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白河先生は、笑顔で私を見つめながら

「おはようございます!凛さん!」と言い、 「今日はホワイトデーですね。はい、これ。」と私へピンク色の小さな箱を渡してきた。



「開けて良いよ」と先生は言ってきたので、ゆっくりと箱の蓋を開ける。




箱の中にはキラキラと輝く小さな金色の指輪が入っていた。





「これって…」と私は小さめに呟く。


すると、先生は「ペアリングだよ。世界で一つだけの。」と答えてくれた。





しかし、私は「うそよね…?」と言ってしまった。


まさかのバレンタインのお返しがペアリングだという嬉しすぎる展開。

疑ってしまうのも無理はない。




そんな私に嫌な顔1つしない白河先生は、私の右手小指にそっと指輪をはめてくれた。

その小指を見ると、部屋の電気に当たってキラキラしている。





先生は私の気持ちを察したのか、「ごめんね。いきなりプレゼント渡して。」と言ってきた。



私の方こそ、プレゼントだけにこんなに驚いてしまって本当に申し訳ない。



なので、「でも…そのお返し、本当に嬉しいよ!ありがとう!」と言う。




白河先生はそんな私を見て、優しくにっこりと微笑み、「そんなに喜んでくれると嬉しいよ!」と言ってくれた。








数日後。

夕食中の白河先生から予想外の言葉が出た。


「教師をちょっと、辞めようかな。」

私はいきなりの先生の言葉に箸が止まってしまった。



白河先生は、「いや…前、僕が“小さな学校みたいなのを創りたい”って言ってたの、覚えてる?」と聞いてきたので、「うん、覚えてるよ。」と言った。

「だから…その準備期間としてね…。」

「えっ?来年の今頃には…その学校が…?」

「うん。早ければ開校できるかも知れない。」


白河先生は私へ何事もないようにこの事を言ってきたけれど、相当勇気を出したのだろうと思う。




「だからこの前、校長にこの事を伝えたんだけど、予想外に受け入れてくれたから、とりあえず一時退職みたいな感じになるみたい」と言っていた。


そして、「早速、教室となる校舎を探さないと!」と言うと、 ホームページで物件を探し始める。


白河先生は行動力と優しさが人一倍だから凄いな…。

私にもこんな行動力があればなぁ…。



しかし、こんな私も何かしら先生に協力してあげたい。と思い、「じゃあ…学校の名前を考えるね」と伝え、早速私も名前を考えることに。


なんだか白河先生らしい、優しい雰囲気を表した名前が良いと思い、とりあえずそれっぽい名前や漢字を書き出してみることにした。





優、虹、晴、夢、笑顔……?

駄目だ。ありきたりな名前しか浮かばないし、組み合わせるとしても難しい。



「そんなすぐに名前決めなくてもいいからね」と私を見ながら白河先生は優しげに言ってくれた。



確かに考えてみると、校名なんてすぐに決めなくてもいいじゃん。

私の早とちりのボロが白河先生に見られたな…。






「今日は…決めなくてもいっか。凛さん、おやつでも食べる?」と言いながら、先生はドーナツを2つ手に持っている。


「うん、食べよかな」と返す。



「いちごチョコと普通のチョコのドーナツ、どっちが食べたい?」


私はやはりいちごチョコやホワイトチョコなどの方が好きなので、


「私は…いちごチョコのドーナツかな?」


「やっぱりね。凛さんならいちごだと思ってたよ!だからいちごチョコも買ったんだよね」 と先生は後ろ頭を掻きながら言った。



「やっぱり先生は凄いね。私の好みが分かるなんて」


「うん!だってもう凛さんを何年見てきたことやら。3年半はもう見てるからね」



そういやそうだな。

もう、白河先生と出会った中学2年の頃から数えたら3年は既に経っている。

そんな事を考えていたら、中学校の頃の白河先生との記憶がフラッシュバックした。



そして、「白河先生って…そもそもいつから私の事好きだったの?」と一番疑問だった事を聞いてみた。


先生は、少しビックリした顔をして、

「う〜ん…。3年生の頃に毎日のように凛さんが話しかけてくれたり、優しくしてたからかな?」


「やっぱり?そうなんだ」と私は答えた。


「そうやって、毎日毎日学校で凛さんと接していくうちに、なんか気になってしまって…。」



白河先生はその後も話を続けてくれた。

「最初に好きって気づいた時は、’教師だからこんな事は駄目駄目’って押し込んでしまってたんだよ。 絶対に告白は断ろうって決めてたし。」


「そうよね。私も’先生を好きで居てはいけない’って同じく押し込んでたよ。」



なんせ、教師と生徒という危ない関係の恋だから、気持ちに蓋をしてしまうのはあるあるだ。


少しでも周囲にバレてしまったなら、先生は逮捕されたりしてしまうのだから…。



「でも、僕は…気持ちは素直に伝えようって思ったんだよ。」


「なんで…?そう思えるようになったの?」


「気づいたんだよね。“生徒に手を出す”という事と、“生徒を好きになる”は違うって事にね。 」















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