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朝、
スマホが鳴った。
目覚ましより、
少し早い。
画面を見る。
通知、1件。
名前を確認する前に、
息を止める。
涼真。
一瞬、
画面を伏せる。
心臓の音が、
耳に近い。
深呼吸。
もう一度、
画面を見る。
涼真
おはよう
短い。
昨日までと、
同じ。
でも、
違う。
既読は、
まだついていない。
未読でもない。
ただ、
届いている。
布団の中で、
しばらく動けない。
すぐ返ってきた。
あんな言葉のあとで。
……会ってみたい
それに対して、
これ。
画面をスクロールする。
続きは、
ない。
スタンプも、
ない。
説明も、
ない。
ただの
「おはよう」。
指が、
止まる。
返すべきか。
何事もなかったみたいに。
紗良
おはよう
送信。
すぐ、
画面が光る。
涼真
今日は仕事?
昨日までの話は、
どこにもない。
終わったはずの空気も、
ない。
最初から、
こうだったみたいに。
ベッドの上で、
天井を見る。
怖い。
会うより、
怖い。
この
“普通”が。
涼真
夜なら
少し話せるけど
話す。
会う、
じゃない。
指が、
送信欄の上で止まる。
一度、
画面を閉じる。
また、
開く。
紗良
うん
大丈夫だよ
送信。
既読が、
つく。
すぐ。
涼真
よかった
じゃあ後で
それだけ。
スタンプも、
余白もない。
スマホを、
置く。
部屋は、
静か。
“会ってみたい”は、
なかったことみたいだ。
それなのに、
約束だけが
残っている。
夜。
時間が、
近づく。
スマホは、
まだ鳴らない。
画面を見る。
既読は、
増えていない。
未読でもない。
ただ、
止まっている。
——静止。