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新作です
・これはあくまで二次創作です
・ご本人様とは全く関係ございません
・一応市役所‥?
・良くないコメントはやめてください
・2026/02/16 現在ではサムネはまだ書いている途中です
以上
鬱side
始まりは、ほんの一瞬やった
いつも通りの真夜中、ベランダで街の光を見下ろしながらの一服
不意に、ポケットに入れていた携帯が揺れた
慣れた手つきで取り出しぱっと電源をつけると
一件の新規メッセージ
ゾムからだった
メッセージをタップして開くと、
緑色を背景に、いくつかのメッセージが連なるチャット
@ゾム『大先生?』
珍しい、個別チャットでの短いメッセージ
普段はグループチャットしか使わないのに、そんな重要な話なんだろうか
あまり重たい話は好まない気質ゆえ、少し重いような気持ちで返信する
@鬱『なんや?』
できるだけ軽く
フラットに返す
@ゾム『後ろ見てくれません?』
@鬱『後ろぉ?いややけど。』
命令されるとやりたくなくなる。これぞ人間
すると恐ろしいほどに早く返信がついた
@ゾム『いいから、はやく、はやく、後ろ』
少し不思議だ、銃口を突きつけられても気にせずゲームできるほど図太いゾムが
こんなに焦るなんて…
おもしろぉ…ww
にやりと悪い顔を浮かべながらフリック入力を急ぐ
@鬱『なに?命でも狙われてんの?w』
既読がついたかと思えば、直ぐに電話がかかってきた
おちょくってやるかと緑に光る通話ボタンをタップした
『もしもし?大先生?』
「おうおうなんやねんお前めっちゃメールしてきて…」
そう言いながらベランダの柵を背に、のけぞった体制で電話越しの声に返事をする
ふと、クローゼットの隙間が目に入った
『え?俺…』
『メールしてませんよ?』
背筋を冷たい汗が走る
クローゼットの隙間が大きく音を立てて開いた
「ヤバい村の奥さんや!できたらEする。ピース、キノコ、バナナ、バッターによろしく!!」
こういうときに迂闊に名前は出せない
咄嗟にその考えが出てきて良かったなんて自画自賛は片隅に捨て置いて
刹那黒い手のような触手のようなものが俺の体を包み込む
生ぬるい不快な空気と、ほんのりとカビの臭がする風が俺の頬を撫でていく
腕の早さと風の湿らしさのギャップが気持ち悪い
部屋が一瞬で黒に染め上げられる
高かった寝具まで闇に飲まれるところを見届けると
口、目、耳…穴という穴から煙と固体の狭間のような黒い何かが入り込んでくる
すぐに思考がぼやけ始め、コレは逃げられないと悟った
どこか遠くから、俺の名前を呼ぶ声がする
仲間でも、人間でもない…化物自身の声だと確信できた
暗がりに一つ、
いまだ小さく脈打つ煙草の火種
その周りを避けるように黒い物体はあたりを渦巻く
爆ぜぬ光は新築同様の床に焦げ目を付けながら絶えていく
とうとう火が消えた煙草が暗闇に咽まれるのと同時に
俺の意識は暗転した
ゾムside
切れた電話から無機質な声が響く
コレやばいよな‥ふざけてる声色やなかった
まずは暗号‥といえるほどしっかりしたものじゃないが
便宜上、暗号と言っておこう…
ともかく、それらの解析が最優先や
”ヤバい村の奥さん”…これは前の国でチーノ、大先生、ショッピ間で流行った言葉で
本人たちは命の危機に瀕したときによく叫んだりぼやいたりしてるって言っていた気がする
つまり、ワンチャン大先生は死ぬ…
それほどに、恐ろしい状況に対面してる…
…そんなこと、今考えたって助けられるわけない
次、”E”コレは確かEメールから来てたメール、連絡とかの略語
コレは普段から使ってるからわかりやすかったな…
最後、”ピース””キノコ””バナナ””バッター”
…ピースはショッピの愛用している煙草の銘柄
キノコはトントンの本体
バナナはエミさんの武器の愛称
バッターは野球ファンかつ愛武器がバットのシャオロンのこと
つまりマジヤバメンツ揃えろってわけか…
普段から楽観的で、その上、一般人よりかは余裕で腕が立つ大先生がこうやって全員招集とか…
部屋にゴキブリ出た時以外したことないくせに…
それほどに切羽詰まったのか
だとすると相手はよほどの手練…
いや…ここ最近市を賑わせているテロ集団かもしれん
どちらにせよ、鬱先生救出大作戦は必ず成功させなあかん
きっとヒントは残してくれるはずやし
メールのことも聞かなあかんし
そう思いながら、手袋越しの自らの携帯をタップし始めた
ショッピside
僕はその時、部屋でソロゲームをしていた
普段は大人数でやるから、おもしろさを求めがちだけど
僕らだって練習してPSを鍛えるくらいする
画面の向こうで窮地に陥った操作キャラをどうにか助けるべく
ガチャガチャとうるさい音をたててキーボードを叩く
だが結果はあえなく死亡
また負けだ
この調子じゃ今月までにランク上げるとか無理かもしれない…
あ〜DDRしたい、動きたい
また大先生誘っていこうかな
被っていたヘッドセットをとりながら
ぼおっとしていると
突如電話が鳴り響いた
全員ミュート禁止とかいう、緊急用のメールからだった
慌てて通話ボタンをタップすると
そこには複数人がすでに入っていた
普段、みんな通話となるとだらけきった格好で
それもとりとめのない雑談をするためだけの物
だけど、今回はどこか違う
皆纏う空気は固く、普段うるさいくらいに明るいシャオロンさんやゾムさんも黙りこくっている
大先生はまだ来ていないみたいやけど…
いつものことやしまぁええかと、気にせずに終わった
「すみません。遅れました」
『いや、別に遅れてはないから良いよ』
そうエミさんがフォローを入れてくれる
こういう優しさが普段からいじられる理由なのを、この人は理解しない
「で?なんなんですか?」
そう僕が話を振ると、ゾムさんが努めて真剣に話し始めた
『それがやな…大先生…誘拐されおった…』
はあ???
通話越しにみんなの声が重なった瞬間だった
ショッピside
大先生が誘拐
相手は相当の手練か
もしかしたら組織かもしれない
『まじか〜…』
シャオさんが驚きつつも納得と言った様子で相槌を打つ
『まぁこの電話で一人欠けてるってなると…』
『そいつがやばいっちゅうことやもんなぁ…』
エミさんの言葉にトントンさんが続ける
「とりあえず、状況説明お願いしてもいいっすか?」
皆それぞれ思考を張り巡らせ始めたところで
引き上げるように声を掛ける
今ここで一人ひとりが考え込んでもまともに進むわけがない
『えっと…とりあえず推測とかなしに、事実だけ列挙するな』
まず、俺に大先生から電話がかかってきてん
なんやろな〜って出たら、なんか
大先生視点では俺がメールしまくってたらしくて…
メールしてないよ〜って伝えたら、奥から大きな音と大先生の叫び声…
そんで、お前らを招集しろって暗号かなんかしらんけど遠回しで伝えてきて…
とりあえず話するかって感じで今ここ。
そこまで話し終わると、皆そろって唸る
『情報なさすぎやろ大先生‥』
画面の向こうでうなだれたトントンさん
こころなしか、頭上のキノコも落ち込んでいる気がする
『でもそれほど切羽詰まってたってことになるよな‥多分…』
いつになく真剣な顔で呟くシャオさん
この人は鋭い、俺等が思いつかへんことをぱっと出してくれる
『あ〜‥そういえば…この前バーで似たような相談をされましたね…』
エミさんがそういうのみんなが一斉に喋りだした
中には絶叫とも取れる大声も混じっていて
ノイズキャンセリングありきでも耳鳴りがしそうだ
『ずっと前の話だから…あんまり詳しくは覚えてないんですけど…』
この前バーでとある男性客の相手をしていた時
その客からこんな相談をされたんです
男性は、ある朝に彼女から電話がかかってきて
彼女に「昨日の夜、メール送りすぎ。」と言われたそうです
心当たりはないながらも、その時お酒を飲んでいたから知らないうちに送っていたのかなと
適当に謝ってから他愛もない話をし始めたそうです
その時、彼女が連れ去られると叫んで電話口は静かになった
彼女が電話で出した名前の相手が、今次々と消えているらしく
その男性は「次は俺だ」と怯え過ごしているそうです
「ってことは‥その電話、もしくはその名前を呼ばれた人の電話で大先生が呼ばれて…」
連れ去られた
『まぁそう考えるのが妥当かなぁ…』
トントンさんがあごひげを撫でながら呟く
『あ〜じゃあ俺等大先生に救われたっちゃ救われたんか』
ゾムさんがそういう
ふと、ゾムさんが言っていた大先生の台詞を思い返してみた
確かに、誰も本名は呼ばれてはいない
「そういうやそういう話でしたね」
『俺も「お前」としか呼ばれてへんかったからな』
コレで俺等になんの問題もなければ
きっと彼奴等は電話越しの本名を使って誘拐を行っていると
規則<ルール>が見えてくる
「今んとこ事実なんって結局…」
・鬱先生が連れ去られた
・似たような事件が起こってる
「だけっすか?」
『まぁ事実だけ列挙するとそうなるな』
『んで、そっから俺らの考察を入れると…』
・鬱先生、そして他の被害者は電話で名前を呼ばれていた人
・電話で名前を呼ばれることが連れ去られる条件
・自室でいるところを電話を媒体に連れ去られる
『ってことは…』
『まぁ…これだけ見ると…お化け…とか?』
そんな馬鹿な、いやでもあながち間違いじゃ
噂話からちゃちな怪談まで、ありとあらゆる関係ありそうなこと
気づけばパソコンの共有ノートはメモでいっぱいになっていた
ああだこうだ議論しているといつの間にか時間が過ぎ去っていたのか窓の外は白み始めている
「まぁとにかく何をするにも調査が必要っすかね‥」
『そう…なるね…』
『大先生の話もあるしな…』
『今後は俺等名前で呼び合うこと一旦やめてみたりとか、できる限りの対策はしようか』
「そっすね」
それじゃ、そう簡単に締められて
通話は切れた
椅子の背もたれに体を預け、天井を見やる
ギシッと椅子から軋む音が聞こえた
天井はあいも変わらず不気味なくらい真っ白だった
次回:第二話「向こう」