TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

血なまぐさくて、暗い。自分の手と、それによりしっかりと握られた凶器は、鮮やかな赤で彩られている。この状況が殺人と革命の証だ。

「はは、ざまぁみろ…」

無理矢理絞り出した乾いた笑いは、自己を正当化するにはあまりにも不十分だった。

なにか液体が頬を伝った。あたかも自らの輪郭を曖昧に溶かしていくかのように。

汗なのか涙なのか、はたまた血か。

それを証明したのは右目の痛みだった。右目に空いた穴は、こいつの歪んだ空っぽな愛情の行き着いた先だ。いや、こいつに愛情なんてなかった。愛していたと、そう認めさせるためだけのものだろう。

そんなことを考えても、唯一真実を知りえる奴は自分が殺したのだから答えは分からない。

もう動かない体に手を伸ばして、奴の眼帯に手をかける。しゅるり、と布の擦れる音を聞きながら眼帯を取った。

「お前は、俺を気にとめたことがあったか?」

痛む右目に眼帯の布を当てると、じわりと血が滲んで広がるのが分かった。手を頭の後ろへ回し、紐を結んだ。

何も感じなかった。

『形見』と呼ばれるものだというのに、身につけようが何も感じなかった。

やっぱり親としての愛情なんてなかったんだな。

と、実感した。悲しくもならなかった。雪が静かに降り続けるように、淡々としていた。

「愛しているよ。多分。」

「貴様などに私は殺せない」

「お前は悪だから、これでよかったんだ。寂しくなるなぁ」

頭の中に声がなだれ込んだ。

その声の1つはこいつだ。

「俺は愛してねえよ。多分。」


「それが全てか?」

「ああ、深く聞かないでくれよ。デレカシーの無いレイシスト野郎だな。」

ソ連は奴――ロシア帝国を殺した事は確かだと、ナチスに言った。

ナチスは少し考えた後、顔を上げた。

「…こんなことが有り得るのか?」

「どうしたんだよ、」

「いや、憶測なんだが、少しいいか?」

ナチスはそう言って、

ナイフを持って振りかぶった。

、、、次の瞬間、ナチスの腕は氷の膜に包まれていた。

「予想通りだ。」

「何が予想通りだ!殺そうとしてただろ!」

「それよりコレ、解いてくれ」

ソ連は怪しみつつも能力を解除した。氷が割れた音がした。なのに残骸など無く、そのまま消滅するのだから不思議なものだ。

「今、どのように能力を使った?」

「どのようにって?そんなこと言われても普通に」

「お前だけおかしいのだ。」

「は?」

「能力名を宣言せずに能力を発動できるのはお前だけだ。」

そう、能力は言葉をトリガーに発動する。

イギリスのような能力の場合は、扱いが難しそうに感じるが、精神に干渉しているために不都合は無い。

だが、ソ連は能力名の宣言なしに能力を発動させてみせた。しかもコイツの能力はたまに制御がきかなくなる。


「その能力はお前のものじゃない」


「な、何を言ってるんだ?ふざけてるのか?」

「ずっと違和感はあった。

眼帯を外してみろ」

ソ連は動揺しながらも、眼帯を外した。

「まさか…!」

ソ連は何かに気がついたように手を振りかざした。その後手を下ろし、ナチスを見た。

「能力が使えない。お前の思った通りみたいだな」

「コレを通じてロシア帝国からお前に能力が渡ったのだろう。」

「……」

ソ連は分かった瞬間にはかなりの動揺を見せたが、すぐに冷静さを取り戻して、ナチスから眼帯を奪うように取った。

「なんだ、思ったよりも冷静だな?」

「今は悩んでる場合じゃないだろ。『1つ目の記憶』を持ってる俺らはどうすればいいんだ?殺しに来いと言われても、第一、何処に」

「あの山で良いだろう。そして、アイツらは私達が望めば何処にでも現れるさ。」

「はあ?どういうことだ?」

望めば何処にでも現れる。

それはまるで心を読まれているようじゃないか。しかもこちらの都合のいいように動くだなんて。

「ずっと思っていたんだ。黒幕は誰だろうと。よく考えれば簡単な話だった。」

「黒幕?」

「アメリカと日帝を山に誘導したのは誰だった?犯人を殺すのを止めたのは誰だった?犯人を見張っていたのは誰だった?そもそも、失踪事件なんかで全員を集めたのは誰だった?」

「黒幕はあの2人だって言いたいのか?」


「本気で殺してください私のことを!」

アメリカと離された。

イギリスは目の前の青年を見据えて、どこか恨めしそうに口を開いた。

大英帝国…」

loading

この作品はいかがでしたか?

124

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚