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「最っ低!!!!!!!!」
パンッという鈍い音が周囲に響き渡る。
俺はぶたれた頬を押さえることもせずにそのまま立ち尽くしていた。
周囲の視線がグサグサと刺さる。けれど、もう慣れたものだ。恥ずかしさなどはない。
俺、若井滉斗は遊び人と揶揄され、今のように公衆の面前で引っぱたかれることも多々あるがそんな事は断じてしたことがないただの大学2回生だ。
なのに友人などからは、そろそろ遊び回るのはやめろだの浮気は最低などとよく言われてしまう。だけど別にそんなつもりはない。
いつもいつも相手から寄ってきて勝手に勘違いして勝手に振られる。時たまビンタのおまけ付き。こっちの身からすると勘弁して欲しい。
…帰ろう。ここにいても意味がない。
「あれ!!若井、もしかしてまたやられたの??笑」
突然背後から明るい声がした。
振り返ると旧友の大森元貴がニマニマと煽るような顔をしている。
「…元貴」
俺は情けない声をぽつりと漏らした。すると呆れた顔をしてつかつかと近づいてくる。
彼とは中学時代からの友人で今、一緒にバンド活動をしている。と、言ってもアマだし活動といえば小さいライブ会場にたまに演奏するくらい。
それ以外は集まって安いスタジオでぐだぐたと練習をする。まだそれくらい。
でも元貴のつくる音楽は一言で言うとすごい。お客さんからも反響がいいもんだから、もっと出てくれとライブ会場の運営からは言われたりしている。
「あーあー。ほっぺた赤くなってるよ。もういい加減遊び回るのやめたら~?」
「だから、いつも言ってるじゃん。遊んでないんだってば、、」
「はいはいとりあえずうち寄ってきな。軽い手当ぐらいならしたげるから」
俺は元貴に促されるまま家に向かった。
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家につき元貴は慣れた手つきで救急箱から湿布を取り出す。
「…で今回は誰なの?」
「………ライブの後向こうから声かけてきた人。かっこいいと思ったとか言って…、」
元貴が手元を動かしながらじろりと視線だけをよこした。
「……あの人とは別に付き合ってはなかったんだよ。それなのに、浮気してるとか誤解されてさ…」
「…その人とはセフレ止まりってこと?」
話の流れでいきなりぶっ込んでくるから思わずたじろいだ。けれど元貴にからかうような素振りはなくただ真剣に質問しているようだった。
「セフレって…。いや、まぁ…別にそんなつもりはなかったんだけど…」
なかなか言葉が見つからずもごもごと口の中で言葉を転がす。
すると元貴が小さくため息を漏らした。
「あのさぁ若井は前からよく、自分のせいじゃないとか相手が勝手に~とか言うけど」
元貴が背筋を伸ばし真っ直ぐにこちらを見つめて言った。
「思わせぶりな態度取ってるのはそっちでしょ??相手も悪いかもだけどお前にも非はあると思うよ」
元貴にそんなことを言われたのは初めてだった。いつも軽くお咎めする程度だったのに。どういう心境の変化だろうか
「…うん。そうだね、ごめん」
「俺に謝らないでよ。別に関係はないし…。ただこのままだと変な噂たったりしそうだと思ったんだよ。それだと売れたとき面倒事に発展しそうだからさ」
『売れたとき』というのはバンドのことだろう。
元貴はバンドに誘うとき”俺とバンドを組めば絶対に成功する”と口説き文句を言ってきた。
あの瞬間は忘れないだろうなと自分でも思う。
「はい!!終わったよ!この話もこれでおしまい!!」 「、ありがと元貴」
元貴が重たい空気を切り裂くように妙に明るい声を突然張り上げた。
器用に頬に貼られた湿布にそっと触れる。ひんやりとしていて少し痛みが和らいだような気がした。
「ねぇ若井、今日飲まない??」
「え、いいけど…元貴今日バイトは?」
お互いしがない大学生だ。アルバイトをしないと生活が成り立たない。
「今日はないから大丈夫!!お酒買いに行こ」
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コンビニで2人分にしては多い量の酒とつまみを購入し帰宅した。
テーブルにツマミを広げている間に元貴がお気に入りの曲をかける。
何年も一緒にいるのに元貴とは話が尽きない。取り留めのない話をぐだぐたとしながらちびちび酒を飲む。この時間が楽しい。
どれくらい時間が経ったのか、気づくとだいぶ酔いが回っていた。
元貴はいつになくべろべろだ。耳まで真っ赤で呂律が怪しい。
「ねぇ、大丈夫なの?」
「お~?だいじょおぶ、だいじょおぶ~」
ヘラヘラ笑いながら答える。その返答が大丈夫そうじゃない。
にも関わらず、更に酒を飲もうとする元貴の腕を慌てて掴む。
「ちょっと元貴ッ…もうやめたほうが、」
その時、元貴が急にピタッと動きを止めて掴んだ俺の手をじっと見つめた。
「、?えっと、どした、?」
突然、猫のように目をまん丸にしながら固まったままの元貴に戸惑う。
視線をずらさずぽつりと元貴が呟いた。
「…ねぇ…若井、」
「、ん?」
しばらくの沈黙の後、元貴が伺うように口を開いた。
「…若井はさ誰とでもセックスできるんだよね??」
かかっていたはずの曲がどんどん遠くなっていく。言われた言葉を上手く咀嚼できずに思わず固まった。
「…え、も、元貴?本気でどうしたの…」
元貴が俺の顔に視線を移した。その瞳には酔いと確実に動揺も混じっている。
「俺さ、若井のこと好きなんだよね。」
「俺と…セフレになってくれない?」
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元々書いてたやつほっぽりだして違うの書いちゃってすみません…💦
どうしても我慢できなくて、、
前のやつも地道に進めてはいるので少々お待ちください、🙇🏻♀️՞