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初コメ失礼しますっ! めっちゃ好きですっ…߹~߹ 感情の表現の仕方とか文章力とか…まじでありがとうございますっ……
「ないちゃん……」
「っ、いむ、どうしたの……?」
どうしたのは、こっちの台詞。
ないちゃんはいっつもそう。人の心配が一番で自分のことが疎かになる。
どうしたの、なんて聞くくせにこっちは向いてくれない。
……たぶん泣いてるから。
いれいすは、というかないちゃんは少し荒れてしまったことでアンチが増えた。
表では、大丈夫なんて言うけどその笑顔が本物じゃないことはバレバレ。
たぶん、他のメンバーにもバレてる。
その証拠に少しないちゃんの肩は震えていた。
すると突然、静まり返った部屋にカシャンッという音がした。
__音の正体は、カッター。
「ッないちゃ…!!!」
飛びつくような勢いでないちゃんの右腕を掴む。
幸い、腕には何の跡もなかった。
「ぅ、……あ……っ」
ないちゃんを見るとばつが悪そうに目をそらす。
……酷い顔。
「ごめ…、ごめん…っ、ごめんなさい……っ、」
また泣きそうな声になって何度も謝るないちゃん。
綺麗な瞳の下には似合わない隈。
全然大丈夫じゃないじゃんか。
リスカに手を出してしまうまで抱え込んでしまっているのになんで頼ってくれなかったのだろう。
と少し怒りを感じたが、今するべきことは説教ではない。
「どうしたの、なんでないちゃんが謝るのさ。」
子供をあやすかのように優しく抱きつき、問う。
「……なんでも、ない。だいじょうぶ、だから……俺は大丈夫だから……っ」
そう言ってないちゃんは僕の胸板を押してくるが、いつもより力がなく、僕が腕を解くことはなかった。
大丈夫、大丈夫って、大丈夫じゃないからこうなってるんじゃん。
「……なんで、ないちゃんはそういつも大丈夫大丈夫ばっかり!!」
不満が少し、爆発した。
急な大声にないちゃんの肩がビクッと揺れたがお構いなしに言葉を続けていく。
「最初に僕たちのこと、家族って言ってくれたのはないちゃんじゃん!家族にまで隠し事!?家族って言ってくれるくらいならもっと頼ってよ…。いふくんでもあにきでも誰でもいいから…っ!」
「家族の前でまで、社長じゃなくて、リーダーじゃなくていいんだよ!!!」
「ッ……!」
やっと目があった。
「僕たちの前では、『ないこ』をやめてもいいんだよ……?」
綺麗な桃色の瞳に訴えかけるように優しく呟く。
ふと、その瞳から涙がこぼれた。
「泣かないで、なんて言わないよ。泣いていいんだよ、その涙は僕たちが拭うから。」
なんてかっこつけて瞳の下に人差し指を置けば、今度はないちゃんから抱きついてきた。
「……こわい、こわかった……っ、おれのせいで、ぜんぶ…だめになっちゃう、かもって……っ、しゃいんさん、にも、っめんばーにも、めいわく、なるかも、って……、いいしゃちょ、じゃなくて…っごめんなさい……っ、…」
しゃくり上げながら謝罪を述べるないちゃん。
いつもはあんなに大きく見えた背中も今は小さくて、手放したら消えてしまいそうで。
大丈夫って言葉がないちゃんに呪いをかけていた。
なら、
「大丈夫。ないちゃん、僕“たち”なら、“いれいす”なら大丈夫。僕たち6人でいれいす、17人と社員さんでVOISINGでしょ?ないちゃんは、一人じゃないよ。僕“たち”なら大丈夫。」
呪い-のろい-を、呪い-まじない-に変えてしまえば。
「……うん、俺“たち”なら大丈夫。」
そう言ってないちゃんはにこっと笑った。
これはきっと、本物の笑顔。
僕たちはこの笑顔を絶やさない。
二度と泣かせない。ないちゃんは守るから、僕たちが。