🎈「そ、その…!」
後を着いてくように後ろを歩いているが窮屈で窮屈で…。歩く耽美に声をかけられて大変だった。でもその都度、彼がフォローしてくれたおかげで何とか逃れることが出来た。
?「どうしました?」
🎈「えっと…先生が呼んでたんだよね、」
ついてきたのはいいけれど、確かこっちに職員室は無いはず…。まさか、道間違えた?
?「あっ!!」
🎈「もしかして…」
?「すっ、すみませんッッ!!」
僕の顔を見て何かを思ったのか急に慌てだして謝ってきた。その声は彼のおっとりした姿では考えられない声量で。
🎈「う”ぅ”…」
?「あぁッッ、静かにしますね…」
🎈「いや、だいじょう、ぶだよ、」
静かにするって言ってる言葉も大きいけど…。彼はすごくしょんぼりして丸くなっていた。まるで犬みたいだ。…可愛い。
🎈「ちがッッ!」
な、何が可愛いだッッ。相手は男なのにッッ。咄嗟に思った感情が渦をまく。男性にも女性に対しても”可愛い”なんて感情は抱いたこともない。
?「どうしました?、今度は顔が赤い…」
🎈「って、近いからッッ///」
校門であった時よりも顔が近い。距離感がバグってるタイプの子なのかな…。そ、そんなことよりもっ!!
🎈「先生…は?///」
?「そ、そうでしたね! えっと…それなんですが…」
🎈「ま、まさか」
?「そのまさかです!」
なぜそんなに自信満々なんだい!?そもそも、ここの生徒が職員室なんて間違うはずがない。それに廊下を歩いてる時の妙なフォローもっ。
🎈「嘘、だったのかい?」
?「…..はい。」
🎈「どうしてそんなこと、。」
やっぱり嘘なんだね。まぁ、初対面にほぼ等しい君に僕を呼んでこいなんて言わないもんね。もっと冷静になるべきなのかな。嘘をつかれたことにガッカリしたわけじゃない。わけじゃないけど…。なぜか、自分でも分からないが少し悲しい。
?「すみません、ガッカリさせる気は無かったんです。それに嘘をつく気も。信じてもらえるかは分かりませんが、。」
またしても、彼はしゅんとしている。今度は目もうるうるしているけど。
🎈「ガッカリなんかしていないさ、。どうして嘘をついたか気になってね。」
?「…..助けたかったんです。」
🎈「え?」
?「先輩、初めてあった時もそうでしたがっ」
助けたかった?、その一言に固まってしまう。伝わってた?
?「校門で出会った時もすごく不安そうでっ!何か悩んでるように見えて。その時、ちゃんと声をかけるべきでしたが、物凄い速さで逃げられちゃって。」
思わず「あっ…」と声が出た。何かを悩んでいる。あながち、間違っては無い。不安だったのもそう。
?「それであとから声をかけようとしたら周りに囲まれた先輩がいて。その時の先輩も同じような顔で思い詰めてたからっ!」
🎈「そっか、そこまで見てくれてたんだね」
そんなに見られていたとは。僕の思ってることも全部お見通しってわけか。すごいな。
?「ボクの憶測だったらいいんです。でも、そんな風には見えなくって。」
🎈「いや、全然大丈夫だよ。むしろそこまで見られてて驚いたというか。」
?「…気持ち悪いですか、?」
突然、発した言葉に目を疑った。いまさっきの声とは裏腹に弱々しく震えた声。視線もなんだかおぼついている。
🎈「気持ち悪い?」
?「あっ、気にしないでくださいっ!つい口から出た言葉なので、。」
🎈「本当に?」
?「っ…。」
あたりはしーんとしており声が響いてる。それのせいでか分からないが、より一層彼からは何かを感じた。
?「ほんと…うです、。」
🎈「…そう、ならいいけれど。だけど君が言ってくれた不安そうに見えただっけ。僕、大体隠す癖があってさ。誰にもバレなかったのになぁ。」
?「っっ、」
🎈「初対面にも等しいのに、見ただけで言い当てられるなんて。」
?「…やっぱりっ、、」
🎈「すごい、や。」
?「え、、?」
あぁ、やっと目が合った。
🎈「すごいよ。本当に。」
?「すごい…、ですか、?」
🎈「あぁ、見ただけでここまで分かるなんて君の良いところじゃないか。僕じゃ到底無理だよ?、そんなこと。見て何考えてるか予想するなんて絶対に無理。」
相手のことが予想できる。もし、そんなことが出来たなら。
🎈「だからさ、ほら。誇るべきだよ。」
僕は今この学校にもいないし、悩まされることもないのに。
?「誇る、ですか、」
🎈「自分すごいなぁ…って」
やっぱり、君はその目が似合う。さっきのうるうるしていた目は段々と元の輝きに戻っていく。
?「ありがとう、ございますっ、」
🎈「そんな大したことしてないよ」
?「救われました、。まさか、そう思ってくれるなんて、。」
🎈「だから、そんなにっ」
あれ、なんか心地いいな。ただ褒められてるだけなのにな。心臓が音を立てている。他人事なのになぜこんなにも、嬉しいんだろう。
?「…お礼と言っては何ですが名前を」
キーンコーンカーンコーン。
1限目の合図が2人を遮るように聞こえてきた。あれ、1限目から移動教室じゃ、???間に合わない!?
🎈「ごめんッッ、授業移動教室だッッ、」
?「あっ、」
🎈「また、昼休みでいいかな?」
?「ひっ、昼休みですか!?」
🎈「なにかある?」
?「いやっ、何も無いです!!」
🎈「そっか、じゃあまた昼休みっ!」
間に合うかな。ダメだけど走ろっと。
あと、最後に。
🎈「僕の名前は神代類だよ!
ありがとう、 “天馬くん”!」
申し訳ないけどちゃっかり名札見ちゃった。天馬司くん。覚えたよ。
🌟「…..神代先輩か、」