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#いや本当尊すぎて死にそうまじ可愛い天使好き結婚したい可愛すぎるほんっと好き。
第24話:『俺の相棒を、ガラクタと一緒にすんじゃねえ!』
地響きと共に砂塵が天を突き、砂漠の底から「それ」は這い出してきた。
現れたのは、通常のMSの倍近い全高を誇る重装甲格闘機『グラップ・クラブ』。ルカス・ギルモアが対ガンダム用に秘密裏に開発していた、地中強襲型の処刑マシンである。
その最大の特徴は、両腕に装備された、機体全長の半分ほどもある**巨大なパワー・シザー(ハサミ)**だった。
「うおわぁぁっ!?」
ゼロ・ドラートの叫びと共に、プロト・ウイングエックスの足元が爆発する。間一髪、バーニアを吹かして上昇したものの、巨大なハサミの先端がWXの脚部装甲を掠め、火花が夜の闇に散った。
「下からだと!? ふざけやがって……ゼロ・システム、敵の出方を見せろ!」
ゼロは歯を食いしばり、コンソールを叩く。だが、ミラが側にいないことによるノイズは依然として視界を濁らせていた。緩和装置が「キィィィィン」と異音を立て、無理やり脳への負荷を抑え込んでいるが、予測ルートが二重、三重に重なって見える。
「クソッ、どっちが本物だ……右か、左か!?」
迷った一瞬が命取りになる。グラップ・クラブの巨大なハサミが、空中のウイングエックスを捕らえようと、凄まじい速度で開閉した。
**ガキィィィィィィィン!!**
金属同士が激突する硬質な音が砂漠に響き渡る。
ウイングエックスは咄嗟にバスターソードでハサミを受け止めたが、敵のパワーは桁違いだった。
『――ハハハ! 墜ちろ、白い悪魔! その首、俺のハサミで切り落としてやるぜ!』
敵パイロットの狂気に満ちた通信が入り込む。
「ゼロ! 下がれ! 奴のトルクは異常だ、正面から受けるな!」
後方からカイルのバスターヴァイスがハイパー・ギガ・キャノンを放つが、グラップ・クラブは背部の重装甲でそれを受け流し、執拗にウイングエックスへと肉薄する。
「下がれって言われて、はいそうですかって言えるかよ!」
ゼロは叫び、バスターソードを力任せに押し返すと、空中で反転してハサミの「節」の部分を狙って蹴りを見舞った。しかし、敵はハサミを盾のように交差させ、その衝撃を吸収する。
「ジュード! 奴の関節を狙え!」
「了解! ……だけど、あのハサミが邪魔で近づけねぇよ!」
ジュードのシャドウエッジがアンカーワイヤーを放つが、グラップ・クラブはハサミを高速回転させ、ワイヤーを紙切れのように切り刻んだ。
ゼストのブリッジ。ミラは、メインモニターに映し出されるウイングエックスの苦戦を、祈るような形で見つめていた。
「……ゼロ……。苦しんでいる……。あの子の声が、彼を苛んでいる……」
ミラの瞳には、ゼロの脳内に走る不快なノイズが見えていた。ゼロ・システムが「勝利への最短ルート」を示そうとするたび、ミラの不在という「欠落」がエラーを引き起こし、ゼロの精神を削っている。
「ミラ、大丈夫よ。あいつは……あいつはそんなにヤワじゃないわ」
機体の故障により出撃できない状態だったセレスが横で励ますように肩を抱くが、彼女の手も微かに震えていた。
戦場では、グラップ・クラブがついにウイングエックスの左腕を巨大なハサミで挟み込もうとしていた。
「させ……ねぇよ!!」
ゼロは操縦桿を限界まで引き絞った。
ウイングエックスの背部、6枚のサテライトリフレクターが激しく振動し、姿勢制御用のバーニアが火を噴く。
ハサミが閉じる寸前、ゼロはあえて機体をハサミの「内側」へと滑り込ませた。
「なっ……死ぬ気か!?」
敵パイロットが驚愕する。ハサミの中央、支点となる部分に潜り込めば、切断の威力は半減する。だが、そこは敵の懐――格闘戦においては最も危険なゼロ距離だ。
「**俺の相棒を、ガラクタと一緒にすんじゃねえ!**」
ゼロの咆哮と共に、ウイングエックスの右拳がグラップ・クラブの顔面に叩き込まれた。
さらにゼロは、至近距離から頭部バルカンを全弾発射し、敵のセンサーを強引に焼き切る。
「カイル! ジュード! 今だ、やれっ!!」
「……よくやった、新入り! 全門、斉射ッ!!」
「隙だらけだぜ、デカブツ!!」
バスターヴァイスの主砲と、シャドウエッジのヒート・ダガーが同時にグラップ・クラブを襲う。
凄まじい爆炎が上がり、敵機はたまらず後退した。しかし、これほどの集中攻撃を受けてもなお、グラップ・クラブはハサミを振り回し、地中へと逃げ込もうとする。
「逃がすかよ……! 決着を……つけるんだ……!」
ゼロの視界を、さらに激しいノイズが覆う。
緩和装置の限界。脳を焼くような熱。
だが、その闇の向こう側に、一筋の銀色の光が見えた。
「……ミラ……?」
通信機越しではない。ゼロの脳内に直接届く、透き通った声。
それは、遠く離れたゼストのブリッジで、ミラが全精神を集中させて送った感応波だった。
『……ゼロ……。月が……出ているわ。……私たちの、月が……』
ゼロがふと空を見上げると、厚い雲の切れ間から、不気味なほど白く輝く満月が姿を現していた。
**次回予告**
砂漠の地下に逃げ込んだ執念の『狩人』。
だが、雲を割る月光が、白い死神に最後の審判(ジャッジメント)を下す。
ミラの心がシステムに溶け合い、禁断の輝きがチャージされる。
戦場を、そして絶望をも消し去る一撃が、今。
次回、『月の光を背に受けて』
「ミラ、俺に力を貸せ……。すべてを終わらせる一撃を、ぶち込んでやる!!」
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