「なぁ、ふっか…翔太の誕生日なんだけど… 何プレゼントしたら良いかな?///でっかい花束と豪華なディナー…後は…後は、どうするかなぁ…///」
最愛の恋人の誕生日まで後3週間…岩本は、どうやってそれを祝うか考えている
「やっぱり最後は、俺の家だろ…。そこで俺が翔太をいただいて…でも、あれ?それだと翔太にプレゼントじゃ無くて…俺が貰う事になっちゃうのか…。あぁ!難しい…悩ましい…」
岩本は深澤の家に来て、テーブルの周りを回りながら物思いに耽っている…
「ねぇ、ちょっと落ち着いたら?その回り続けてるの、凄く気になるんだけど…」
そう言った深澤は…岩本に、新しく入れたお茶を差し出した
「ありがとう…。でもさ、俺としては初めての誕生日だし…格好良く演出したい訳ですよ…」
「それは良いけど…ねぇ照…。何で、それを俺の家で?」
わざわざその話をする為に、ここにやって来た岩本は…
来てからずっと、その話を続けていた
「だって、誰か他の人の意見も聞きたいし…」
「だったら、ちゃんと俺の意見も聞いてよね…。さっきから翔太には、そんな派手な事するよりも…アットホームな方が良いんじゃないの?って言ってるのに…」
「だって、初めての誕生日だよ?【最初が肝心】って言葉もあるし…センスある所、見せたいじゃん…」
テーブルに肘を付き…身を乗り出して、話し掛けて来る岩本に
「はいはい、あ〜!もう勝手にして…」
少々引き気味の深澤が、そう呟いた…
「え〜!ふっかも一緒に考えてよ〜。俺だけだと何か不安で…」
「うるさい。自分の恋人なんだから…自分で全部考えなさい」
2人のやり取りはしばらく続き…
岩本が帰ったのは、それから3時間経った後だった
「えっ?ライバル視されてる?ドラマの共演者に?」
渡辺の声が聴きたくなった岩本は、渡辺が帰宅したタイミングで連絡をもらって電話していた
「ライバル視って言うか…目の敵?何か、急に売れ出した俺達が嫌いらしい…」
「何だよそれ…別に翔太は何も悪くないし…。俺達は、もっと前から売れたいって思ってたよな」
ドラマの撮影は、まだまだ長く続く為…気が重くて堪らなかった
しかし…自分の事の様に腹を立ててくれる岩本に、ほんの少し心が救われた様な気がする…
「照…ありがとう。元気出た」
「そう?それなら良かったけど…。翔太って頑張り過ぎる時があるから、くれぐれも無理だけはしないでよ…」
「分かった。ありがとう」
「それじゃ。今日は早く寝るんだよ」
「了解。照…おやすみなさい」
「ゆっくり休んで、元気になってね…」
こうして岩本は電話を切った
『翔太をライバル視かぁ…』
この業界は、食うか食われるかの様な所もあるので…切磋琢磨する分には問題ない
しかし、渡辺のあの言い方からすると…相手が一方的に敵視している様に聞こえて心配になる…
「明日、翔太にタピオカ差し入れしようかな…」
甘い物は疲労に良いと聞くし…岩本自身の好物でもある
「よし。明日撮影で会うし…美味しいやつ探して持って行こう」
岩本は、そんな軽い考えで…
スマホで店を検索し、ワクワクしながら明日買うメニューを選び始めた
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