テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
約束の日が近づくにつれ、胸が高鳴る。
どんな顔をして会えばいいのか。
どんな言葉を伝えればいいのか。
でも、一つだけはっきりしていることがある。
私は、亮平くんが好きだ。
だからこそ、ちゃんと向き合おう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
待ち合わせ場所に着くと、亮平くんはすでに来ていた。
マスクをつけ、キャップを深くかぶっているけれど、その姿を見つけただけで胸が高鳴る。
久しぶりに会えた。
でも、どう話せばいいんだろう。
少し緊張しながら近づくと、亮平くんも気づいてくれた。
ゆっくりと顔を上げ、私を見つめる。
「……久しぶり」
亮平くんの声を聞くだけで、張り詰めていた気持ちが少し緩む。
「うん、久しぶり」
自然と微笑みがこぼれる。
でも、その後に続く言葉が見つからなかった。
沈黙。
お互い、何を話せばいいのかわからないまま立ち尽くす。
先に口を開いたのは亮平くんだった。
「……ごめんね」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。
「謝ってほしかったわけじゃないんだ。それに忙しいのはわかってる。でも、やっぱり寂しかった」
本当の気持ちを伝えると、亮平くんは困ったような顔をした。
「俺も、会いたかったよ。ほんとに。でも……」
「でも?」
亮平くんは少し視線を落とし、言いづらそうに言葉を選んでいるようだった。
「仕事に集中しすぎて、〇〇のことを後回しにしてた』 」
その言葉を聞いて、思わず拳を握る。
「待つのが当たり前じゃないよ」
私の声は震えていた。
「……うん」
亮平くんは小さく頷いた。
「だから、ちゃんと向き合おうと思ったんだ」
そう言った彼の目は、真剣だった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!