テラーノベル
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真田が無線を掴む。
「こちら真田! 新宿は囮だ! 都内主要駅に同時爆破の可能性あり!」
ノイズ混じりの声が返る。
『確認中――』
「確認してる時間はない!」
残り二十五秒。
展望フロアの窓の向こうでは、東京の夜景が光っていた。
片桐は爆弾を睨む。
「このタイプ、解除すると逆に起爆する」
「じゃあどうする」
「通信を切る」
片桐は装置の裏を開き、小型の送信機を引きずり出した。
「全部、遠隔制御だ」
真田が顔をしかめる。
「同時爆破か……」
「犯人はパニックを最大化したい。だから“解除不能”に見せてる」
タイマー、残り十五秒。
片桐はためらわず送信機を握り潰した。
7。
6。
5。
何も起きない。
そしてタイマーは、ゼロで止まった。
⸻
同時刻。
渋谷駅、東京駅、池袋駅。
各駅で不審物が次々に発見される。
だが、どれも爆発しなかった。
真田は息を吐く。
「止まった……のか?」
その時。
片桐の表情だけが変わらなかった。
「いや」
彼は窓の外を見る。
「まだ終わってない」
⸻
午後七時十三分。
公安部に緊急通信が入る。
『都庁に侵入者!』
真田は振り返る。
「……何?」
モニターに映るのは、東京都庁第一本庁舎。
避難で混乱する建物内を、黒いフードの男が歩いていた。
その姿は、犯行声明の人物と同じ。
男はカメラを見上げる。
そして。
笑った。
⸻
「ライブ配信だ!」
技術班が叫ぶ。
配信サイトの同時接続数は急上昇していた。
数十万人。
コメント欄は混乱している。
『誰なんだ!?』
『また爆発!?』
『警察なにしてる!』
男は静かに話し始める。
『これは革命だ』
機械音声。
『人は恐怖でしか変わらない』
背後には巨大なケース。
真田が低く言う。
「爆弾か……」
片桐は首を振った。
「違う」
「?」
「もっと厄介だ」
⸻
都庁へ向かう車内。
サイレンが鳴り響く。
片桐は窓の外を見ながら言った。
「五年前、公安内部で極秘計画があった」
真田は黙って聞く。
「大規模テロを想定した“都市封鎖システム”だ」
「都市封鎖?」
「交通、通信、電力を強制停止する。東京全体を一時的に麻痺させるシステム」
真田の顔が変わる。
「まさか……」
「犯人の狙いは爆弾じゃない。都庁のサーバーだ」
⸻
午後七時二十一分。
都庁内部。
非常灯だけが赤く点滅していた。
避難済みの廊下を、真田たちは走る。
配信はまだ続いている。
『古い東京は終わる』
男の声。
『今夜、新しい秩序が始まる』
位置を特定。
四十五階、防災センター。
真田は銃を構える。
扉の向こうから、機械音と配信音声が漏れていた。
片桐が小さく数える。
「……3」
「2」
「1」
扉を蹴破る。
部屋の中央には、大型端末。
そして、黒いフードの男。
だが――
「……誰だ、お前」
真田が目を見開く。
男は若かった。
二十代前半ほど。
片桐でも、公安関係者でもない。
男はゆっくりフードを外す。
異様に静かな目。
「やっと来た」
その瞬間。
モニターに赤文字が表示される。
【TOKYO LOCKDOWN SYSTEM — ACTIVATION: 60 SECONDS】
真田の鼓動が跳ね上がる。
東京封鎖まで、残り一分だった。
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