翔太Side
💙「てめぇら……何する気だよ!」
背後から敵が来ていることに気づかず、拘束されてしまった俺、涼太、ラウールの3人。手を体の後ろで縛られ、椅子に座らされている。
🧚♀️「何って……今からゆっくり、闇に堕ちてもらうの」
俺たちの周りを見張るように飛び回っていた妖精が、俺の質問に答えた。
🤍「闇に……そんなのやだよ!」
解答を聞くと、悔しそうな表情を浮かべて体を動かすラウール。
🦹「おい、暴れるな。じっとしてろ」
🤍「ヒッ……」
俺たちを縛った悪魔が、ラウールの目の前に刃物をつきだす。
🦹「そんなに抵抗するのならば……」
そう言うと、悪魔はこの空間の入り口であろう場所から何かを持って来た。よく見るとそれは、
💙「うわっ、注射器……?」
黒い液体の入った注射器。あれがきっと、俺たちを闇に堕とすためのモノなのだろう……
注射器を持った悪魔は、まっすぐにラウールへと向かっていく。もしかして、さっきあいつが暴れたから……?!
❤️「やめろ!ラウールをやるなら、先に俺を……!」
💙「ダメだ!最初に俺からやれよ!」
俺が叫ぶのと同じタイミングで涼太も叫んだ。どうやら、同じことを考えていたらしい……
🦹「……なんだ、こいつが最初になるのがそんなに惜しいのか?であれば、余計にやりたくなるのぅ……!」
俺たちの言葉に冷酷な笑みを浮かべ、注射器をラウールの首元へ持って行く悪魔。ラウールは恐怖で言葉を発することが出来なくなっている。
まずい、俺たちのせいでラウールが余計に危ない……!ダメだ、そんなの。ラウールだけは絶対に、闇になんて……!!
💙❤️「やめろーー!!」
椅子でもがきながら、俺と涼太が同時に叫んだその時。突然強風が吹いて、悪魔の手から注射器が飛んで行った。
💙❤️「……!!」
🦹「な、なんだ……?!」
🤍「これって……」
その瞬間、俺たちは察した。室内でも風を起こすことが出来るやつなんて……
💚「みんな、大丈夫?」
ここにはもう、阿部ちゃんしかいない。
🤍「あべちゃん……!」
🦹「お前……フリーズ様と戦っていたんじゃ?!」
💚「コピー体なんか、俺とふっかには効かないよ」
そう冷たく言い放った阿部ちゃんは、まとっているオーラがいつもとは全く違う。ここにいるのが俺と涼太、そしてラウールだから……余計になんだろうな。
阿部ちゃんは周りにいる敵をジロリと睨みつけると、低い声で言った。
💚「うちの最年少とゆり組を傷つけるなんて、絶対に許さない……!」
その次の瞬間、今までに感じたことのないような強風が吹き荒れ、辺りの敵が一斉に散らばった。敵が体勢を崩している間に、阿部ちゃんはその場で高く飛び、上空から「ウィンド・カッター」を繰り出す。阿部ちゃんのこのスピードに奴らが追いつけるはずもなく、奴らはあっけなく切り刻まれていった。
🤍「すごい、阿部ちゃん……!」
❤️「阿部が本気出せば、攻撃範囲が俺らの中で一番広くなるからね」
涼太が得意げに言い、ラウールは目を輝かせている。
なんで涼太が得意げになってんだよ……と思いつつ、今気にするのはそこじゃないことを思い出す。
💙「いやお前らそこじゃねえだろ、阿部ちゃんって捕まってたんじゃ……」
🤍「確かにそうだね……」
❤️「誰かが助けたんだろうけど……目黒、かな?」
💙「さあな……」
俺らがそうして話している間に、阿部ちゃんは風の技と鞭を使って敵全員を葬り去っていた。息はほとんど切れていない。
💚「ふう、これで全員かな……あ、ごめん!先に助ければ良かったね……!」
俺たちが縛られたままなことに気づいた阿部ちゃんは、俺たちの元に走ってきた。
💙「いやいや、全然大丈夫。むしろありがとう」
❤️「俺たちが阿部を助けにきたはずなのに、逆に助けてもらっちゃったね」
🤍「誰が助けてくれたの……?」
阿部ちゃんが腕の拘束を解いてくれている間、俺たちは阿部ちゃんに質問を投げかける。
💚「んーとね、なんて言えばいいのかなあ……」
手は動かしたまま、あざとく考え込む阿部ちゃん。そんなに言いにくいことなのか……?
💚「あ、舘様は知ってるんだったよね?」
🤍「え?」
ふとしたタイミングで衝撃なことを口にするもんだから、俺もラウールも目を見開く。それと同時に、俺は涼太が何かを隠していることを思い出した。
それってもしかしたら、阿部ちゃんがここに来れたことと関係があるんじゃ……!
💙「おい!涼太お前、もしかして……!」
言いかけたところで、涼太は俺の言いたいことを察したのか黙って頷いて言った。
❤️「うん、多分翔太が思ってる通りだよ。でも……」
涼太がそこまで話したところで、広間の入り口から悪魔や妖精がぞくぞくと現れた。
❤️「またタイミングが悪いみたいだね」
💙「チッ……またかよ!」
🤍「あいつらほんとにしつこいね……」
少し固まっていた肩や手首を回しながら、俺たちは戦いに向けて準備を整える。
💚「この四人なら大丈夫だよ。みんな、いけそう?」
💙「おう」
俺が返事をして、涼太とラウールも頷く。
💚「よーし、じゃあ……もうひと暴れ、しよっか!」
阿部ちゃんが動き出したのに合わせて、俺たちも戦いを再開した。あいつらの思い通りになんて、絶対させない。
(続く)
コメント
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強火ゆり組担の阿部ちゃんに吹いちゃいました💚 4人は無事(?)でよかったけど残りの5人の生存が知りたい。 特にめめ! 大丈夫かな、無事かな…? 続き楽しみピーマンでありまth!!!
さすが強火ゆり組担のあべちゃん!! ナイスすぎる!!✨ 続きが楽しみです!!