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4 - 第4話 ひとりの女死刑囚

2025年09月22日

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昭和47年11月児玉詩織の死刑が執行された。

執行当日の朝は取り乱す様子もなく、教誨師に深々と頭を下げて、


「ありがとうございます」


と、感謝を伝えた。

これが詩織の最期の言葉となった。

遺体の引き取りには、誰一人名乗り出ず、火葬の後は無縁仏として葬られた。

詩織は生前、獄中にて詩を唄っている。


ひとりぼっちで生まれ、ひとりぼっちで死んでいく。

私は蓮の花。

沼の底よりもなお、深くていじらしい。

わたしは蓮の花。

白痴で愚かな蓮の花。

暗闇。

あやかし。

無垢な心。

どうせなら。

誰一人、虫けらでいて下さい。

世の中が真っ当で。

生糸の先端を、蜘蛛が這いずり回る罪悪感に苛まれることなく。

漂ういのちに鎮魂と尊厳を焚べながら。

いつもと変わり無く。

幽かに。

怨を抱いたまま。

蟲に喰われる私の亡骸を。

どうぞ、笑ってやってくださいな。


ヨガマサノ、キイトキレルヤ、カスラムシ。

ヨガマサノ、キイトキレルヤ、カスラムシ。

ヨガマサノ、キイトキレルヤ、カスラムシ。


世ガ真ノ 希糸切レルヤ 幽怨蟲。

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