「なーー?ロボロって犬派?猫派?」
「それ聞く必要ある…?」
「えーじゃぁ……好きな色!!!」
「そうやな…強いて言えば」
「ピンクやったっけ!忘れとったわ〜」
「ぇ…おん」
こいつはなんで知っているのだろう…
好きな色のことを言っただろうか。いや、少なくとも今までのうちに話したことはない、もっとちゃんと言えば記憶にない。
超能力でも持っているのだろうかとシャオロンの楽しそうに話している横顔を眺める。
「なんやねん、人の顔まじまじとみて」
「ん?べつに何もあらへんけど」
「えー気になるやんけ!!」
「気になるも何も、何もあらへん言うとるやろ!」
どこか懐かしいと感じながら、いつもの通学路を歩く。
いつもの通学路だが、いつもではない。2人で歩くなんてはじめてだ。ふと、横を見るとあのベンチがある公園があった。もうここまで歩いてきたのか、いつもより短く感じた。これも、2人でいるからなのか…。
「おっ??この公園、なつかしーな!!」
「えっ、…」
「うわっ!まだあのベンチ残ってるんや!!」
そう言い彼はベンチへと走っていく。
そんな彼を眺めていた。俺とは正反対な無邪気な姿。
少しだけ、頭の中の違和感は薄れた気がした。
なぜかは分からないが。
「おわーー!!ぜっんぜん変わってへん!!」
「あの時のまんま!!!」
「あの時…」
俺が知らないであろう彼にとってのあの時。俺の中で何かが少し動いた気がした。
「…ってゆうか!!」
「お前ベンチの上に靴のまま立つな!」
「うげっ…!!」
「降りろ!」
「はぁ〜い……」
少し落ち込んだ様子でベンチに座った。少し笑っていた気がするが気のせいということにしておこう。
彼はこちらをみて、隣を手で優しく叩く。
隣に座れ、と言っているのか
そう思い、彼の隣に腰掛ける。
「この公園、ええよなー」
「昔さ、よく遊んだんよ。ここで」
「…そうなんや」
「すごい仲良かったマブダチがいてさぁ…」
「そいつと朝から日が暮れるまでずーーーっと遊んでさ」
「すっげぇ楽しかったなぁ……って」
「いつもこの公園で遊んで、夕方頃になってお互い疲れて…」
「その時は、2人でベンチに座って空見ながら話してたっけ」
どうやら、昔、そのマブダチとよく遊んでいたらしい。
その人のことが本当に好きということは、話している口調、表情から見て取れた。
「へぇ……本当に…仲良かったんやな」
「おん!一番好きな時間やったんやで!」
「…あんさんにとっても、大事な場所なんやな」
「んふふ!せやで!」
「あ!あとな?」
何かを思いついたのか、ベンチから立ち上がり水飲み場の近くに寄っていく。
いったい何をするのだろうと不思議で眺めていた。
すると、蛇口に手をかける。
まさか…と、思ったが予想は的中、
彼は蛇口を思い切り捻った。すると、思った通り、勢いよく水が噴き出た。噴水といっても過言ではない。
「ちょっ…ちょちょちょっっ、!?なにしてんねん!」
「一回これもやったねん!」
「はぁ?!何言ってんねん迷惑やろが!」
「止めろ!!」
「その時も…」
「お前がそうやって、止めてくれたんやで?」
「…………は、?」
意味が分からずにどぎまぎしていると、彼は蛇口を閉めて、制服についている水滴をはらっていた。
「じゃぁな!また明日!!」
「ぇ…っ…」
そう言い彼はこの公園から出ていった。
コメント
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続きめっっっちゃ気になる…!