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月日は流れ、童磨としのぶの家には、絶えず賑やかな笑い声と足音が響くようになりました。第一子の**恋(れん)**は、しのぶに生き写しの美少女へと成長しました。漆黒の髪をなびかせ、少し勝ち気で聡明な瞳は母親譲り。一方で、時折見せる屈託のない満面の笑みや、相手の懐にすっと入り込む人懐っこさは、間違いなく童磨の血を感じさせます。
「お父様! またお母様を困らせてるんでしょう? お掃除、私が手伝ってあげるからあっちに行ってて!」
「おやおや、恋ちゃんは厳しいなあ。でもそんな怒った顔も、しのぶちゃんにそっくりで可愛いよ」
対照的に、第二子の長男、**扇(おうぎ)**は、童磨によく似た淡い色の髪と、どこかおっとりとした不思議な雰囲気を持つ少年に育ちました。しかし、中身は驚くほどしっかり者で、姉の恋が暴走しそうになると、しのぶのような鋭い一言で場を収める、家族のバランサーです。
「姉さん、お父様はただお母様に甘えたいだけなんだから、放っておいてあげなよ。……あ、お父様、お皿洗いは僕がやるから交代して」
「扇は本当に気が利くねえ。将来は僕よりもいい男になるに違いないよ」
家の中は、いつも童磨が完璧にこなす家事と、それを見守る(あるいは突っ込む)子供たち、そして家族の中心で穏やかに微笑むしのぶの幸福な空気で満たされていました。
ある日の夕暮れ。庭で遊ぶ子供たちの姿を縁側から眺めながら、童磨はしのぶの肩を抱き寄せ、その細い指を恋人繋ぎで絡ませました。
「しのぶちゃん。あんなに小さかった二人が、もうあんなに大きくなった。……僕、今が人生で一番幸せだよ。君が僕を『人間』にしてくれたんだね」
「ふふ、何をおっしゃるのですか。あなたが一生懸命、お父様として頑張ってくれたからですよ」
しのぶは彼の胸に頭を預け、愛おしそうに子供たちを見つめました。かつては孤独と復讐の中にいた二人が、今では自分たちの血を分けた新しい命に囲まれ、繋がっている。
「ねえ、しのぶちゃん。子供たちが寝静まったら……今夜もまた、僕にたっぷり甘えさせてくれるかな? 二人がすくすく育ったご褒美に」
童磨が耳元でいたずらっぽく囁くと、しのぶは少しだけ顔を赤らめながらも、彼の手に力を込めました。
「……仕方のない人ですね。でも、子供たちを起こさないように……静かに、ですよ?」
夜の帳が降りる頃、家には子供たちの寝息と、それを見守る夫婦の深い、深い愛の吐息が重なり合います。すくすくと育つ子供たちの未来と、変わらぬ情熱で結ばれた二人の絆。その幸せな日常は、これからも永遠に、この家を温かく照らし続けていくのでした。