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「北山くんには関係がない事です」
「何故?おれは別れる事に同意してない」
「浮気をして私が許すと思ってる?私が学生時代のトラウマを抱えている事を知っているはずなのに、あなたはあの彼と同じことをしたのよ」
茂は下を向いて唇を噛んだ。
「ごめん、でも大島はダメだ」
「何がだめなの?」
「アイツは女性関係で花形部署から今のところにきたってもっぱらの噂だろ!」
「海外事業部は確かに花形だけど、秘書課が左遷先とは思えない。それとも、茂は私の事も見下してた?」
こんな人だったんだ。
「いや、ただアイツは得体が知れないと言うか」
「北山くんは人に嫌われないように八方美人的に気を張り巡らせて、雰囲気を壊さないようにしてきた、だから合コンも断らないし気持ちが無くても告白されれば付き合ってたのよね。でも、それって単に節操が無いだけじゃない。私の事も、つなぎ程度だったんでしょ」
「そんなわけないだろ」
茂は顔を上げ声を震わせてハッキリと話す。
「どちらにしても、あなたが言える言葉ではないし、これ以上話す事もあなたの言葉を聞く必要もないから、それからここの支払いは慰謝料がわりに北山くんが払ってね」
項垂れる茂をよそに立ち上がる。
「それから、もう私の事を名前で呼ばないで。宜しく北山くん」
私は振り返る事なくファミレスの出口に向かった。