テラーノベル
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晴明視点。
軽い声。聞き慣れた声。
見上げると、そこにいる。
翼を広げた影が、空から降りてくる。
炎を纏って、にこにこと笑いながら。
「晴明くん」
その声だけで、
張り詰めていたものが少し解けた。
「そんな顔してるってことはさー」
「相当やられたんだねー?」
くすっと笑う。
でも、その目は。
まったく笑っていない。
「……へえ」
ふわり、と着地する。
覚と、僕の間に。
「これが元凶?」
初めて。
覚が真顔で観察してる。
「……誰。」
「答える義理なーい」
視線が、僕に戻る。
「で。どうして欲しいの。」
「晴明くん」
『…………』
少し言葉が喉に突っかかった。
でも、それでも。
朱雀にしか頼めない。
『……力を、貸して』
朱雀がにやっと笑った。
無邪気に、
満足したかのように。
そして、朱雀の手が僕の頭に伸びた。
優しくて、暖かい。
「晴明くん」
「……よくできました」
剣が現れて、振り下ろす。
が。
当たる寸前で、外れる。
紙一重。
「…あんた…何者……」
「何か霞んでる……」
霞んでる…。
朱雀の思考が読めてない。
次の瞬間。
また朱雀が剣を振り下ろす
「あ、また避けられた。」
「つまんないなあ」
朱雀が、笑う。
少しだけ、目を細める。
「霞んでるって言いつつも」
「ちゃんと避けれるんだ」
「……まぁね。」
覚が、頷く。
でも、焦った調子。
朱雀が止まる。
その一瞬の隙に、覚が踏み込む。
でも、
「じゃあさ」
朱雀が力を抜く。
刀を下ろした。
「空になったらどうなるの?」
「……空?」
朱雀は黙った。
少しの深呼吸。
そのまま立っているだけ。
本当に動かない。
本当に思わない。
攻撃するという意識すら、消してしまう
「………」
空気が、変わる。
覚が、初めて言葉を止める。
「どうしたの?」
覗き込む。
「読めない?」
少し楽しそうに。
「今、何も考えてないもん」
ちらっと僕を見た。
瞳が暗い。
なのに口元は笑ってる。
「……違う」
「考えないわけない」
「あるよ」
一歩、踏み込む。
そして。
剣が振られる。
覚にかすめる。
布が裂ける。
余裕綽々だった覚が、
初めて焦った顔を覗かせた。
「は……?」
「……今、なんで……」
「何も思ってなきゃ当たるじゃん」
朱雀が笑う。
覚がずりっと後ずさりする。
「あ、そこ」
どんっ。
振り向く。
僕の方に。
「あは、僕に夢中だったでしょ」
目を瞑り手を構える。
「……っ!」
僕が退魔の力を出す前に、
覚は柵を越えて消えた。
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