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閉店時間。客は皆帰り、私は一人でレジ締めと清掃をしていた。
外は雨、時計はもうとっくに夜の11時を過ぎていた。
すると、
カラン コロン
と、ドアベルが鳴る。
「あっ、すいません、もう…」
そう声をかけたが、姿も、返事もなかった。
けれど、カウンターの上には、
濡れたコインが3枚置かれている。
私は、不安になりつつも、
「…え?」
と躊躇しながら、コインをレジ横に置く。すると、
POSレジの画面に、勝手に注文が入っていた。
画面には、
【ブレンドコーヒー(ホット)×1】
と、書かれていた。
驚きながらも、なぜか
“作らなきゃいけない” 気がする。
私は、コップにコーヒーを淹れる。
私はコップを持ち、三番テーブルへと
置く。けれど、席には誰もいない。
だが、しばらくして、三番テーブルへと目を向けると、コップが空になっていた。
「…なんだあれ、」
そう呟いたあと、私は濡れたコイン3枚をキャッシュトレーに入れる。
「閉店後に監視カメラを確認するように。」
というルールがあったから、
私はスタッフルームに入り、監視カメラを見た。
すると、監視画面の三番テーブルに、人の影が揺れた。気のせいかと思った。
画面越しの客が、そっと顔を上げ、カメラの方を向く。
すると、
私と目が合った。
私は、恐怖に駆られ、
「ヒッ…」
と、少し恐怖の声を上げてしまった。
その瞬間、カフェの照明がふっと落ちる。
「なんでこんなタイミングに…!」
私はそう思った後、もうしょうがないという気持ちで、ブレーカーへと走って行く。
私はブレーカーを震える手で直した後、
周りを急いで見る。
運良く、人影のような者は居なかった。
さっきの”人影”はなんだったのだろう。
私はそう思いながら、胸を撫で下ろした瞬間、ブラインドの隙間から何かがこちらを見ている気がした。
私が店内に戻ると、三番テーブルには、
湯気が立っていない二つ目のコーヒーカップが
置かれていた。
「…え?」
私は息を呑んだ。
確かに私は、ブレンドコーヒーをひとつしか淹れていない。
「誰が…こんなの…」
そう呟いた途端、ドアの方から、
カラン コロン
と、またドアベルの音がした。
そして、ドアがゆっくりと閉じる音がした。
「もう…帰ったのかな。」
私は体を震わせながらも、三番テーブルのカップ2つを持って行った。