ナルニア視点
もう何日たったかも分からない
〇〇と話していない日々が、こんなにも身体の芯を冷やすものだとは、思わなかった。
“終わった”と判断したのは多分〇〇だった
それでも、何度も携帯の画面を開いては閉じた。
既読にすらなっていないメッセージ。
通知の来ない画面。
未送信の「元気?」の文字列。
ほんの少し、手を伸ばしていたら
ほんの一言、「会いたい」って言えていたら
そんな”たられば”ばかりを、呪いのように反芻していた。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
再会は、思っていたより呆気なかった。
街角のカフェ。
ガラス越しに見つけた、懐かしい横顔。
もう、別の時間の中で生きているようなあゆ。
声はかけられなかった。
こっちを向いたら、こっちを見てくれたら、笑ってくれたら
何か、変わっただろうか。
でも、〇〇の目線はすぐにすれ違って、そのまま誰かと話しながら笑った。
その笑顔が、自分に向けられたものじゃないと気づいた瞬間、
喉の奥がぐっと詰まって、呼吸が浅くなった。
まだ好きだった。
それが言えないまま。
近づけないまま。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
数日が経った。
夜、ずっと残していた〇〇との写真を、とうとう見れなくなった
でも、削除はできなかった
「……あー、もう…..」
…指先が震える。
気持ちが溢れだしそうだった。
メッセージの入力欄に、ただ一言打つ。
「まだ、好きです。」
今更かもしれない。
もう戻れないかもしれない。
でも、これ以上この想いを殺すこともできない。
深夜1時過ぎ、送信ボタンを押した。
もう二度と会えないと思ってた君に、
“今の私”ができる、たったひとつの告白だった。