「紅玉に染まる吐息」
キヨ×レトルト
大好きな2人のカップリングです。
ご本人様達とは全く関係ありません。
ただの妄想のお話です。
「月長石の吐息」の続編です。
よろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
お互いの気持ちを確かめ合った翌朝、キヨは退院のために病室を後にした。
レトルトは病室の窓際に立ちキヨの姿が見えなくなるまで手を振り見送る。
キヨは何度も振り返りレトルトに手を振りかえした。
病室には、再び静寂が訪れた。
キヨと共に過ごした日々が、部屋の空気にまだ息づいているようで、笑い声や仕草のひとつひとつが鮮やかに残っていた。
手を伸ばせば届きそうな距離に、キヨの温もりがまだあった。
レトルトはゆっくりと深呼吸をして、自然と微笑みがこぼれた。
「……ありがとう、キヨくん」
そう小さくつぶやく声に、部屋中がそっと答えてくれるようだった。
寂しさと幸せが折り重なりレトルトの胸をそっと揺らした。
あんなに切なく見送った数日後の週末。
病室の扉が勢いよく開く音とともに、元気いっぱいの声が響き渡った。
『レトさーーん!』
その大声に、レトルトは思わずびっくりしてベッドから飛び起きた。
キヨの笑い声と足音が、静まり返った病室を一気に満たす。
レトルトの胸の奥で、久しぶりに高鳴る鼓動。
「……キヨくん?」
驚きと、ほんの少しの喜びが混ざった声が、自然と漏れた。
カーテンが勢いよく開き、そこに現れたのは、満面の笑みを浮かべたキヨだった。
そのままキヨが勢いよく飛びついてくる。
数日前、お互い涙を堪えて別れたばかりなのに――なんだか拍子抜けするほど元気なキヨに、レトルトは一瞬戸惑った。
「急に、どうしたん……?」
思わず口に出た問いに、キヨはにっこりと笑って答える。
『だってー、レトさんに会いたかったんだもん!』
「この前、退院したばっかりやん」
レトルトはくすくすと笑いながら、そっとキヨの頭を撫でる。
『……本当は毎日会いたい』
小さくふくれた顔でキヨが呟く。
その仕草に、レトルトは思わず笑いをこらえきれず、手で顔を覆う。
「……もう、仕方ないなぁ、キヨくんは」
抱きしめるように手を差し伸べると、キヨはにこにこ顔でぴったりくっついた。
キヨはまるで大きな犬のようだった。
レトルトの膝に頭を押し付け、じっと見上げながら、ちょっと甘えた声で言う。
『ねぇ、レトさん。……撫でてぇ』
その仕草に、レトルトは思わず胸がきゅんとする。
「……ほんと、キヨくんは……可愛いな」
微笑みながら、ゆっくりとキヨの頭を撫でる手は自然と力がこもり、何度も撫で返す。
キヨは嬉しそうに目を細め、ぴたりと膝に体を預けたまま、小さな幸せを全身で感じているようだった。
キヨは膝に頭を預けたまま、くすぐったそうに体をくねらせる。
『へへ…レトさん、くすぐったいよ』
レトルトは楽しそうに意地悪っぽく笑って、指先で肩や背中を軽くくすぐる。
「ほんと、甘えん坊やな、キヨくん」
二人で笑い声を響かせながら、手を伸ばしたりくすぐった思う存分じゃれ合った。
やがて、疲れて笑いながら膝の上に頭を乗せて沈み込むキヨをレトルトは優しく撫でた。
「キヨくん、俺も会いたかったよ。」
呟くレトルトにキヨはにっこり笑って、そっと顔をうずめたまま、安心したように微かに息を整える。
二人の笑い声とぬくもりが、ゆっくりと病室を満たしていった。
続く
コメント
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続きありがとうございます、!!ヨが可愛すぎてこっちまで悶えました、、