テラーノベル
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8話
𝒈𝒐⤵︎ ︎
じゃぱぱさんが消えてから、俺はメンバーに会うのが怖くなった。
朝、皆がリビングに集まる時間。
俺は布団を被ったまま、起き上がれないフリをする。
「うり、朝ごはんできたよー。いる?」
ドア越しに聞こえる、どぬくさんの優しい声。
「…んー、ちょっと食欲ないから、いいや」
「そっか。なんかあったら言ってね!」
まるでいつもと変わらない、温かいやりとり。
でも、俺の心はズタズタに引き裂かれていた。
こんな優しい声を聞くたびに、じゃぱぱを思い出す。
俺の体調不良を心配してくれた、優しいじゃぱぱさん。
そして、その優しさのせいで消えてしまったじゃぱぱさん。
俺のこの呪いは、大切な人を傷つける。
そう、わかってしまったから。
みんなに会うのが、話すのが、怖くてたまらない。
もし、うっかり体に触れてしまったら?
もし、また誰かが、じゃぱぱさんみたいに消えてしまったら?
そんなこと、耐えられない。
だから、俺は部屋から出ないことにした。
みんなに「具合が悪いから」と嘘をついて、部屋に引きこもった。
食事も、トイレに行くのも、みんながいない時間を見計らって、こっそりと。
誰の目にも触れないように。
誰の心にも触れないように。
一人で、部屋に閉じこもる。
それが、俺にできる唯一の、みんなを守る方法だった。
俺は、もう二度と、大切な人を失いたくなかった。
でも、同時に、俺はみんなの記憶から消えてしまったじゃぱぱさんを、一人で背負って生きていかなければならない。
その孤独が、俺の心を深く、深く沈めていった。
それでも、俺はみんなに会わない。
それが、みんなにとって一番良いことなのだから。
部屋に引きこもって数日が経ったある日。
部屋のドアが、コンコンと控えめにノックされた。
「うり、いる?」
優しい、少し心配そうな声。
ヒロくんの声だ。
俺は布団の中で息を潜める。
もし「いないよ」と答えたら、ヒロくんはそのまま行ってくれるだろうか。
いや、彼ならきっと、納得しない。
「…ヒロくん?」
俺は観念して、小さな声で答えた。
ドアがゆっくりと開き、ヒロくんが顔をのぞかせる。
その手には、お盆に乗ったおにぎりと味噌汁があった。
「やっぱりいた。最近、ご飯もほとんど食べてないみたいだから」
ヒロくんはそう言うと、静かに部屋に入ってきた。
そして、ベッドのそばの床に座り、お盆を俺の前に差し出す。
「体調、大丈夫?」
ヒロくんのその一言が、俺の胸に突き刺さる。
大丈夫なわけ、ない。
体調は、あの呪いのせいで、たまに激しい頭痛や吐き気に襲われる。
でも、一番苦しいのは、みんなに会えないことだった。
この優しい声を、俺はもう直接聞くことさえ怖くてたまらない。
「うん…まぁ、大丈夫。ちょっと風邪気味なだけだから」
そう言って、俺は無理に笑顔を作ってみる。
ヒロくんは何も言わず、ただ俺の顔をじっと見つめていた。
その視線が、まるで俺の嘘を見透かしているようで、俺は下を向くことしかできなかった。
彼は、きっと気付いてる
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎
コメント
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続き楽しみに待ってます!