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亡霊は僕の依り所

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亡霊は僕の依り所

2 - 第2話 亡霊は

♥

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2025年02月17日

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「日依は!」

慌てた様子で、日依の母が待合室にくる。

「ごめんなさい。俺が、ちゃんと見てなかったから。」

「日依は無事なの?!」

俺は、それに答えれなかった。ただ涙を流して、謝ることしか出来なかった。

「うっ、ううっ。すみません。」

そこへ先生が来て。

「佐藤日依さんのご親族でしょうか?」

「はい。日依は、無事なんでしょうか。」


「残念ながら、。」

そう躊躇いながら言う。

「あ”ぁ”ー!!!」

俺は罪悪感と、悔しさで、たまらなかった。

「どうして、守れなかったんだっ。」

そう後から来た日依の父親に言われ。

「ごめんなさい…。」

深く、深く頭を下げた。

そこから、日依の両親が俺の家まで送ってくれた。家についてからはほとんど記憶がなく、気付けば泣き崩れて寝ていた気がする。


次の日俺は学校を休み、放心状態だった。

後から聞けば、

「俺が。俺が、守れたら。」

と何度も繰り返していたらしい。

お通夜にも行って。そっから、いつも通りの生活を送った。


教室のドアに手を掛けて、開ける。

「あ、和茉。」

亮介が声をかける。

「大丈夫か、災難だったな。正直俺も辛いわ。まぁ、一番辛いのはお前だろうけど。」

「おう、ありがとう。でももう大丈夫だから。これまで通りで良いよ。」

心配かけないように、言う。

「無理はするなよ。」


心にポカリと穴が空いたようなまま、放課後になった。俺は教室に残った。

「和茉~!!!」

いつも聞く、明るい声が聞こえる。

俺は「あぁ、ついに幻聴か。」と思って

頭をあげると、目の前に日依が居た。

「え、ひ、より?」

「うん!神様に頼んで、和茉のところに居れるって!」

俺は嬉しさと、驚きで、感情が分からなくなったが、涙が出た。

「なんで泣くのよぉ~!」

「いや、嬉しくて。」

死んでることには変わらないのに、俺にだけ見えると言う嬉しさが俺を包んだ。

「あのね!天国って凄い広かった!」

「そうなの?」

「うん!なんでも出きるよ!すごーい楽しかった!!」

「良かったね。」

彼女は生前とは全くの別人のように明るく、とても楽しそうだった。

「それでね!あのね!」

嬉しそうに

その魂だけの身体で空を飛んだ話や、

ずっと遠くにあるトンネルが居心地が良いこと。

山奥にある廃墟ホテルが思っていたより綺麗な

こと。

などたくさん話してくれた。

「今度一緒に行こうよ!」

「遠いんでしょ。行けないよ。」

「大丈夫!全部日依が調べるから!」


たのしそうだな。


ふと、思ってしまった。死ぬことは良いことなのか、はたまた悪いことなのか。

生きることで得られる幸せと、死ぬことで得られる幸せは何が違うのか。


「和茉?」

はっと我に返り。

「たのしそうだね。良いな。」

本音を溢してしまった。

「…うん楽しいよ。」

今度は急に寂しそうにする。


「今度連れてって、その日依が楽しいって思った場所。」

そう言うと、日依は嬉しそうに。

「うん!」

と返事をした。


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