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さのじん
「勇斗」
「なに」
「はいこれ」
そう言って仁人が目の前に差し出したのは、ミニサイズのメロンパン。
「え、メロンパンやん!しかもミニサイズの!」
仁人からミニメロンパンを受け取って、上から下からしげしげと眺める。
「おいおい、思いの外めっちゃ喜ぶやん」
そんな俺を見て、仁人は満足そうに笑う。
「なにこれ、どうしたん?」
「なんか適当にスーパー入ったらパン屋さんも併設されててさ、そしたらそれ見つけて。そういやいつかのインライで勇斗が言ってたわって思い出して買ってみた」
いつかのインライ。そういえば、どこかで昔から袋詰めにされた、小さいサイズのメロンパンが好きだと話したことあった気ぃする。
「いやお前、どんだけ俺のこと好きなん」
「おっとぉ、自意識過剰でちゃってるかこれ」
「だって、お前がメロンパン好きなのも俺が好きだからそれマネしてるわけでしょ?」
「んん?」
「憧れで大好きなはやちゃんがメロンパンすちだからすちになったんじゃないの」
「すちっていうな気持ち悪いなァ」
仁人は嫌そうに顔をゆがめ、でも楽しそうに笑いながら俺の肩を押してくる。
「でもこれほんとおいしいね。買っちゃうのわかる気がするわ」
「な?ちっちゃいから食べやすいし。え、これどこで売ってたん?」
「あぁ、えっとねぇあの、あそこの…」
スマホの地図アプリを開きながら、その画面を見せようと髪の毛が顔に掛かるぐらい近寄ってくる仁人から慌てて飛び退く。
「ッだから距離が近いねんってもぉ!」
いつまでもかわることなく。
離れることもなく。
このままの距離感でいたいもんだよね。
end.