……ゼロ……。暗い、大きな波が……外から……。行かないで……」
ミラの感応能力が、敵の殺意を先んじて捉えていた。その体は微かに震えている。
「心配すんな。俺がさっさと片付けて、また美味い飯でも食いに行こうぜ。セレス、ミラを頼んだぞ」
「わかってるわ。……ゼロ、あんまり無茶しないで。ここはあなた一人で守ってるんじゃないんだから」
セレスの言葉を背中で受け流し、ゼロは第一格納庫へと滑り込んだ。そこには、すでに出撃準備を整えた二機の影があった。
「遅いぞ、新入り。おねしょでもしてたか?」
声をかけてきたのは、重装甲ガンダム『バスターヴァイス』のコクピットハッチに腰掛けたカイル・ヴァンだった。その横では、軽量機『シャドウエッジ』の肩に乗ったジュード・レイスが、不敵な笑みを浮かべて手を振っている。
「へっ、寝起きのウォーミングアップにはちょうどいい数だ。外には何機いやがる」
「ポーン・ジェニスが十機。だが、後ろに控えてる連中の動きが不気味だ。ただの偵察じゃねえな」
カイルの冷静な分析に、ゼロは鼻で笑った。
「十機か。一人三機ちょっとって計算かよ。お釣りが出るぜ」
「威勢がいいねぇ、ゼロ。でも、あんまり突っ込みすぎて死ぬなよ? 整備長のリンさんが泣いちまうからな」
ジュードの軽口を合図に、三人はそれぞれの愛機へと飛び込んだ。
プロト・ウイングエックスのコクピット。リニアシートに身を沈めたゼロは、慣れた手つきでメインコンソールを叩いた。
『SYSTEM CHECK… ALL GREEN. ZERO SYSTEM… CONNECTING.』
モニターに浮かび上がる「Z.E.R.O.」の文字。だが、システムが起動した瞬間、ゼロの視界にザラついた**ノイズ**が走った。
「……っ!? なんだ、今の……」
いつもならミラの存在によってクリアに保たれる予測ルートが、今日はどこか霞んで見える。脳の奥を針で刺すような鈍い痛み。
だが、その直後、コンソールの奥でガドルフが施した「緩和装置」が鈍い光を放ち、神経への過負荷を強引に吸い込んでいく。
「……ふぅ。じいさんの装置がなきゃ、今頃白目剥いてたぜ。……ミラがそばに居ねえだけで、これほど不安定になるのかよ……」
ゼロは、自分がいかにミラの存在に助けられていたかを痛感した。だが、今は感傷に浸っている暇はない。
「いくぜ、相棒! ゼストの連中に、俺たちの力を見せつけてやろうじゃねえか!」
ゼストの後部ハッチが開放される。
真っ先に飛び出したのは、ジュードのシャドウエッジだった。砂塵を巻き上げ、ステルス機能を活かして瞬時に敵のセンサーから姿を消す。
続いてカイルのバスターヴァイスが、地響きを立ててその重厚な姿を現した。
「バスターヴァイス、出る。新入り、背後は任せたぞ」
「誰が新入りだ! 追い越してやるから見てやがれ!」
プロト・ウイングエックスが、十枚のサテライトバインダーを翼のように広げ、夜明け前の暗い砂漠へと爆発的な加速で躍り出た。
前方、一キロ地点。
砂丘の向こうから、十機の無人機『ポーン・ジェニス』が、統制のとれた動きでビームライフルを掃射してきた。
「ゼロ・システム……敵の弾道予測を出せ!」
脳内に流れ込む無数の赤い線。ノイズ混じりではあるが、緩和装置のおかげで「見える」。
ウイングエックスは空中で急旋回し、雨あられと降り注ぐビームの間を縫うように突き進む。
「遅いんだよ、てめぇら!」
一気に間合いを詰めたゼロは、右腕のバスターソードを抜き放ち、先頭のポーン・ジェニスを一刀両断した。
爆発の光が砂漠を照らす。
左方からは、ジュードのシャドウエッジがアンカーワイヤーで敵の足を止め、ヒート・ダガーで動力部を正確に貫いていく。
後方では、カイルのバスターヴァイスが二連装主砲を唸らせ、遠距離から次々と敵を肉片へと変えていく。
三機のガンダムによる、圧倒的な蹂躙劇。
しかし、その様子をブリッジのモニターで見守っていたミラは、強く胸元を押さえていた。
「……違う……。これは、誘い(おとり)……。ゼロ……見て……後ろに……もっと冷たい、悪意が……」
ミラの警告を証明するかのように、ポーン・ジェニスを全滅させようとしたその瞬間、砂漠の地中から巨大な熱源反応が急上昇した。
「なんだっ!? 下からだと!?」
ゼロが叫んだ瞬間、ウイングエックスの足元の砂が爆発し、見たこともない形状のクローがその脚部を掴もうと迫り上がってきた。
戦いは、まだ始まったばかりだった。
**次回予告**
地中から現れた、ルカスの新たな刺客。
ノイズに苛まれるゼロ・システム。その隙を突き、最強の処刑人が三機のガンダムを分断する。
絶体絶命の窮地に、ミラが下した決断とは?
そして、サテライトバインダーに宿る「真実の光」が今、砂漠の闇を貫く!
次回、『俺の相棒を、ガラクタと一緒にすんじゃねぇ!』
**「ノイズがなんだ! 俺とこいつの繋がりを、舐めんじゃねえぞ!!」**