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2話
𝒈𝒐⤵︎ ︎
『メンバーに害がないなら、自分だけ犠牲になればいい』
そう、うりは本気で思っていた。
この不調が自分だけのものなら、いくらでも耐えられる。
あの黒い桜が体を覆い尽くしても、
みんなが元気だったら、
笑えるんだったらそれでいい。
そう信じていた。
その日、リビングでじゃれ合っていたうりとたっつんは、動画のアイデアについて熱く語り合っていた。
身振り手振りを交えながら話すうち、たっつんがうりの肩にポンと手を置いた。
「せや、それおもろいやん!なぁうり、このアイデアも取り入れへんか?」
熱心に話しかけるたっつんの笑顔に、うりは一瞬、ドキリとした。
もし、この黒い模様が触れた相手に伝染する呪いだったら。
咄嗟に身を引こうとしたが、たっつんは何も変わらない様子で、いつも通りの優しい笑顔を見せていた。
体調に異変があったわけでもない。
うりは内心、安堵の息を漏らした。
やはり自分の気のせいだったのかもしれない。
そう思い、彼もまたいつものように笑って応えた。
その日は何事もなく、平穏に過ぎていった。
翌日。
朝、キッチンで朝食の準備をしていたのあとじゃぱぱは、リビングに降りてきたたっつんの様子を見て首を傾げた。
「たっつん、顔色悪くない?」
「寝不足?大丈夫ですか?」
問いかけに対し、たっつんはいつもの元気がない。
「んー、なんか、めっちゃ頭いたいねん…昨日から寝苦しくて…」
その言葉に、うりの心臓は凍り付いた。
まさか。
そんなはずはない、と必死に自分に言い聞かせながら、彼は昨夜の出来事を思い出していた。
自分の体に触れた、たっつんの手。
そして、その直後には何も異変がなかったはずなのに…。
「…ごめん、俺、先に部屋戻るわ。なんか、もう無理や」
ふらつく足取りでリビングを後にするたっつんの後ろ姿を、うりはただ、立ち尽くして見つめることしかできなかった。
『自分だけ犠牲になればいい』
その願いは、脆くも崩れ去った。
黒い桜の呪いは、彼だけの秘密では、もうなくなっていたのだ。
そんなうりの様子を誰かがじっと見つめていた
他にもリクエストあったら気軽に言って欲しいな!
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎