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10月26日 PM 10:30 闇医者の事務所
闇医者の爺さん事、名前は小杉《こすぎ》は神楽ヨウからの依頼である薬の製作に勤しんでいた。


「ふむ、飲み薬では今ひとつ効果が見られないか…。モリオンの粉末も節約して、使わな…」


神楽ヨウから渡された石化したモリオンは、最も簡単に粉末上にする事ができ、錠剤の製作に早く取り掛かれた。


だが、実験体であるリンに見られた症状は、薬物健忘症で見られる記憶障害のみ。


「Jewelry Pupil自体には何も効果がない。それは錠剤だからか?この試作品の目薬を試してみなければ、何とも言えないな…」


小杉はそう言いながら小さい冷蔵庫を開け、ラベルの貼られていない目薬を取り出す。


モリオンは薄茶色と黒色を合わせた石なのだが、何故か他の成分と混在させると色は消え、無色透明化した。


一応、完成させた目薬は全部で3本である。


「どの医学書にも、JewelryPupilの異常反応の事は書かれておらん。どの成分と相性が良いのか、悪いのかも分からん」


深い溜息を吐きながら、パイプ椅子に深く腰を下ろした。


ギシッ。


パイプ椅子の軋みの音を聞きながら、本棚から分厚めの医学書を一冊取り出し、目的のページまで捲る。


パラパラッ…。


何の科学変化なのか、小杉は様々な医学書や科学式を漁って調べてみたが、無色透明化の現象の原因は分からなかった。


そもそもJewelryPupil自体が、どうやって産まれ、どのような現象で生成されたのか。


JewelryPupilを最初に見つけたのは、数100年前にアメリカの生物科学者だと医学の論文で記されている。


小杉も闇医者とは言え、医学を齧っている医者の端くれだ。


例の生物科学者の論文を読み漁り、妊娠時に起きる遺伝子異常でJewelryPupilを宿す赤子が産まれ、両親は


普通の瞳を宿しているケースが多い事。


アメリカ学者の論文の中にも書かれていたJewelryPupilの子供は、貧困が問題化されていたアフリカ地域で発見されていたのだが…。


その子供達は生きたまま瞳だけをくり抜かれ、死体姿で再び発見されていたのだ。


アフリカで古くから伝わる黒魔術の材料として、生きたまま手足を切断されたアルビノの子供達や若い女性の被害が多くみられるように。


同じJewelryPupilを持つ子供達の被害が多いのも事実で、抜かれた瞳は高値で闇市場で売られているようになった。


金持ち達の娯楽に使われるようになってしまい、医学者や生物学達の手に渡る事なく、現在も瞳の事が詳しく分かっていないのだ。


今回の神楽ヨウからの申し出は、小杉の長年眠っていた好奇心を再び呼び起こした。


未知な存在のJewelryPuppiilを使って、JewelryPupilを消そうとしているのだから。


「ひとまず、完成させたと連絡を入れかの…」


小杉がそう言いながら携帯電話を取り出した時、誰かが階段を登って来る足音が聞こえてきた。


カンッ、カンッ、カンッ。


登ってくる足音が一人ではなく、何人かが階段を登ってきているのが分かる。


何か嫌な予感がした小杉は試作品の目薬3本を投薬袋に入れ、近くにあった鞄を持ち、パソコンを操作する。


カタカタカタッ!!!


階段に設置させている監視カメラの映像を見てみると、ガラの悪いスーツを着た男達が映っていた。


「この男達…、椿会の組員か。銃を隠し持っている可能性があるのう…。さて、どうしたものか」


椿会野組員達がいるのは客達用の出入り口であり、小杉はこう言う時の為に1階に緊急出口があった。


小杉は神楽ヨウにメールを打ちながら診察室に入り、ベットの下に手を伸ばし床下収納ドアを開ける。


ガチャッ。


床下収納ドアを開けると1階に繋がる階段が現れ、ベットの下に入り込んだ時、客用入り口のドアが乱暴に開かれた。


バンッ!!!


「おい、闇医者の爺さんがいねーぞ!!!」


「なんか、薬作った形跡があるから、部屋のどっかにいんだろ」


「診察室のドアが開いてんぞ!!!この部屋にいるんじゃねーか!?」


組員達が話しながら部屋の中を探し回ってる中、小杉は1階に降り、緊急入り口(従業員入り口)の鍵を開け外に出た。


ガチャッ…。


小杉は気配を消しながら外に出て、組員達に見つからないように走り出す。


タタタタタタタタッ!!!


ビュンッ!!!


ブシャッ!!!


小杉の右肩から血が噴き出し、何が起きたのかすぐに理解が出来ず、その場で膝が崩れ落ちる。


ドサッ!!!


「な、何が…?右肩を撃たれたのか…?狙撃者がおったのか?」


顔を上げて周りを見渡し、物陰に身を潜めた。


地面に弾丸が落ちていない事から、小杉は自分の体内の中に残っている事を瞬時に察知した。


その事と同時にどうにかして、この試作品の目薬だけは神楽ヨウに渡さないと考えていた。


小杉の頭に中には、その事しか考えていなかった。


「おい!!!血の痕があるぞ!!!こっちに爺さんが逃げて行ったぞ!!!」


「組長に必ず殺して来いって言われてんだ。早いとこ、爺さんを見つけねーと」


組員達の会話が近くなってきているのに気付き、咄嗟にゴミ箱の物陰に身を潜める。


タタタタタタタタタッ!!!


ブゥゥゥゥンッ!!!


バイクの止まる音が聞こえ視線を向けると、五郎と六郎が組員達を殴り飛ばしてた。


ゴンッ!!!


「ガハッ!!?」


「な、なんだ、コイツ等!?グヘッ!!?」


五郎に殴り飛ばされた男が、血を吐きながら地面に倒れ込む。


「五郎、六郎か!!!」


2人の姿を見て安堵した小杉は思わず、物陰から顔を出してしまったのだ。


「ちょっ!!!顔出すなって、爺さん!!!」


ビュンッ!!!


ドサッ!!!


五郎が叫びながら小杉の体を地面に押し倒し、スナイパーからの視線に入らない角度に倒れ込む。


「スナイパーがいんのに、顔出す奴がいるかよ!!!爺さん、肩撃たれたの忘れたのかよ」


「すまん、すまん。何故、2人がここにいるんじゃ?」


「あー、嘉助じゃねーわ。神楽ヨウって、奴から連絡が来てよ…」


「爺さんが狙われてる可能性があるから、様子を見に行ってほしいって」


五郎と六郎が闇医者の事務所に訪れる1時間前の事だった。


***


10月26日 PM8:30 東京市内 アジト


カタカタカタ。


リビング内に七海のパソコンのタイピンク音が流れる中、五郎と六郎の間に少しだけ重い空気が流れていた。


その原因は勿論、攫われた四郎の事と組を抜けた岡崎伊織の事があったからだ。


「なぁ、マジで伊織抜けたのか…?ボスが一番優先だったのによ…」


「お兄ちゃんから来たグループメッセージの内容通りでしょ。伊織が拓也さんの事を可愛がってたって、星影からも聞いてたし…。だって、ボスはさ…、息子の四郎の事で…」


六郎はそう言いながら、言葉を濁す。


***


五郎と六郎が四郎が兵頭雪哉の息子だと知ったのは、


三郎が持って帰ってきた椿恭弥が、調べ上げた資料達に目を通した時だ。


一郎と二郎も資料を見て驚きの表情を浮かべ、三郎の無反応から先に知っていた事を悟る。


だが、三郎は兵頭雪哉に対して殺気を飛ばしながら口を開く。


「俺に闇闘技場に行かせてる間、何してたんですか?四郎が無理してでも動くって、察しがつきませんでした?」


「おい、三郎」


「何、一郎。四郎は本家にいて、安全な筈なのに会場に来たんだよ。ちゃんと監視してたら、こんな事になってないでしょ」


三郎を静止させる為に割って入ったが、一郎の口から反論の言葉が出てこない。


何も間違った事をいていないからだ。


「俺は俺で、四郎の事を迎えに行きますよ。モモちゃんも四郎に早く会いたいだろうし」


「だが、モモちゃんを連れて行くのは…」


「私は三郎と一緒にいる。三郎と一緒に四郎の事を迎えに行く」


三郎の決断を聞いた兵頭雪哉だが、言葉を遮るようにモモが言葉を吐く。


モモの強い意志の籠った視線を向けられた兵頭雪哉は渋々、2人の決断を認めるしかなかった。


「分かった、お前の好きなように動けば良い。どうせもう、俺の命令を聞く気はないんだろう?」


兵頭雪哉は溜め息混じりで、三郎の顔を見ながら口を開く。


「今だから言いますけど、貴方が玲斗《れいと》を抱き上げて連れ出した日。あの日、父親を玲斗と2人で殺した日だったんですよ。俺が父親に首を絞められて、殺されそうになって…、玲斗が父親の頭を酒瓶で殴って…。それから一緒に、父親の頭を何度も何度も殴って、殺した。地獄から掬い上げてくれた玲斗の側を離れたくなくて、貴方に縋り付いたんですよねー」


三郎の話を聞いていたメンバー達は、三郎と兵頭雪哉の表情を交互に見つめる。


2人の間に流れる不穏な雰囲気に耐えられないからだ。


「あの日の事か。お前は伊織に殴り飛ばされても立ち上がって、俺の足に縋り付いた。お前が俺の事を好いてない事くらい、最初から分かっていた。お前にとって、玲斗が神なのだろう?」


「そう言う事です、話が早くて助かるなぁ。俺は少し仮眠しますから、モモちゃん行こう」


「うん」


リンと目が合ったモモだが、リンに興味を示す事なく三郎と共に出て行く。


残されたメンバーに兵頭雪哉は声も掛けずに、静かに三郎に続いてリビングを出て行った。


「おいおい、本当に四郎とボスが親子なのかよ。俺、今だに信じられねーんだけど」


「ここにボスと四郎のDNA鑑定の結果があるだろ?間違いないよ。その事よりも、四郎の体の方を心配するべきだよ」


「あ、そうだよな…。アイツ、死なないよな…?」


「…、曖昧な事は言いたくない」


二郎からの返答を聞いた五郎は、下を向きながら唇を強く噛む中、一郎達はリビングのドアの方に視線を向ける。


「そうならない為に、僕が来たんだよ五郎」


「っ!?な、七海!?来てたのか!!?」


「五郎以外は僕達の気配に気付いてたけど」


「は!?」


戸惑う五郎を他所に、天音に車椅子を押されながらリビングの中に入って来た。


「四郎が戻って来るまで、僕達もここに居る事にしたから。ノアも天音も強いから安心してよ」


「は、はぁ…?」


***


七海達がアジトに滞在して2日後。


「マスター、ホットミルク飲む?それともミルクティーにするか?」


「ホットミルクが良い」


「了解、ブランケット掛けとくからな?」


七海の膝にふかふかのブランケットを掛け、ノアはご機嫌そうにキッチに入って行く。


「いつもこんなに甘やかされてんのか?七海…」


ノアの七海に対する態度を見て、げんなりしながら五郎が呟いた。


四郎の居場所に見当が付き、起きた三郎はモモと2人で早朝に出発した後の事。


兵頭雪哉から呼び出された一郎と二郎は呼び出され、急足で兵頭会の本家に向かって行った中、天音のスマホに着信が入る。


「用件は何だ、ヨウ」


天音の口から出たワードに、五郎と六郎の2人が思わず反応してしまう。


「あぁ、あ?おい、アンタ等のどっちかと話がしいたいらしい。どっちが出る?」


「え、じゃあ…、あたしが出るわ」


「はい、どうぞ」


天音からスマホを受け取り、六郎は恐る恐る神楽ヨウに声を掛ける。


「もしもし、変わったけど…。あたしと五郎に何の用事?」


「こうして話すのは初めてだね、いきなりで申し訳ないんだけど…。五郎君と2人で、小杉さんの事務所に向かってほしいんだ」


「小杉?あぁ、爺さんの事ね。事務所?いきなり何で…」


「僕が直接行きたかったんだけど、色々とやる事があって。君達2人にお願いしたんだけど、良いかな」


神楽ヨウの優しい口調を聞き、緊張が解れた六郎は落ち着いて尋ねた。


「要件は分かったわ、何か爺さんに頼んでる感じ?」

「まぁ、詳しくは言えないけどね」


「…、アンタに借りを作らせるのも良いかもね。分かったわ、爺さんの所には行ってあげる。リンちゃんに危害を加えないならね」


「リンちゃん?あぁ、芦間啓成のパートナーだった子供の事か」


リンに薬を飲ませておきながら、神楽ヨウはすっとぼけた態度を取る。


本当はリンの事を薬の実験体にしているくせに、そう思いながら六郎は隣にいるリンに視線を向けた。


「アンタが知らないフリをするのは良いけど、分かった?」


「君達がちゃんと小杉さんを保護出来たらね。それじゃあ、宜しく頼むよ」


神楽ヨウは声を低くしながらそう言って、通話を切った。


六郎は神楽ヨウの声色が変わった瞬間、六郎の背中に冷や汗が流れていた。


乱暴な言葉は使っていないのに、相手を萎縮させるような声を出して来たからだ。


「五郎、爺さんの所に行くわよ」


「あ?爺さんの所にか?その神楽ヨウに言われたのか?」


五郎に返事をせずに、リンの視線に合わせて腰を曲げ、優しく頭を撫でた。


「リンちゃん、すぐに戻るから留守番しててくれる?」


「うん…、早く帰って来てね」


「分かった、早くしなさいよ五郎!!」


「分かってるから、腕を引っ張んな!!!」


無理矢理、五郎の腕を引きながら六郎はリビングを後にした。


「白いお兄ちゃん、隣に行っても良い?」


「え?僕の?別に良いけど…」


「やった」


ソファーに座っていた七海に駆け寄り、戸惑う七海の隣にリンが腰を下ろす。


その様子を見ていた天音とノアは2人に聞こえない声で話をし、天音は神楽ヨウにメールを送った。


***


10月26日 現在に至る。


六郎の説明を聞いた小杉は、納得した様子で鞄を抱き直す。


「成る程、ヨウの奴が根回ししたと言う事かの」


「六郎、俺ちょっと上に行ってくるから。爺さんの事、頼むな」


「了解」


ガサガサッ。


バキッ!!!


五郎は背負っていたリュックからARESMS700を取り出し、右隣にあった古くさいドアノブを破壊する。


カランカランッ。


バンッ!!!


破壊されたドアノブは地面に転がり落ち、五郎はドアを足で開けてビルの中に入って行った。


***


CASE 五郎


タタタタタタタタタッ!!!


俺は8階段を全速力で駆け上がり、屋上のドアの前で上がった息を整える。


「はぁ、はぁ…っ、よしっ」


ガチャッ…。


静かにドアを開け、爺さんが撃たれた距離の位置を目視し、位置を確認しながら三和式ベンチレーターの影に身を潜める。


爺さんをスナイプして来た野郎の位置は、こっから見える5個目の12階建てのビルの屋上からだ。


「あっちの屋上の方が広いし、身を潜めれそうな換気口が設置されてんな…」


カチャッ、カチャッ。


ARESMS700に弾丸を装填しながら、相手のスナイパーをどう仕留めるか思考を巡らす。


向こうも爺さんが射程内から外れて位置を変えてる筈、俺の位置から斜め44度の角度に居る可能性が高い。


俺が相手の立場だったら移動してるし、そこから爺さんと六郎がギリ見える位置だ。


三和式ベンチレーターに掛けられていたグレー色の大きめなレジャーシートを頭から被り、少しは離れた位置に腰を下ろす。


右膝を曲げて右肘を乗せ、ARESMS700を構えた瞬間。


カチャッ。


パシュッ!!!


カァァァンッ!!!


相手のスナイパーが挑発するように、三和式ベンチレーターの左側に弾丸を当てて来た。


「本当なら、今すぐ撃ち返してぇ所だが…。伊織にうるせーくらい言われたんだよな…」


そう呟きながら、Hero Of Justiceに入りたての頃の時を思い出した。


***


俺が遠距離かターゲットをスナイプするやり方は伊織から教わり、それはもう鬼教官そのものだった。


「お前は馬鹿だから敵の弾を撃って来たら、素直に顔を出して撃ち返すだろう。そんな事したら速攻で頭をぶち抜かれんぞ。お前の位置を大体予測出来ている上で、確証とおびき寄せる為の罠だ」


「罠だとしてもよ、向こうの位置もこっちにバレんだろ?速攻で撃ち返せば良いんじゃね?」


「ハッ、お前が凄腕スナイパーなら可能だろうなぁ。撃ち返さずに、ジッと待ってろ。挑発して来る奴は、大概がせっかちだ。そう言う奴は、こっちが息を潜めてタイミングを伺ってるのに関わらず、尻尾を出して来るからよ」


確かに今まで行って来た現場でも、今みたいに挑発弾を撃って来た奴等は居た。


言われた通りん待ち続けていたら、伊織と言った通りに向こうのスナイパーの野郎の頭が見え、引き金を引く準備が出来ていた俺は、素早く引き金を引いた。


パシュッ!!!


ブシャッ!!!


俺の放った弾丸が向こうのスナイパーの頭に命中し、1発でヘッドショットを撃つ事が出来た。


ライフルスコープで血飛沫が上がったのが確認出来ている。


「マジかよ、伊織の言った通りじゃん…」


伊織の教えが間違っていなかったと、確信が持てる瞬間だった。


***


そうだ、今回も伊織が言っていた事と同じだ。


俺は三和式ベンチレーターの物陰に隠れて、ただ息を潜めて待つだけ。


「…」


カチャッ。


ARESMS700のライフルスコープを黙って覗き、スナイパーの動きをジッと見つめる。


ジッと動かずに黙って何十時間もターゲットが建物から出て来るまで、待つなんてザラにあるもの。


ずっと同じ体勢のまま大量に持って来た水で乾いた喉を潤し、ターゲットが出て来るまで待つ。


「っ!!!」


フワッと黒いキャップのような物が、ライフルスコープからハッキリを見えたの見逃さなかった。


自分の口元が歪んで行くのが分かる、この瞬間を待っていたからだ。


「…」


カチャッ。


ターゲットの動きが見えてから5秒以内に、俺達スナイパーはターゲットをスナイプしなければならない。

この5秒がどれだけ貴重なのか…、きっとスナイパーをやっている奴しか分からないだろう。


ARESMS700を構え直し、照準を整え素早く引き金を引く。


パッシュッ!!!


ブシャッ!!!


「は…?」


ライフルスコープに映り込んだのは、敵のスナイパーが”もう1人居た”と言う事だった。


***


五郎が屋上に言った後、小杉は安心たのかように話し出す。


「奴に渡さないかん薬があるから、助かったわい」


「その薬、変な作用あるヤツじゃないわよね」


「変な作用?どう言う事じゃ?」


「とぼけないで。リンちゃんに飲ませてる薬、JewelryPupilを消す薬の実験体にさせてるでしょ。その所為で、リンちゃんが記憶障害を起こしてる。神楽ヨウはその薬を作って、何しようとしてんの」


六郎の言葉を聞いた小杉は、いやらしい笑みを浮かべながら答える。


「六郎、これは未知なるJewelryPupilの生態の謎に触れようとしているのじゃぞ!?こんな機会、わしが生きているうちに何度も訪れる機会じゃないぞ!?」

「は?まさか、楽しんでるの?リンちゃんの体に影響が出てるのに」


「副作用が出ると言う事は、その成分が使えない証明になる。今まで出て来ている薬だって、ネズミ也人間を使って実験をし、成功と失敗を繰り返した功績が形になったものじゃ。昔は治せなかった病も、現在は治療法が見つかっている。そう言う事なんじゃよ、六郎。わしは今、未知なる生態に触れようとしておるんじゃぞ!!?」


小杉の異様な態度の変わりぶりに、六郎はナイフを構えながら小杉から距離を取った時だった。


パシュッ!!!


ブシャッ!!!


六郎の目の前で小杉のの額から大量の血が噴き出し、


思いっきり六郎は返り血を浴びてしまう。


スッ…。


「は、はっ?五郎がスナイパーを仕留めた筈じゃ…っ!!?」


ドカッ!!!


ドスッ!!!


「ヴッ!?」


背後に気配を感じ振り返った瞬間、黒いパーカを深く被った男に思いっきり鳩尾《みぞおち》に拳を入れられ、力強い手刀を喰らってしまった。


ドサッ。


体の力と意識を失った六郎は地面に倒れ込み、謎の男は小杉が抱えていた鞄を手に取る。


「仕事は終わったぜ、“ヨウ”」


男はフードを脱ぎながら、とある人物に通話を掛けながら六郎を見つめた。


この作品はいかがでしたか?

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