テラーノベル
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晴明視点。
みんなの視線が刺さる。
嫌だ。
見ないで。
──僕の本心を。
「あーあ……かわいそ」
「……ふざけんなッ!!」
凛太郎くんが殴りかかる。
同時に、飯綱くんも鎌を出す。
2人からの攻撃。
完璧なはずの連携。
でも。
全部、外れる。
いない。
最初から、そこにいなかったみたいに。
「無駄だってば」
後ろから声。
全員が振り向く。
そこにいる。
変わらず無傷で。
「全部分かる。全部読める。」
僕も動こうとして、
『……あ、あれ…』
な、何で……
何で今に限って力が……
「………ふーん」
「今に限って力が使えないんだ」
息。息。息。
どんどん浅くなっていく。
「心読まれて、怖くなったんじゃない?」
けらけら笑う。
手に力が入らない。
「ほら」
さとりが、少しだけ首を傾げる。
「どうするの?」
誰も動けない。
こんなの、戦いじゃない。
ただぜんぶ見透かされているだけ。
遊ばれてる。
そんな感覚。
「ねえ、どうするのってば」
くすくす笑ってる。
………あぁ。
………もう、無理だ。
「うん。そうだよ」
「もう無理なんだよ」
さっきより、近い。
視界の端で、凛太郎くんが歯を食いしばっているのが見える。
飯綱くんは動こうとしては
止まるを繰り返してる。
学園長は……動かないまま。
『…………はぁ、』
息を、何とか整える。
心の傷は抉られたまま。
それでも。
「……なんか企んでる?」
覚が呟く。
「誰か呼ぶ気?」
はじめて覚が曖昧になった。
やっぱり、
*この子*のことになると分からないよね。
——そこだ。
「……っ」
覚が後ずさった。
今度は僕が近づく番。
「何する気……」
「晴明くん……?」
学園長がようやく口を開く。
視線が集まる。
息を深く吸って、力を抜く。
目を閉じる。
『……おいで』
静かに呟く。
でも、しっかり指し示すように。
「………?」
「……誰を呼ぼうとして…」
目を、ゆっくりと開く。
*その子*の姿をちゃんと、
認識できるように。
『……おいで』
『………朱雀』
静寂が訪れた。
言葉も、風も、葉も、
何の音も鳴らない。
空気さえ、止まった気がした。
次の瞬間。
熱が浮く。
上から焼けるような気配。
「もー。」
「呼ぶの、遅いよー?」
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