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りた🤍☁️
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#闇
ruruha
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がびょ
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瀬名 紫陽花
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「なんなんですか! あの方!! あれが人にものを頼む態度なんですか」
ユニレーム商会の使い……サイラス氏にお帰りいただく事には成功したが……なんとも後味の悪い終わり方をしてしまった。珍しくクレハさ……いや、ラリーさんが激しく怒りを露わにしている。
「こっちはラリーがいつ飛び出して行くか気が気じゃなかったよ。お前はその格好の時は妙に気が強くなるよな。でも、よく我慢した。偉い偉い」
「うっ……もし、ルーイ様に乱暴なことをしていたら絶対に許しませんでしたよ」
ルーイ先生はラリーさんの頭を撫でた。そのおかげか、彼女の昂っていた感情は落ち着きを取り戻していく。よく見ると、ラリーさんの手には短刀が握られていた。これは彼女が護身用として常に持ち歩いているものだ。本当にギリギリのところで思い止まっていたんだな……
クレハ様はいま『ラリー』の格好をしている。別人の姿に引きずられているとはいえ……我が主はいつからこんなに好戦的になったのか。彼女に武芸の指導をしていたレオン殿下とクラヴェル兄弟の影響を如実に感じてしまう。
「あの……皆さん大丈夫でしたか? 何度か大きな声がしていたようですが……」
バックヤードに隠れていたコニー嬢が心配して様子を見にきてくれた。店内をきょろきょろと見回し、異常がないかどうかしっかりと確認をしている。
「あー、平気平気。想像してたよりもヤンチャな子が来たもんでちょっとびっくりしただけ。俺たちにケガとかはないから」
先生は右手をヒラヒラと振りながらコニー嬢に笑いかけた。先生の笑顔を見て、彼女は安心したように息を溢した。
「……そういうわけで、クライヴ君。後でちょっとお使いを頼まれてくれるかな。あっ、ラリーはペンと便箋を用意して」
「はい」
クライヴさんとラリーさんがほぼ同時に返事を返した。ラリーさんと共に臨戦態勢だったクライヴさんも、今は落ち着いている。先生と今後の対応についての話を始めた。
「今から手紙を一筆したためるから、クライヴくんにはそれを届けて欲しいんだ。届け先はユニレーム商会」
「ユニレーム商会!! 正式に苦情を申し立てるのですね。あの様子ですと先ほどの男……またいつ店に押しかけてくるか分かりませんからね」
クライヴさんの言う通りだ。さっきはなんとか追い返すことができたけど、こちらの言い分に完全に納得した風には見えなかった。もしかしたら次は手荒な手段を取ってくるかもしれない。可能性は低くても、最悪のパターンを考えておかなくてはならなかった。
「違うよ。俺が今から書くのは苦情ではない。オーナーも留守だし、下手に問題を大きくしたくはないからね。でも、あの子らが戻ってくるのは最低でもひと月後……このまま何も対策をしないで放置するのもいただけない」
先生はユニレーム商会に対して抗議をするわけではないらしい。それでは、一体何をなさろうというのだろうか。私たちが頭を捻らせていると、ペンと便箋を手にしたラリーさんが戻ってきた。
「ルーイ様、持ってきましたよ」
「ああ。サンキュー、ラリー」
用意された道具をラリーさんから受け取ると、先生はすぐさま手紙を書き始めた。器用にも文章を書きながら私たちに話の続きを語ってくれた。
「ユニレーム商会にはこう伝えるんだ。うちの店にそちらの商会の名を騙る不審者が現れましたってね」
「えっ!? さっきの男偽物だったんですか」
先生から語られた衝撃の事実。これにはクライヴさんも思わずと言った風に声を上げてしまう。なんとなくそんな気はしていたけど、本当に偽物だったとは……
まさかの展開に私たちは驚きを隠せない。しかし、引き続き先生の話を聞いていると、どうやらそういうことではなかったようで……
「いいや、あの男が商会の関係者だというのは本当だと思うよ。タイミングが良すぎるし、コニーさんに聞いた話の通りの要求をしてきたものね」
「そ、そうですよね……さすがにそんな偶然が起こるわけないですもんね」
早とちりをしてしまった。いくら使いとしてあり得ない態度だったとしても、先生はサイラス氏の身分を疑っているわけではないようだ。
「だけど、あえて知らないふりをして商会に問い合わせるんだよ。恐らくだけど、商会側はさっきの出来事を把握していないと思うんだよな」
「えっ? それはどういうことですか」
「あの使いの男……サイラスだったっけ。アイツうちの店のことを知らな過ぎるんだよ」
先生が言うには、サイラス氏は『とまり木』の従業員がほぼ軍人なことも、普段から特殊な営業体制を取っていることすらも知らないようだったと。仕えている主人が常連だと主張する割には知識が無さ過ぎるというのだ。
「ユニレーム商会って王都でもそれなりに事業展開してるんだろ? ジェムラート家に営業に行くくらいなんだからさ。貴族たちとも繋がりがあるだろうに、うちの店のことを全く知らないのは違和感があるなぁ」
「あのサイラスという男は、普段商会の仕事にそこまで携わっているわけではないと……先生は仰りたいのですね」
「そう。嬢ちゃんがどうとか言ってたから、オレリー嬢のもとで働いているのは間違いないんだろうけど……まあ、大した役職ではないだろうな。仕えているお嬢様からワガママを言われて仕方なく出向いた新入り……こんなとこだと予想してる」
先生はさっきのサイラス氏の要求に商会は関与しておらず、オレリー嬢の独断によるものではないかという。本当にユニレーム商会からの正式な要求であるのなら、あんな横暴な振る舞いは絶対にしない。商会のイメージを下げるだけなのだと……
「あんなチンピラ崩れみたいな男……ユニレーム商会の人であるはずがありません。調査のほどよろしくお願いしますっと……サイラスの見た目の特徴も忘れずに……よし! これでOK。あとは向こうでどうにかするでしょ。俺たちは何もせずに待ってればいいよ」
書いた手紙を封筒に入れると、先生はクライヴさんに手渡した。
これは……ある意味苦情よりも恐ろしいかもしれない。先生は商会の上の人間は『とまり木』のオーナーが誰であるかを把握しているだろうという前提で手紙を書いたのだ。つまりこの手紙……身内の教育はしっかりしろという忠告であり、今回は見逃してやるが次はないという脅しの意味も込められているのだ。『とまり木』のオーナー……レオン王太子殿下からの————
「この手紙を出しても解決しなかったら、その時はきっちりとうちのオーナー本人に話をつけてもらいましょ。まあ、そんなに心配はいらないよ」
まだ完全に不安が払拭されない私たちとは違い、先生は意外と暢気だった。確かに先生の予想通りであるなら、今後あの男が店に来ることはないだろう。
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