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二人目の新しい命が、しのぶのお腹の中で順調に育ち、いよいよその時がやってきました。それは、家族三人で静かな夜を過ごしていた時のことでした。先に生まれた娘の恋を寝かしつけ、童磨がしのぶの大きなお腹に耳を当てて「早く会いたいね」と語りかけていた、その瞬間です。
「……っ、ああ……!」
しのぶが短く息を呑み、シーツの上に温かな雫が広がりました。一度経験しているからこそ、その感覚が何を意味するか、二人は瞬時に理解しました。
「……破水、しましたね。童磨さま、二人目も……少しせっかちな子のようです」
「しのぶちゃん! 大丈夫、大丈夫だよ。僕に任せて!」
二度目ということもあり、童磨の動きは驚くほど迅速でした。狼狽しながらも、体はすでに準備していた入院バッグを掴み、恋を安全な場所へ移し、しのぶを軽々と横抱きにします。
「前よりもずっとお腹が重いね。それだけ、僕たちの愛が詰まっている証拠だよ。さあ、行こう!」
病院へ向かう車の中でも、童磨はしのぶの手を片時も離しませんでした。陣痛の間隔が短くなり、しのぶの表情に苦悶の色が混じるたび、彼は祈るように彼女の指先に口づけを落としました。
「しのぶちゃん、僕を見て。深呼吸だよ。吸って、吐いて……そう、上手だ! 君の痛み、全部僕が食べてしまえたらいいのに……!」
分娩室に入ると、凄まじいエネルギーが部屋を支配しました。しのぶは汗にまみれながらも、凛とした強さで新しい命を押し出そうと奮闘します。童磨はその傍らで、彼女の腰を力強く、けれど繊細な加減でさすり続けました。
「う……っ、ぁ、ああああぁっ!! ……童磨、さま……っ!」
「ここにいる! ここにいるよ、しのぶちゃん! 頑張れ、あと一息だ。僕たちの新しい宝物まで、あと少しだよ!」
しのぶが彼の腕を壊れんばかりに握りしめたその時。
静寂を切り裂くように、最初の子よりもさらに一段と大きな、力強い産声が響き渡りました。
「……生まれた……! 男の子だ、しのぶちゃん! 僕にそっくりな、元気な男の子だよ!」
童磨の声は歓喜で震え、その目からは堰を切ったように涙が溢れ出しました。看護師に抱かれた赤ん坊は、童磨譲りの淡い色の髪を湿らせ、力一杯に手足を動かしています。
「……ふふ、本当に……。あなたに似て、手のかかりそうな子ですね……」
しのぶは疲れ果てた微笑みを浮かべ、童磨が差し出した手に頬を寄せました。
「ありがとう、しのぶちゃん。僕を二度もお父さんにしてくれて……。君は、世界で一番美しくて、一番強い僕の奥さんだ」
童磨は、汗と涙で濡れた彼女の顔を愛おしそうに包み込み、深い感謝を込めて唇を重ねました。
窓の外では、新しい家族の誕生を祝福するように、夜明けの紫色の空がゆっくりと白み始めていました。二人目の産声は、この家がこれからも愛と賑やかさに満ち溢れていくことを、何よりも強く約束していたのでした。