続き
雫「じゃあ私は隣の部屋にいるから想う存分楽しんでくれ」
そういうと雫は部屋から出ていった。
桃時「それで?アタシに何をお望みかしら?」
「おしゃれを教えてほしいの」
「そう、私たちにおしゃれを」
桃時「おしゃれ?確かにあんたたちスタイル良いしどんな服も似合いそうだけど……おしゃれに興味なんてあったのね」
「前々から興味はあったんだ〜!でもお金なかったからできなかったって訳!ボクたち闘いのスキルがあるから桃時の言った通りスタイル良いし、顔も良いからいけると想うんだよね〜」
桃時「す、すごい自信ね」
「まぁ何にせよこの雑誌の中から私たちに合う服の種類を選んでくれ。どれが良いとかよく分からないからな」
桃時「好きな服を着れば良いって言おうと想ったけど、それ以前の話だったのね……分かったわ。えっとねぇまずは、好きかどうか分からないならとりあえず流行に乗った服を選ぶのも良いかもしれないけど、流行に乗りすぎると引かれる可能性があるからちょっとずつ使うと良いかもね。それから……」
桃時によってレッスンを受けている女子二人。
「俺たちもおしゃれ教えて欲しいんだ〜教えて〜」
「教えろ教えろ」
瑠璃人「はいはい……お前らは好きな服とかあんのか?」
「これこれこれこれ」
男子の一人が雑誌のページを突っつく。
瑠璃人「おぉ!ストリート系ファッションかぁ!オレ沢山持ってるぜ!」
「俺は服の好みころころ変わるからなぁ〜まぁ着たことねぇんだけど!ひひっ」
瑠璃人「ふぅーん……お前ら金持ってんねぇんだっけ?」
「持ってない悔しい持ってない悔しい」
「持ってねぇよ。……もしかしてバカにする気?」
瑠璃人「真面目に金に困ってる人を何で笑うんだよ」
「!、ふ、ふぅーん……」
「瑠璃人瑠璃人こいつ照れてるこいつ照れてる」
「あ゛?照れてねぇよ」
瑠璃人「照れてようが照れてまいがどっちでも良いぜ〜じゃあお前らに服貸してやるよ。何着か持ってるから今度スマホで撮影してくるからそれから好きなの選べよ」
「裏がある裏がある」
「見返りは?」
瑠璃人「は?見返り?何だそりゃ。大体お前らがオレに頼んできたからそれに対応してるんだろうが。ただそれだけだよ」
「変な奴変な奴」
「気持ちわりぃ♡」
瑠璃人「ひ、ひでぇ言われようだな……お前たちの世界がお前らの言う「変な奴」って奴が当たり前に周りにいる世界になれると良いな。そのためにもその捻くれた性格は治せよな〜」
「余計なお世話だよ」
「あっ!こいつ初めて同じ言葉何度も言わなかったぁ!!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい」
「さっき照れてるとか言ってたお返し〜ひひっ」
瑠璃人「じゃあとりあえずこの雑誌みて勉強しようぜ」
男子たちも男子たちで盛り上がってる様子。
雨花「よし!一つ乗っけられたよ!」
「じゃあ次はあたしだな。慎重にやらねばならぬ」
橙「ジェンガなんてこの家あったんですね」
兎白「雫さんが買ったんじゃないか?」
天使と雨花と橙と兎白はジェンガをやっていた。
「こんな風に穏やかにゲームをしたりするのは久しぶりだな。お母様とお父様が生きていた頃は、よくこうやってゲームをして遊んで下さった。……もういないが」
雨花「わたしたちはご両親の代わりにはなれないし、なろうとすること自体が失礼だからしないしできないけど、天使ちゃんにとってご両親は必要な人だったんだね。そしてきっとご両親にとっても天使ちゃんは必要な人なはず。暖かい想い出があると想い出すと幸せすぎて苦しくなるよね。それがもう手に入らないなら尚更。でも、天使ちゃんはそうやってご両親との想い出を赤の他人のわたしたちに話してくれる優しさと勇気を持ってる。今はそれだけで充分だから。そんな天使ちゃんがわたしは素敵だなって想うよ。また独りが寂しくなったらいつでも呼んでね。わたし暇だから!あはっ!」
雨花は微笑む。
「ふふっ、ありがとう」
天使も優しく微笑んだ。
橙「…………」
雨花さんにもあるのかな
想い出すと幸せすぎて苦しくなる想い出
雨花さんにとってその想い出は
忘れずにいられてるのかな
兎白「……い、橙」
橙「あっ、何でしょう?」
兎白「抗争が始まったぞ」
橙「え?抗争?」
橙が視線を向けると、桃時と瑠璃人が両者睨み合っていた。
橙「な、何があったんですか?」
雨花「何かね。男子グループの一人が「瑠璃人と桃時どっちがおしゃれに詳しいんだ?」って聴いて、自分の方が詳しいって譲らないんだよ」
橙「あぁ、なるほど……」
桃時・瑠璃人「むぅー!!!!」
「だ、大丈夫か?」
「ひゃは!喧嘩かな!ボクも参加したい!!」
「抗争楽しそう抗争楽しそう」
「こういうのは邪魔しない方が良いんだろうけど……やりてぇな……!!」
「あたしは見学していよう」
雨花「四人組と天使ちゃんにも被害が拡大している模様」
兎白「二人共落ち着け。男子の中では瑠璃人。女子の中では桃時が一番詳しいんじゃないか?それに二人共立派なコーディネーターだ。そんな二人も俺は好きだ」
橙「い、イケメン……」
桃時・瑠璃人「しょ」
桃時・瑠璃人「しょうがないわねぇ〜・しょうがねぇな〜」
「え?チョロ」
「チョロ〜い」
「チョロいチョロい」
「チョレェ〜」
「チョロいな」
橙「いやこれがいつも通りですよ」
兎白「そうだな」
雨花「調子に乗ってるなぁ〜うちの瑠璃くん!」
雨花は爽やかな笑顔で言った。
「桃時は調子に乗ってないのか?」
雨花「いやあれは絶好調だよ。さぁ続きしよ」
橙「そうですね。それに桃時さんは調子に乗ってるような時が絶好調ですもんね」
兎白「よく分からないが……丸く治まったなら良かった」
「そうだね」
「面白い奴ら〜ひゃは」
「おかしな奴ら」
「あっお前また何度も言わなかったぞ?……ホントこいつらおもしれぇ〜!」
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「随分楽しそうだな。あの天使とも」
雨花「ん?そうかもしれないね」
「一つ質問良いか?」
雨花「何かな?」
「あの時何を言いかけた?」
雨花「…………」
《……ごめんね》《わたしは……本当はもう……》
雨花「君はわたしにとっての救済は「死ぬこと」だって思ってるでしょ?違うよ。「死」は「救済」にはなれない。これは綺麗事とかではなく単なる事実。死んだらどうなるか分からない。それは本当ならみんな知ってることなのに、それでも精神障害の患者やいじめられっ子は「死」を願う。「死」はどうなるか分からない未知の領域。テレビに出てくるヒーローは現実にはいない。そんな不確かな未確認の存在を求める。その存在が「死」でもあるってこと。だから「死」を求めてる。「死」は「救済」じゃない。でも、「死」と「救済」は共通しているものがある。未知であるという類においてね」
雨花は淡々と語る。
「そうか……」
雨花「君たちは今はとにかく楽しむことだよ。楽しめることを楽しんで、贖いたいなら気づいたものを……」
「みつけて拾って抱えてあげれば良い……でしょ?」
雨花「!、あはは!天使ちゃんから聴いたのかな?」
「そうだよ。ふはっ!」
雨花たちは天使と四人組と夜まで遊んだのであった。
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