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「日依は!」
慌てた様子で、日依の母が待合室にくる。
「ごめんなさい。俺が、ちゃんと見てなかったから。」
「日依は無事なの?!」
俺は、それに答えれなかった。ただ涙を流して、謝ることしか出来なかった。
「うっ、ううっ。すみません。」
そこへ先生が来て。
「佐藤日依さんのご親族でしょうか?」
「はい。日依は、無事なんでしょうか。」
「残念ながら、。」
そう躊躇いながら言う。
「あ”ぁ”ー!!!」
俺は罪悪感と、悔しさで、たまらなかった。
「どうして、守れなかったんだっ。」
そう後から来た日依の父親に言われ。
「ごめんなさい…。」
深く、深く頭を下げた。
そこから、日依の両親が俺の家まで送ってくれた。家についてからはほとんど記憶がなく、気付けば泣き崩れて寝ていた気がする。
次の日俺は学校を休み、放心状態だった。
後から聞けば、
「俺が。俺が、守れたら。」
と何度も繰り返していたらしい。
お通夜にも行って。そっから、いつも通りの生活を送った。
教室のドアに手を掛けて、開ける。
「あ、和茉。」
亮介が声をかける。
「大丈夫か、災難だったな。正直俺も辛いわ。まぁ、一番辛いのはお前だろうけど。」
「おう、ありがとう。でももう大丈夫だから。これまで通りで良いよ。」
心配かけないように、言う。
「無理はするなよ。」
心にポカリと穴が空いたようなまま、放課後になった。俺は教室に残った。
「和茉~!!!」
いつも聞く、明るい声が聞こえる。
俺は「あぁ、ついに幻聴か。」と思って
頭をあげると、目の前に日依が居た。
「え、ひ、より?」
「うん!神様に頼んで、和茉のところに居れるって!」
俺は嬉しさと、驚きで、感情が分からなくなったが、涙が出た。
「なんで泣くのよぉ~!」
「いや、嬉しくて。」
死んでることには変わらないのに、俺にだけ見えると言う嬉しさが俺を包んだ。
「あのね!天国って凄い広かった!」
「そうなの?」
「うん!なんでも出きるよ!すごーい楽しかった!!」
「良かったね。」
彼女は生前とは全くの別人のように明るく、とても楽しそうだった。
「それでね!あのね!」
嬉しそうに
その魂だけの身体で空を飛んだ話や、
ずっと遠くにあるトンネルが居心地が良いこと。
山奥にある廃墟ホテルが思っていたより綺麗な
こと。
などたくさん話してくれた。
「今度一緒に行こうよ!」
「遠いんでしょ。行けないよ。」
「大丈夫!全部日依が調べるから!」
―たのしそうだな。
ふと、思ってしまった。死ぬことは良いことなのか、はたまた悪いことなのか。
生きることで得られる幸せと、死ぬことで得られる幸せは何が違うのか。
「和茉?」
はっと我に返り。
「たのしそうだね。良いな。」
本音を溢してしまった。
「…うん楽しいよ。」
今度は急に寂しそうにする。
「今度連れてって、その日依が楽しいって思った場所。」
そう言うと、日依は嬉しそうに。
「うん!」
と返事をした。