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夜の0時すぎ。
静かな部屋に テレビだけがぼんやり光っていて、なるせはソファに倒れ込むように座った。
その足元にらっだぁも座り、なるせの足を指先でいじる。
「ねぇなるせさん?、ちょいねむなんじゃない?」
「…んん……ちょっとだけ…」
「じゃあ、寝る前にキスしよーよ」
「…は…なんで”じゃあ”で繋がるんだよ」
「お願い。 ──ね、こっち向いて?」
なるせは仕方なく体を起こし、顔を向ける。
その瞬間、らっだぁがゆっくりと唇を重ねてくる。
最初は軽く触れるだけのキス。
でも、すぐに深くなって舌が入ってくる。
同時に、らっだぁの指が頬を撫でて、首筋をなぞってきて──
「……ん…っ、……ちょ……」
「…嫌じゃないでしょ?」
「………そうだけど……」
言葉が途中で途切れる。
らっだぁの手が、服の上から腰をそっと抱き寄せて、
それだけで、肩がビクッと跳ねて、心臓が暴れる。
「お前、触れられんの、すっごい敏感だよね」
「……知らねぇよ……」
「顔、真っ赤。息も少し荒いし笑。
……俺のこと、ほんとに好きなんだなって、わかる」
なるせの指先がぎゅっとらっだぁの服を掴む。
逃げないけど、何かに耐えるみたいに。
「……好きだよ、ばか…」
「うん。俺も。
──だから、ここから先も、俺に任せなね?」
そう言って、らっだぁがなるせを持ち上げ、寝室に運ぶ。
なるせは少し戸惑いながらも、それを拒まない。
ベッドに倒れ込むように並んで、
らっだぁの指がシャツのボタンにそっと触れた。
「嫌だったら、すぐ言えよ?」
「……言わない…別に 」
「……そっか」
らっだぁが脱いだシャツを丸めて、枕元に置く。その耳が少しだけ赤色に染まっているのを見て、なるせは内心嬉しかった。
「…なるせ…」
その優しい声とともに、キスが再び落ちて、
指先が、ゆっくりと身体に触れていく。
音も、光も、時間も、何もかもが遠くなる。
今、ふたりしかいない場所で──
甘く、静かに、夜は深く沈んでいった。
朝。
カーテンの隙間から、やわらかな光が差し込んでいる。
なるせが目を覚ましたのは、そんな朝の静けさの中だった。
横を向くと、らっだぁの顔がすぐそこにある。
寝息が近くて、温かくて、なんかちょっと照れくさい。
(……マジで、したんだ、こいつと…)
何もしなくても、昨夜のことが頭の中にゆっくり浮かんでくる。
そんな光景になるせは静かに頬を赤くした。
こんなにも安心して眠れたのは、きっと初めてだった。
そっと体を動かそうとすると、らっだぁが目を開けた。
「……ん…おはよ、」
「…ぁ、起こした?」
「……いや、起きてた。
──てか…寝起きなのに、こんな可愛いとか、ずるいんだけど…なに…」
「は?やめろよ、朝からそういうの…」
「えー、昨日あんなに甘かったのに?
また戻っちゃうんだ?」
「!?…っ忘れろばか!!」
咄嗟になるせはらっだぁに背を向け、布団を引っ張って丸くなる。
でも、耳まで真っ赤になってるのはバレてた。
「……お前と違って……こっちはちょっと恥ずかしいんだよ」
「ふ〜ん笑、恥ずかしがってんの……かわいい…」
そう言いながら、らっだぁが背後からふわっと抱きついてくる。
ぬくもりが背中に触れて、どこか落ち着く感覚がまた心臓をくすぐる。
「…………まだ、起きねぇの?」
「んー、もうちょっとだけ。 なるせ 、あったかいし」
そう言って、布団の中で手を絡めてくる。
何気ない仕草なのに、こんなにも心が溶けそうになってしまう。
「……俺も、もうちょっと寝たい」
「…じゃ〜もう一回、寝る前のやつしよ?」
「……は?なにを……」
言葉が終わる前に、
らっだぁがなるせの頬に、そっとキスを落とした。
「“好き”って気持ち、ちゃんと毎日伝えたいから。
──今日もよろしく、なるせ」
その声があまりにやさしくて、
なるせはなにも言えずに、ただ目を閉じた──
そのあと、もう一度、そっと体を重ねた。